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大地康雄の油絵展(11月21日まで)

2006年11月20日 21時54分21秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 屏風型のキャンバスにまばゆい色彩をちりばめる独特の絵で知られる大地康雄(おおち・やすお)さん。1980年代から「人間模様シリーズ」と銘打った個展をひらいてきましたが、今回は約20年ぶりにテーマを改め「異空間紀行シリーズ」という副題がついています。これまで地面の上で絡まりあっていた人間たちが、空中に浮かんだのが、最大の変化だと思います。
 冒頭の画像は、ことしの独立展に出品した「戦慄」(194×259×50センチ)。
 左サイドが小さめになっている、変則の二双一曲です。
 この作品は、細部がおもしろいので、部分を拡大した画像を3枚アップしておきます。
       

       

       
        

 空中に浮いているのは人間であり、ほかにも航空機やビルなどが描かれているのがわかりますが、とくになにかモティーフがあるわけでもない色の斑点も目立ちます。

 人間たちが「図」とすると、いわば「地」の部分が、地面と空とにわかれて、構図的にすっきりしたのではないかと思います。
 空の部分には金箔が貼られ、大地の部分は緑と赤がメーンにつかわれています。それぞれの色が反撥しあい、あでやかな、そしてどこか日本的な画面をつくりだしています。

「人間が空に浮かぶなんて、支えるものがないとダメだ、と亡き師匠にしかられるかもしれない。でも、一歩踏み出していかないと。自分にとっては冒険なんです」
と大地さん。

 大地さんは「人間模様」シリーズの前に、「北方風景」シリーズにとりくんでいました。昨年、ホクレンのカレンダーの原画を描いたこともあって、ふたたび風景への関心が高まっていたのでした。
 今回の個展で、風景と人物とが、みごとに融合したのだと思います。

        
 小品を紹介します。

 作品はつぎのとおり。
「鐘馗」(182×182×30)
「游藝」(50×50×7)
「満帆」「偏奏」「風華」(10F)
「交響」(8F)
「異郷」「狭境」「蜃気楼」(6F)
「再生」「惜春」「独奏」(4F)
「変奏」(サム)
「協奏」「対流A」「対流B」「望郷M」「望郷S」(0F)

 大地さんは1938年、後志管内岩内町生まれ。
 札幌在住、独立展と全道展の会員。

 これまでは夏に個展を開くことが多く、11月はめずらしい。
「去年までは、独立に出す作品の、完成前のをお見せしていた。初めて独立の展覧会から戻ってきた作品をみなさんにお見せできてよかったです」

 帽子をかぶり、髪を赤く染めて、いつまでも若々しい大地さんでした。

11月16日(木)-21日(火)10:00-18:00(最終日-17:00)
大同ギャラリー(中央区北3西3、大同生命ビル3階 地図A

■2004年の個展
■01年の個展


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