北海道美術ネット別館

美術、書道、写真の展覧会情報や紹介。2013年7月末、北見から札幌に帰還。コメント、トラバはお気軽に。略称「ほびねべ」

■jobin.個展 [ あの夜の抜け殻 ] (2016年12月13~28日、札幌)

2016年12月28日 12時16分56秒 | 展覧会の紹介-現代美術
 札幌市東区の茶廊法邑 さ ろうほうむらで開かれた前回の個展からわずか3カ月。
 法邑さんには悪いけど、個人的には、今回のほうが好きです。

 「影」が明確にテーマになっていると思うからです。

 今回メインとなっているのは、針金で輪郭をかたどったモビールです。綿毛を使った作品は展示されていませんでした。

 たとえば、コーヒーを入れている情景を描写したこの作品。

「優しいは苦い
 苦いは優しい」
というようなことばが添えられていました。

 正直なところ、針金モビールのほうだけを見ると、紙の張り方などが巧みで繊細ではあるのですが、ちょっと線が細くて貧弱かも…と感じてしまいます。

 ところが、壁にうつった影に目を移すと、思いのほかしっかり的確に、コーヒーを入れている情景がとらえられているのです。

 もちろん、影のほうが、つかみどころがない、ぼんやりしたイメージであることはいうまでもありません。
 ですが、どちらがより、現実をうまくとらえて、すくい上げているかといえば、どうも影のほうに軍配が上がるような気がしてならないのです。
 つまり、あいまいな像のほうが、リアルに感じられてしまうわけです。

 そうなると、針金の「実体」と、壁にうつった「影」とは、いったいどちらが「本物」であるのかという、いわば哲学的、形而上学的な問いが、頭の中をぐるぐるとまわりはじめて、止まらなくなるのです。


 このほかにも、アジサイとかたつむり、送電線の鉄塔2基と電線と月や星、線香花火とラムネといったモティーフのモビールが、天井から吊り下げられ、ゆっくりとゆれながら、会場の壁に影を落としていました。

 こうして文字にするととりたてて特徴はありませんし、また、もしこれらのモティーフがリアルな彫刻だったり、しっかりと描かれた絵画だったりすれば、あまり心ひかれなかったように思います。
 頼りなげな線で構成されたモビールと、さらにはかなげな影だからこそ、見る人の心をつかみ、いろいろなことに思いをめぐらせるきっかけになるのではないでしょうか。


 冒頭の画像は、jobin.さんが子供のころ好きだったという、セミの抜け殻です。

 モビールやことばを用いてさかんに活動している札幌の造形作家 jobin.さんですが、最近の個展のなかでも、エポックメイキングというか、大きな一歩になった発表だといえると思います。


 なお、[会場の音楽]で佐々木恒平さん( http://koheisasaki.net/ )、[紙の選定]で藤井湖弓さんがコラボレートしています。
 藤井さんは札幌で活躍していたデザイナーですが、現在は東京在住なんですね。
 佐々木さんはjobin.さんの個展ではおなじみのサウンドデザイナーで、今回は会場に流れるのではなく、ヘッドフォンで聴くようになっています。
 個人的にはWim Melten や Apex Twin に通じるところがあって、好みでした。ところどころ、わざとノイズを入れているのが、おしゃれです。


2016年12月13日(火)~28日(水)午前10:30 ~午後10:00、日曜・最終日午後8時まで。会期中無休
TO OV cafe(トオンカフェ 札幌市中央区南9西3 マジソンハイツ)


□jobin.Lab https://jobin55.jimdo.com/
□twitter @jobin.55
□Instagram jobin55


過去の関連記事へのリンク
jobin. 個展 [そこで舞う] (2016年9月)

jobin.個展「延長戦」 (2015)
jobin. solo exhibition 私平線(2015年9月)

jobin.個展[てですすむto宝水ワイナリー]  (2014)

jobin.個展「てをとめて」 (2013)

jobin.さんのあかりを、ライジングサン・ロックフェスティバルの会場で見た(2012)
【告知】札幌美術展 Living Art-日常- やさしさは いつも そばに。(2012)

Rising Sun Rock Festival 2011 in EZO

Rising Sun Rock Festival 2010年
nid-Espace et musique et un cafe・-(2010年4月)
※「e」は、アクサンテギュつき

TOCCO 写真とモビールで綴る「旅」(2009年10月)
Rising Sun Rock Festival 2009年
ハルナデ展2009 jobin. と paterの二人展 (2009年3月)

500m美術館(2008年11月)
札幌スタイルのショーウインドーの展示(2008年)

House展 華やかな作家たち(2007年)





・地下鉄南北線「中島公園駅」から約220メートル、徒歩3分
・地下鉄東豊線「豊水すすきの駅」から約600メートル、徒歩8分

・中央バス、ジェイアール北海道バス「中島公園入口」から約380メートル、徒歩5分

・市電「山鼻9条」から約610メートル、徒歩8分
『芸術』 ジャンルのランキング
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 12月27日(火)のつぶやき その2 | トップ | パーカッショニスト、太田ひ... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL