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■中橋修水彩画展 遥かなる風 (2016年8月29日~9月4日、札幌)

2016年09月06日 09時04分51秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 札幌の中橋修さんは、6月の2人展でお会いしたときに話しておられたように、絵画の世界へと回帰した。
 筆者が、ギャラリー門馬の前身である「スペースM」での個展を拝見したのが1998年。その前に札幌時計台ギャラリーで開いた個展が、平面と立体の双方を出品していたと聞いているから、絵画の個展はおよそ20年ぶりということになる。

 その間、自ら教えるパステル教室の展覧会に賛助出品を毎年続けていたし、2001年には「三岸好太郎・三岸節子賞展」に入賞を果たしているから、絵画とまったく没交渉だったわけではない。
 ただ、今回の出品作を見ると、やはりパステル教室展の出品作とは異なる印象を抱く。
 うまくいえないのだが、抽象画としての純度が高いような気がするのだ。

 冒頭画像の左端「ざわめきの夜」は、濃い色の重なりに何か気配のようなものが潜んでいる感じが伝わってくる。筆者には、暗闇に降りしきる雪のように思われた。

 そのとなりは「針路」。青い地に黒い線が1本引かれただけのシンプルな作品だが、立っている杭のようにも見えるし、空に生じた亀裂のようにも見えて、多義的な解釈の余地を残す。




 左端は「慈しみ」。
 黒い部分は墨を用いている。まるで透明なシートを重ねたかのように、墨が二重写しになって見えるが、これは用具に工夫があるとのことだ。
(画像が手ブレしているように見えますが、違います)
 
 そのとなりは「消せぬ不安」。


 右端は「予期した前兆」。水彩絵の具のにじみが、人物(ベールをかぶった女性)のように見えなくもない。
 制作にあたっては、絵の具をにじませることはもちろん、絵の具を吸い取ることもだいぶ行っていると話していた。

 中橋さんによると、立体と絵画の最大の違いは、立体はいったん設計図を作ると、あとはそれに沿って作業するだけだが、絵画は最後まで完成形が定まらないおもしろさがあるとのこと。
 今回の個展には、楽しんで制作したことがうかがえる、濃密さと粋が両立した作が並んでいると思った。

 その他の出品作は次のとおり。
気炎
針路
黒い森
漂泊
朧ろげな道
共振
山の彼方
誘われて
沈静
闇に蠢く
目覚め


2016年8月29日(月)~9月4日(日)午前10時~午後6時
らいらっく・ぎゃらりぃ(札幌市中央区大通西4 北海道銀行本店1階)

□Art Works NAKAHASHI http://nakakana25.server-shared.com/

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