まほろば自然博物館

つれづれに、瀬戸のまほろばから自然の様子や民俗・歴史や見聞きしたおはなしをしたいと思います。

袈裟の話・五条袈裟・小五条・三緒袈裟

2011年09月11日 | たまには真剣な研究なども

 

袈裟の中で五条袈裟ほど多くの名前と形を持っているものはないだろう。また、鳥獣戯画など多くの絵巻物にも五条袈裟が描かれている。
 

 


裘代(きゅうたい)や鈍色(どんじき)という法衣に用いる為に、簡易的につくられた袈裟であった。用途も法会の為ではなく、僧侶が身分を示すため、或いは俗人が僧籍に入った標識的要素が強い。ある時は中国の禅衣の影響を受け、ある時は日本の神道的な様相を呈し、日本独自の横五条が平安時代からほとんど形を変えることなく現在に至っていることは驚きと言わざるを得ない。また能楽が華開いた時代、弥陀信仰全盛の中にあっても、能装束とし禅衣としての絡子(らくす)が用いられらたことは注目に値する。

  

 唐の則天武后が初めて使用させたと言われ、日本では中国宗代の禅宗の影響により、鎌倉時代の臨済宗、曹洞宗で初めて着用された。禅宗の作務の時、便宜の為掛ける袈裟である。
小さい五条袈裟を二本の紐で前に吊るし、両肩から胸間にかける。掛けまとうの意義から掛絡(から)という名が出た。大きいものを大掛絡(おおがら)、小さいものを絡子(らくす)と呼ぶ。
やがて釣紐は環となり、この環は禅宗のみに用いられている。

  

 横五条 平安時代の中期に創作された日本独自の袈裟。法会以外の式服の正装に用いられた。威儀、小威儀というくけ紐で左肩から右肩へ吊るして掛ける。

 

 横五条袈裟は、教衣の一つで日本独自のもの。 教衣である天台宗、真言宗、教衣の形を頑なまでに貫く浄土真宗、衣には拘らないが、初期には天台宗の影響が強かった日蓮宗、教衣の面影を大師五條に留めた浄土宗などで用いられる。最も古のものは純白の平袈裟であり、後に紋白袈裟となり、禅衣の影響で金襴になったりしながら、千年以上の時を経て、今なお往時の形を留めている。

  

 五条袈裟の大威儀の結び方はこちら=>>★

小野塚五條
(おのづか)
真義真言宗豊山派において、禅宗の絡子に似たものが大正時代に創始された。
「おのづか」は創始者の名による俗称
威儀細
(いぎぼそ)
絡子の環佩(かんばい)がないもの。
現在のものは威儀紐がますます細くなり、前五条より小型のものを指すことが多い。
前五条
(まえごじょう)
禅宗以外の宗派で絡子形式の五条袈裟を前五條、小五条と呼ぶ。
時宗において天台系の法衣から禅系のものに近づいていった時期に、壊色の前五條がつくられた。
時代が下がると金襴でつくられるようになるが、紐の形状は独特な形を留めている。

 現在の浄土宗は禅衣を主としていて用いているにも拘わらず、平安朝的な横五条を着用している弁明として、法然上人(円光大師)が用いられていた形という意味で大師五条と称するものである。

  

 一方禅衣の絡子を小型化し、大師五条より略となる威儀細を着用する。横五条形式の威儀というくけ紐を細くしたものという解釈が生まれるが、従来の威儀細の紐が絡子と同様の幅、あるいはそれ以上のものであったことから推して、威儀が細くなる「略」という意味が強かったものと思われる。

  三本の威儀という紐で結びたれているので三緒袈裟(みつおげさ)の名前がある。 台密(天台宗)特有の袈裟(密法の時用いる)門跡寺院へ勅許されたもの。 曼珠院流と青蓮院流とがあり、室町時代には使用されていた史実が残っている。

  

 真言宗でも五条を長くたれて着装している。この三緒袈裟も同様にだらしなく着装されているような印象を受けるが、これは三輪(陰部)を覆っているのである。

   

 五条袈裟が本来「裙(くん)」(すそにつける三衣の一つ)であったことから、掛絡も横五条も長く垂れ下がるのが本義であったようだ。仏の32相(超人的な人格を支える肉体的条件)の中に「馬陰蔵相」(陰相、男根が体内に蔵されている)というものがあるが、生身の人間はそういう訳にいかぬので、上記のような着装法が考えられたのかもしれない。

  なお、五条袈裟を頭部に掛けたものが荒法師袈裟といわれるもの。

   

 比叡山の僧兵や武蔵坊弁慶で知られている頭巾は、白麻による五条袈裟であった。

  

 一方、時代劇などに出てきた虚無僧は、五条袈裟を左肩に乗せている。これは托鉢修行の邪魔になるとの考えによるものであったとか。

 

 

 また、浄土真宗では小五条というものが使われている。

 

  左は通常の大五条袈裟で、右側が麻のおつとめ(おあさじ)に使用される「小五条袈裟」で、「じんじょう袈裟」とも呼ばれている。

じゃぁ、また。

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