北海道美術ネット別館

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■愛する美術 Part1 ヒューマン・ラブ (1) (1月27日で終了)

2008年02月25日 20時54分41秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
(このエントリに限り、性的な事項が含まれていますので、そういう話題が嫌いな方は読まないでください。お願いします)


 自前の所蔵品にこだわらず、道立近代美術館や、旭川と札幌の両彫刻美術館、作家蔵の作品をフルに活用した企画の勝利。
 冬場の常設展ではありますが
「キュレーションしてるなあ」
と思いました。
 美術館がキュレーションするのは、当たり前なんですけど、北海道の場合、その当たり前がいつも実践されているとは限らないような気もするわけで…。

 で、こないだも書いたけれど、この展覧会の白眉は、佐竹真紀さんの映像「インターバル」だと思います。

 会場に入って、しばらくの間はちょっとどぎまぎしました。
 愛と性にかかわる絵画や彫刻がならんでいるからです。
 もちろん、美術館ですからポルノ的な作品というわけではありません。

 しかし、シャガールの版画連作「ダフニスとクロエ」にしても、原作はけっこう性的な要素もあるわけです。
 これまで、そこのところをはっきり書いたパネルは、見た記憶がないのですが、今回は「愛の手ほどき」と書いてありました。こどもに「愛の手ほどきってなーに?」って聞かれると、ちょっと困りますが。
 それと、最後の1枚を見て思ったのですが、新婚初夜に、玄関のすぐ前にたくさん人がいるのも、なんだかイヤですね(笑)。

 この流れで行くと、つぎに展示されている、レダと白鳥をモティーフにした国松登の絵と桜井祐一の彫刻も、とても性的に見えてくるのです。
 国松は、白鳥の首をずいぶん不安定なタッチで描いているのですが、これが男性器の比喩であることを無意識に察知しながら筆を走らせていたのかもしれません。

 ただ、彼が1940年ごろに、ギリシャ神話を題材にした絵を描いていたことを知ると、それはそれで別の感慨もわいてきます。難波田龍起もこのころ、同様の題材で制作していました。
 1933年前後を境に、日本の若者の心を強くとらえたマルクス主義運動が弾圧のため急速に退潮し、その後の超国家主義と軍国主義が日本を覆い尽くすまでの短い間、当時の若者たちは、行き場のない自らの理想を、古代ギリシャに託したのかもしれないのです。根拠のない想像ですが…。 

(長くなってきたので以下別項


07年12月1日(土)-08年1月27日(日)9:45-17:00(入場-16:30)、月曜(1月14日は開館)、12月25日、29日-1月3日、1月15日休み
札幌芸術の森美術館(南区芸術の森2)



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