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■山本雄基個展 グレーゾーンが踊っている(6月19日で終了) 帯広への旅(5)

2011年07月11日 22時45分05秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
(承前)

 前回からかなり間隔が空いてしまい、申し訳ありません。

 帯広の藤丸百貨店の斜め向かいという、中心街にあるのが、十勝のお菓子メーカーとして名高い六花亭。
 おいしいのに価格は良心的なところが広く支持されているのだと思います。
 作家のポートフォリオや小品を公開する「六花ファイル」を札幌の店内に設置したり、十勝管内中札内村に相原求一朗の絵を展示する施設を有する「中札内美術村」を開設するなど、メセナにも力を入れています。

 その本店の3階にあるのが、帯広を代表する画廊、弘文堂画廊。
 画廊は、常設展などを行う本スペースと、若手などの企画展を開催する「アートケース」の、二つの空間にわかれています。
 このたび、帯広出身、札幌在住の山本雄基さんが個展を開いたのは、後者のほうです。

 今回の個展に先立ち山本さんは、札幌の六花亭福住店にある喫茶スペースでも個展を開催していました。
 そこで発表した作品に新作を加えたのが、今回の個展です。

 冒頭の画像、右側の壁に見えるのは「レイヤード・グレイゾーン」。
 レインボーカラーにはひとつ足りませんが、6点組み。色を作品ごとに違えています。





 下のリンク先の多さでもわかるように、山本雄基さんは非常に精力的に活動している若手画家です。
 これ以外にも、栃木県の大黒屋という旅館が主催する「第5回大黒屋現代アート公募展」で昨年、大賞に輝いています。

 画風は、さまざまな色、明度、大きさの円が画面いっぱいに不規則にちらばるというもの。
 ひとつの円の上にべつの円が重なり、さらにべつの円が…といった具合に、いくつもの円の重なり合いが、透視図法とは異なる画面上の奥行き感を現出させています。前進色と後退色の組み合わせが、眩惑感を増大させます。
 その意味では、ふたたび画面の外にある現実社会に「意味」を見いだそうとしている現代美術とは異なる、抽象表現主義やミニマルアートといった絵画空間そのものに重きを置く絵画の系譜をしっかりと受け継ぐ作品であるといえると思います。
 それでいて、それぞれの作品は、キャンディーポップとでもいうべき明るくはじけるような画面でもあります。
 
 なんと、この円はフリーハンドで描いているとのこと。
 なるほど、コンパスなどを用いるよりも動感が出るのかもしれません。

 ところで、どうしてこんなにカラフルなのに、個展の題が「グレーゾーン」なの? と尋ねたら、本人いわく
「中間の領域を大切にしたいから」。
 なるほど。


 展示作は次の通り。ギャラリー以外に階段やエレベーターホールにも作品があったので、あるいは書き漏らしがあるかもしれません。
レイヤード・グレイゾーン (同題6点)
プレインバブル (同題2点)
untitled (同題2点)
曖昧のあわ みえ得るところ
レイヤード・グレイゾーン (6点組み)

2011年5月21日(土)~6月19日(日)10:30~6:30(最終日~4:00)、水曜休み
弘文堂画廊 KOHBUNDO ART CASE(帯広市西2南9 六花亭本店3階)

(「帯広への旅」次項へ続く) 



□山本雄基Website http://www.geocities.jp/yamamotopaintings/

山本雄基個展 プレインバブル (2010年)

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