(承前)
2013年5月29日に遠軽・丸瀬布に行った最大の目的は、マウレメモリアルミュージアムを訪れることだった。
北見に住んでいて、オホーツク管内に、行ったことがない「ミュージアム」があるというのも、われながらいかがなものかと思ったのだ。
2004年に閉校した武利小の建物を利用している。
ただし、一部はその後に増築したようだ。
校舎前に、大きなアンモナイトがごろごろ置いてある。
筆者は以前、道北の某町教育委員会の倉庫の床に、アンモナイトがいくつも無造作に並べられていたのを見ているので、それほど驚かないのだが、ふつうはびっくりするのかもしれない。
さて、このミュージアムは、大きく分けて三つのセクションからなっている。
1. 口と足で描かれたアートギャラリー
2. 仏像と、四国八十八カ所の寺の仏像を石炭画で描いた絵がある「祈りのギャラリー」。
3. 地球と生命 サイエンスギャラリー
このうち、1.は、四肢にハンディキャップのある国内外の人々が絵筆をくわえて(一部、足で)描いた絵。
穏やかな風景画や静物画、キュビスム調の絵などさまざまな作品があり、説明がなければ、とても口で描いたとは思われない。
有名な星野富弘さんの作品はないが、ギリシャやキプロス、ブラジル、韓国、タイ、スロベニア、ベラルーシ、ニュージーランドなど、いろいろな国から作品が集まっている。日本国内もある。ただし、どういうわけか、米国人の作品は皆無であった。
50点余りもあっただろうか。個人的には、マルシス・O・オマソンボ(ザイール)の「アフリカの女性」が良かった。夜の木陰に坐る黒い肌の女性が幻想的だ。
「祈りのギャラリー」の石炭画を描いているのは、空知管内上砂川町の早川季良さん(■上砂川・北の創造者達展07)。
正直なところ、それぞれの仏画に、それほどのバリエーションはない。
もともと仏像の絵というものは、バリエーションを出しやすい題材ではないのだと思う(だから、釈迦十大弟子を制作した棟方志功って、やっぱりすごいのだ)。
しかし、点数が点数なので、びっしりと壁に、黒を基調とした絵が並んでいるのは、迫力がある。
この「祈りのギャラリー」を構成しているもうひとつの重要なものは、仏像。
これが、やたらとあるのだ。二つの部屋に、ざっと数えて大小140体余りあった。
筆者は「釈迦苦行像」とか「摩利支天像」「弁財天像」などという文字を見ても、違いがよく分からないし、これらがどれほど貴重なものなのか、よくわからない。
「チベット」とあるのはともかく「チベット/インド」と説明板にあるのって、どうなんだろうとは思う。
おみやげ物を集めたものようにも見えるが、じつはありがたいものなのかもしれない。
2階も、アンモナイト、恐竜の骨格模型や化石の数々、といったところは、すごいなあと思うのだが、帆船や飛行機の模型というのは、どうにもコレクションの趣旨がよくわからない。
圧巻は、廊下にずらーっと並んだ海外のチョウの標本。
極彩色のりんぷんが光るさまはすごい。
560個、一つずつ額に収まっているのが珍しい。これは、標本の持ち主がコレクターであって、採集家・研究者ではないことを示唆しているように思う。
帰路、バスの運転手に聞くと、これでも全体の3分の1ほどで、あとは倉庫にしまってあるという。
というわけで、全体を通してみると、よく趣旨がわからない展示であったが、それぞれのコレクションは意義深い。それに、コレクションそれ自体の価値を問いたがること自体が、美術関係者に特有の思考形式であろう。
このブログの読者には、身障者による絵画展は一見の価値があるだろうと思う。
(話はそれるが、身障者になったきっかけとして、水泳での事故というのがけっこう多い。さすがに柔道は、海外の人が多いので、ない。水泳を学校授業に取り入れることには気をつけたほうがいいかもしれない)
欠点は、BGMの音量がうるさすぎること。
ほかに客がいないんだから、そもそもBGMなんていらんだろう。
あと、北海道の施設で多いパターンだけど、冬期間は閉鎖となっているので、注意!
□ http://www.maure-sanso.com/mmm/
・遠軽町営バス、マウレ温泉行きで「神居滝」降車、約300メートル、徒歩5分
2013年5月29日に遠軽・丸瀬布に行った最大の目的は、マウレメモリアルミュージアムを訪れることだった。
北見に住んでいて、オホーツク管内に、行ったことがない「ミュージアム」があるというのも、われながらいかがなものかと思ったのだ。
2004年に閉校した武利小の建物を利用している。
ただし、一部はその後に増築したようだ。
校舎前に、大きなアンモナイトがごろごろ置いてある。
筆者は以前、道北の某町教育委員会の倉庫の床に、アンモナイトがいくつも無造作に並べられていたのを見ているので、それほど驚かないのだが、ふつうはびっくりするのかもしれない。
1. 口と足で描かれたアートギャラリー
2. 仏像と、四国八十八カ所の寺の仏像を石炭画で描いた絵がある「祈りのギャラリー」。
3. 地球と生命 サイエンスギャラリー
このうち、1.は、四肢にハンディキャップのある国内外の人々が絵筆をくわえて(一部、足で)描いた絵。
穏やかな風景画や静物画、キュビスム調の絵などさまざまな作品があり、説明がなければ、とても口で描いたとは思われない。
有名な星野富弘さんの作品はないが、ギリシャやキプロス、ブラジル、韓国、タイ、スロベニア、ベラルーシ、ニュージーランドなど、いろいろな国から作品が集まっている。日本国内もある。ただし、どういうわけか、米国人の作品は皆無であった。
50点余りもあっただろうか。個人的には、マルシス・O・オマソンボ(ザイール)の「アフリカの女性」が良かった。夜の木陰に坐る黒い肌の女性が幻想的だ。
「祈りのギャラリー」の石炭画を描いているのは、空知管内上砂川町の早川季良さん(■上砂川・北の創造者達展07)。
正直なところ、それぞれの仏画に、それほどのバリエーションはない。
もともと仏像の絵というものは、バリエーションを出しやすい題材ではないのだと思う(だから、釈迦十大弟子を制作した棟方志功って、やっぱりすごいのだ)。
しかし、点数が点数なので、びっしりと壁に、黒を基調とした絵が並んでいるのは、迫力がある。
この「祈りのギャラリー」を構成しているもうひとつの重要なものは、仏像。
これが、やたらとあるのだ。二つの部屋に、ざっと数えて大小140体余りあった。
筆者は「釈迦苦行像」とか「摩利支天像」「弁財天像」などという文字を見ても、違いがよく分からないし、これらがどれほど貴重なものなのか、よくわからない。
「チベット」とあるのはともかく「チベット/インド」と説明板にあるのって、どうなんだろうとは思う。
おみやげ物を集めたものようにも見えるが、じつはありがたいものなのかもしれない。
2階も、アンモナイト、恐竜の骨格模型や化石の数々、といったところは、すごいなあと思うのだが、帆船や飛行機の模型というのは、どうにもコレクションの趣旨がよくわからない。
圧巻は、廊下にずらーっと並んだ海外のチョウの標本。
極彩色のりんぷんが光るさまはすごい。
560個、一つずつ額に収まっているのが珍しい。これは、標本の持ち主がコレクターであって、採集家・研究者ではないことを示唆しているように思う。
帰路、バスの運転手に聞くと、これでも全体の3分の1ほどで、あとは倉庫にしまってあるという。
というわけで、全体を通してみると、よく趣旨がわからない展示であったが、それぞれのコレクションは意義深い。それに、コレクションそれ自体の価値を問いたがること自体が、美術関係者に特有の思考形式であろう。
このブログの読者には、身障者による絵画展は一見の価値があるだろうと思う。
(話はそれるが、身障者になったきっかけとして、水泳での事故というのがけっこう多い。さすがに柔道は、海外の人が多いので、ない。水泳を学校授業に取り入れることには気をつけたほうがいいかもしれない)
欠点は、BGMの音量がうるさすぎること。
ほかに客がいないんだから、そもそもBGMなんていらんだろう。
あと、北海道の施設で多いパターンだけど、冬期間は閉鎖となっているので、注意!
□ http://www.maure-sanso.com/mmm/
・遠軽町営バス、マウレ温泉行きで「神居滝」降車、約300メートル、徒歩5分
(この項続く)