(承前)
最後は、駐車場附近に点在する作品などです。
冒頭と次の画像は、吉野隆幸「心象覚」。
吉野さんは帯広在住で、防風林アートプロジェクト実行委の副委員長でもあります。
ここ数年は、古いリンゴ箱を素材としたインスタレーションを展開していて、トラックの荷台に積んで道内各地(札幌、置戸、音威子府など)で組み立てています。
組み立て方は各地で少しずつ異なっており、内部に入れるという点はわりと共通していますが、今回はまるで高床式倉庫のように組み立てています。
時には、内部に、液晶モニターを設置することもありますが、今回は寒冷地で、電気製品は作動しなくなる恐れが強いので、何も置いていないものと思われます。
リンゴ箱は懐かしさの念を呼び起こします。かつて、菓子や果物がいまのように豊富でなかった時代、リンゴがどれほど貴重な甘みであり、嗜好品であったか。わたしたちはそのことを、つい忘れてしまっているのだと思います。
阿地信美智、韮沢淳一、渡辺行夫の3氏は、2011、13年の「ハルカヤマ藝術要塞」運営を中心的に担った人々ですが、今回は合作で「風枝 HARUKA-WAN」という巨大なインスタレーションを制作しました。
直径およそ20メートルのストーンサークルのような形状。イタドリ約300本のほか、金属や木材などを使い、中央には風見鶏のように向きを変えて回転する風車を設置しています。
藤本和彦「雪の音・再生」
藤本さんは札幌の彫刻家。
駐車場の小屋の前に、大きな土管のようなものを雪でこしらえました。
今回は、雪原のアートプロジェクトですが、いわゆる雪像大会ではないので、雪を素材とする作品は、意外にもこれ1点です。
題から推測して、この中を風が通ると、音がする仕組みになっているのでしょうが、筆者が訪れた時は聞こえませんでした。
ここからさらに南へ向かったところで、萩野明宏さん(帯広)が制作中ということをききました。
伽井丹彌「雪霊(プシュケ)の系譜」
伽井さんは帯広の人形作家で、札幌などでも多数発表しています。
野外展で、どうやって人形を発表するのだろうと思っていたら、樹上からこちらを見つめていました。
カシワの木でしょうか。
開拓でどんどん切られてしまいましたが、河岸段丘などの斜面にはこのように残っているところもあります。
だだっ広い畑のなかに、直線の防風林と、曲線の河岸段丘がアクセントを作るのは、いかにも十勝らしい光景といえそうです。
河岸段丘の林の中にひっそりと設置されているのが、唐牛幸史「アンカー(原始の森に)」。
この近くの斜面には、野口裕司「サララ」が設置されているそうですが、昼間は見えづらいとのこと。
野口さんは札幌在住。日本画から出発して、最近は動画などに軸足を置いています。
また、柏倉一統さんは、一覧表に「偏に風の前の塵に同じ(変更有)」という題の作品がリストアップされています。
和紙と針金で作ったもので、「土にかえってほしいので、単純なもので作っています。風に運ばれ散歩しているようで、大成功です」とのこと。転がる作品のようで、筆者は見つけることができませんでした。
すみません。
【告知】 吉野隆幸個展 「心象覚」 (2012)
■阿地信美智「使いものにならない領域(七)天国へのハシゴ」 ハルカヤマ藝術要塞 (2011)
旭川彫刻フェスタの公開制作=韮沢さん、渡辺さん出品
■川上りえ 札幌文化奨励賞受賞記念 Plus1 Group Exhibition (2013)=藤本さん出品
藤本和彦「野槌(のづち)」 ハルカヤマ藝術要塞
□伽井丹彌 Kai Akemi [人形譚ーMith of Dollー]http://tokachi.com/kai/
■資料館をARTする。 (2014)=伽井さん出品
【告知】伽井丹彌展 (2011)
最後は、駐車場附近に点在する作品などです。
冒頭と次の画像は、吉野隆幸「心象覚」。
吉野さんは帯広在住で、防風林アートプロジェクト実行委の副委員長でもあります。
ここ数年は、古いリンゴ箱を素材としたインスタレーションを展開していて、トラックの荷台に積んで道内各地(札幌、置戸、音威子府など)で組み立てています。
組み立て方は各地で少しずつ異なっており、内部に入れるという点はわりと共通していますが、今回はまるで高床式倉庫のように組み立てています。
時には、内部に、液晶モニターを設置することもありますが、今回は寒冷地で、電気製品は作動しなくなる恐れが強いので、何も置いていないものと思われます。
リンゴ箱は懐かしさの念を呼び起こします。かつて、菓子や果物がいまのように豊富でなかった時代、リンゴがどれほど貴重な甘みであり、嗜好品であったか。わたしたちはそのことを、つい忘れてしまっているのだと思います。
阿地信美智、韮沢淳一、渡辺行夫の3氏は、2011、13年の「ハルカヤマ藝術要塞」運営を中心的に担った人々ですが、今回は合作で「風枝 HARUKA-WAN」という巨大なインスタレーションを制作しました。
直径およそ20メートルのストーンサークルのような形状。イタドリ約300本のほか、金属や木材などを使い、中央には風見鶏のように向きを変えて回転する風車を設置しています。
藤本和彦「雪の音・再生」
藤本さんは札幌の彫刻家。
駐車場の小屋の前に、大きな土管のようなものを雪でこしらえました。
今回は、雪原のアートプロジェクトですが、いわゆる雪像大会ではないので、雪を素材とする作品は、意外にもこれ1点です。
題から推測して、この中を風が通ると、音がする仕組みになっているのでしょうが、筆者が訪れた時は聞こえませんでした。
ここからさらに南へ向かったところで、萩野明宏さん(帯広)が制作中ということをききました。
伽井丹彌「雪霊(プシュケ)の系譜」
伽井さんは帯広の人形作家で、札幌などでも多数発表しています。
野外展で、どうやって人形を発表するのだろうと思っていたら、樹上からこちらを見つめていました。
カシワの木でしょうか。
開拓でどんどん切られてしまいましたが、河岸段丘などの斜面にはこのように残っているところもあります。
だだっ広い畑のなかに、直線の防風林と、曲線の河岸段丘がアクセントを作るのは、いかにも十勝らしい光景といえそうです。
河岸段丘の林の中にひっそりと設置されているのが、唐牛幸史「アンカー(原始の森に)」。
この近くの斜面には、野口裕司「サララ」が設置されているそうですが、昼間は見えづらいとのこと。
野口さんは札幌在住。日本画から出発して、最近は動画などに軸足を置いています。
また、柏倉一統さんは、一覧表に「偏に風の前の塵に同じ(変更有)」という題の作品がリストアップされています。
和紙と針金で作ったもので、「土にかえってほしいので、単純なもので作っています。風に運ばれ散歩しているようで、大成功です」とのこと。転がる作品のようで、筆者は見つけることができませんでした。
すみません。
【告知】 吉野隆幸個展 「心象覚」 (2012)
■阿地信美智「使いものにならない領域(七)天国へのハシゴ」 ハルカヤマ藝術要塞 (2011)
旭川彫刻フェスタの公開制作=韮沢さん、渡辺さん出品
■川上りえ 札幌文化奨励賞受賞記念 Plus1 Group Exhibition (2013)=藤本さん出品
藤本和彦「野槌(のづち)」 ハルカヤマ藝術要塞
□伽井丹彌 Kai Akemi [人形譚ーMith of Dollー]http://tokachi.com/kai/
■資料館をARTする。 (2014)=伽井さん出品
【告知】伽井丹彌展 (2011)
(この項続く)
帯広郊外の厳しい防風林一帯で作品を楽しむ風景、ブログから伝わってきて、ワクワクしました。
冬季に屋外で作品を楽しめる機会は、あまりないと思いますが、観に行かれず、残念でした。
ブログを拝見させていただき、ありがとうございました。
ただ、このプロジェクトは、ほんとに楽しかったです。
北国じゃないとできない体験でした。
筆者のブログで雰囲気だけでも味わっていただければと思います。