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■札幌プレ・ビエンナーレ 表現するファノン展・その4

2011年11月30日 00時30分08秒 | 展覧会の紹介-現代美術
承前)

 書きたいことはまだまだあるのだけど、とり急ぎ、書いておかなくてはならないことを記しておこう。

 それは、この展覧会が、単独で存在するものではない、という事実である。

 大半の展覧会は一回きりのものであって
「あれとあれが良かったよね」
「全体のコンセプトはどうだったかな」
みたいな話をしておけばそれで済む。

 しかし、この「ファノン展」は、あくまで2014年の札幌ビエンナーレの「プレ」なのだ。
 おそらく来年も開催されるであろう「プレ展」、そして、2014年の本番に向けて、今回の展覧会がどういうふうに位置づけられるのか。
 その視点がないまま、一連の文章を終えるわけにはゆかないだろう。

 とはいえ、春の、道立近代美術館で開かれた最初の「プレ展」を見ていないこともあり、あまりたいしたことは言えない。

 ただ、言えることは、今回の展覧会を機に、札幌ビエンナーレが、サブカルチャー、メディアアートといった方向性を鮮明にしたということではないかと思う。

 一般的なイメージでは、札幌や北海道では、広さとか食のうまさ、冬の厳しさといったものが挙げられるだろう。
 公式ホームページを見る限りでは、それらを捨て去ったというわけではあるまい。

 どれだけ広く知られているのかは心もとないが、札幌や北海道は、初音ミクに代表されるようなIT産業などが盛んであり、それを打ち出していこうというのであろう。
(とくに、公式ホームページのこのファイルには、その志向がいちじるしい)

 ただし、メディアアート、オタク文化などは、コンテンポラリーアート(現代美術)の一分野とは見なされておらず、どちらかというと隣接分野といったほうが正しい。

 ビエンナーレ(隔年の国際芸術祭)をうたうからには、現代美術との接点を断ち切るわけにはいかない。

 もちろん、正面から現代美術を掲げるのも、これだけ類似の催しが増えた中では、難しい。

 方向性がどうやって定まっていくのか。
 今回は、地元の若手を思いきってキュレーターに採用したが、本展では名の通った道外のキュレーターを招くのか。
 道外の作家をどれくらい入れるのか。

 会場や会期、札幌以外の開催地なども含め、詰めなくてはならないことがまだまだありそうだ。


http://www.sapporo-biennale.jp/2011geimori/

札幌芸術の森美術館
2011年10月29日(土)~11月23日(水)午前9:45~午後5:00(入場は4:30まで) 月曜休館、ただし10月31日は開館


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