北海道美術ネット別館

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■光を編む この言葉に触発された13名の作家達が織りなす世界・続き(11月2日で終了)

2008年11月17日 20時47分27秒 | 展覧会の紹介-写真
承前

 枚数が多いので、エントリを2つに分割した。

 会場中央は鈴木高明「Equipment which knits memory blue flame」。
 仰向けに置かれた白い等身大人形が網に入れられ、青い光で満たされている。人形の腹のあたりにはモニターが設置され、海浜の風景や女性の顔、列車の車窓風景などが流れていた。
 この立体のおかげで、「光を編む」展が単なる写真展ではない、ユニークな展覧会となった意義は大きい。


            

 竹本英樹「ヒマワリ」。
 なんか色の設定を間違えたらしく、竹本さんすいません。

 情熱、荒さ、郷愁。
 いろんな要素がまじりあったカラー5枚組み。
 8ミリフィルムを使っているのは、いつものとおりと思われる。


            

 竹田あやこ「その日 その光」。
 カラー6枚組み。
 カーテン越しの光、電線など、あまりにさりげない風景は、とても「今の写真」的な感じがする。
 うまく言い表せないが、やさしくてあたたかく、そしてはかない風景なんだと思う。


            

 細野祐太「干渉」。
 題には、なにやら小難しい数式が付されていたが、省略。
 モノクロ5点で、どうやらすすきのあたりでゲリラ的に通行人を撮ったような雰囲気。
 会場全体の中では、相当に異色の(逆に言えば、写真らしい)写真だ。
 細野さんは大学生。


            

 友岡幸代「ひかりのひるね」。
 カラー21枚を、金属の缶とそのふた(?)にはり付けて並べた。必然的に、作品はすべて横位置。
 仔細に見ると、旧作もかなり交じっているようだが、高層住宅の窓から短時間のうちにうつろい変化する大気と光に敏感な作者の感受性がつたわってくる。

いつもと変わらぬ暮らしの中 いつもと変わらず
窓を開け 光をもとめる
いつか見た樹々は光が織りなす光景
感動し 気づき 発見 織り成す不思議
小さな私の日常がまた始まる


            

 高井稜。カラー4枚。
 以前は、いかにもポジを重ねてプリントしました-という技巧が前面に出たような作品もなくはなかったが、今回は完成度が高い。
 窓と花が闇の中に浮かぶ作品など、ダイナミックな明暗はカラヴァッジョ的なのに、画面から受ける印象は、谷崎潤一郎「陰影礼賛」を聯想させる非常に繊細な情緒なのだ。
 いつか個展で見たい人です。


            

 山口貴司「One of solid solution thanks hitoshi」
 モノクロ1点のみ。
 あまりグループ展に参加することがなく、クラブイベントなどでの発表が多かった山口さん。逆光で人物がアオリ気味にとらえられ、シルエットが浮かび上がる。これまでの作品からは想像できない、シンプルな写真だ。ただ、壁に掛けず、天井からつるしたあたりが、山口さんらしいのかも。


            

 秋元麻美「空を編む 風を編む 光を編む」
 カラー6枚の正方形作品。
 カンバスにプリントアウトしたのかと思いきや、看板用の防水シートのようだ。
 水たまりにうつる空など、何気なく、さりげない日常の風景が撮られている。
 

 最後はウリュウユウキ「ひかりのまちを-sappororhythm-」。
 モノクロ10枚。
 4丁目交叉点のスクランブル、雪、地下鉄…。
 1枚ですべてを語ろうとするのではなく、組写真の流れでひとつの漠然としたストーリーを紡ぎ出すのがウリュウ流だと思った。

 ところで、ウリュウさんの写真を撮りわすれたみたいです。すいません。他意はありません。そのかわりといっては何ですが、サッポロフォトステージのエントリで、写真を大きくしておきました。 


 というわけで、ことし屈指の写真展であったと思う。


2008年10月28日(火)-11月2日(日)10:00-19:00
コンチネンタルギャラリー(中央区南1西11、コンチネンタルビル地下 地図C)

(北洋銀行のあるビルです)
・地下鉄東西線「西11丁目」から徒歩2分
・市電「中央区役所前」下車すぐ
・じょうてつバス「中央区役所前」から徒歩1-4分

MOVE (08年2月)=リンクはこのエントリを参照してください


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