筆者は初めて入るアーティストギャラリーですが、昨年の10月からオープンしていたそうです。
札幌とサンフランシスコを往復して制作している大井敏恭さんらが中心となって運営しています。
若手を中心とした作品の展示販売のほか、レンタルも行っています。「絵画をすこしでも暮らしのなかに」というメンバーの願いによるものだと思います。
28日までは、昨年の道展で、最高賞の記念大賞を受けた山本雄基さんの個展がひらかれています。山本さんは、道教大の大学院に在学中の若手です。
ふつうのマンションの1室に、チャイムを鳴らして入り、くつを脱いで、絵を見るのは、なにやらふしぎな感じ。
写真奥の作品は「ブラックホールの奥の方」。120センチ四方で、奥行きが15センチあります。
山本さんの作品は、奥行きがあって側面も色が塗られており、こちら側の面と側面との境が、丸みを帯びているのが特徴です。
山本さんも
「これだけ映像が氾濫している中で絵画を描く意味ってなんだろう」
などと、いろいろ考えていたそうです。
駅構内をハイパーリアルなタッチで描いた2004年の道展出品作を見たときから、たぶんそういう問題意識のある人なんだろうなとは思ってましたが(こういう言い方は後出しじゃんけんみたいでずるいですね)、写真そっくりに描くことに限界を感じ、現在のような作風になったそうです。
たしかに、側面を利用すると、これまで多くの画家の頭を悩ませてきた「画面の端をどうするか」という問題はかなり解消されます。
また、現代の絵画が、物質であること(つまり単なる平面というのは幻想であること)に対しての自己言及性を必要としているのだとすれば、これほどあざやかな回答はめったにないのでは、と思います。
まあ、それほどむつかしいことは考えなくても、山本さんの作品はじゅうぶんにポップでたのしいわけですが。
水色のキューブ状の「絵」には「空気遠近法」というユニークなタイトルがついていました。(写真右の作品)
ほか、10.5センチ正方形の小さな絵25枚からなる平面インスタレーション「SMALL POWER」などが展示されていました。
で、新機軸がこれです。
左の三つの丸は「FULL MOON」、右側の黒い背景のある絵は「FULL
MOON ON THE DARK」という題がついています。
満月です。
山本さんによると、満月は、じつは球体なのに、平面に見える。
これは、絵画とはなにかを考えるにあたって、おもしろい存在です。
また、錯覚によって、わたしたちは実際よりすごく大きく感じている。
人間の視覚のいい加減さを象徴するものでもあるのです。
というわけで、とても刺戟を感じた個展でありました。
2月14日(火)-28日(火) 月・水・金曜休み 13:00-17:00(土日は11:00-19:00)
アーティストギャラリー(中央区北1西15 大通ハイム209)
札幌とサンフランシスコを往復して制作している大井敏恭さんらが中心となって運営しています。
若手を中心とした作品の展示販売のほか、レンタルも行っています。「絵画をすこしでも暮らしのなかに」というメンバーの願いによるものだと思います。
28日までは、昨年の道展で、最高賞の記念大賞を受けた山本雄基さんの個展がひらかれています。山本さんは、道教大の大学院に在学中の若手です。
ふつうのマンションの1室に、チャイムを鳴らして入り、くつを脱いで、絵を見るのは、なにやらふしぎな感じ。
写真奥の作品は「ブラックホールの奥の方」。120センチ四方で、奥行きが15センチあります。
山本さんの作品は、奥行きがあって側面も色が塗られており、こちら側の面と側面との境が、丸みを帯びているのが特徴です。
山本さんも
「これだけ映像が氾濫している中で絵画を描く意味ってなんだろう」
などと、いろいろ考えていたそうです。
駅構内をハイパーリアルなタッチで描いた2004年の道展出品作を見たときから、たぶんそういう問題意識のある人なんだろうなとは思ってましたが(こういう言い方は後出しじゃんけんみたいでずるいですね)、写真そっくりに描くことに限界を感じ、現在のような作風になったそうです。
たしかに、側面を利用すると、これまで多くの画家の頭を悩ませてきた「画面の端をどうするか」という問題はかなり解消されます。
また、現代の絵画が、物質であること(つまり単なる平面というのは幻想であること)に対しての自己言及性を必要としているのだとすれば、これほどあざやかな回答はめったにないのでは、と思います。
まあ、それほどむつかしいことは考えなくても、山本さんの作品はじゅうぶんにポップでたのしいわけですが。
水色のキューブ状の「絵」には「空気遠近法」というユニークなタイトルがついていました。(写真右の作品)
ほか、10.5センチ正方形の小さな絵25枚からなる平面インスタレーション「SMALL POWER」などが展示されていました。
で、新機軸がこれです。
左の三つの丸は「FULL MOON」、右側の黒い背景のある絵は「FULL
MOON ON THE DARK」という題がついています。
満月です。
山本さんによると、満月は、じつは球体なのに、平面に見える。
これは、絵画とはなにかを考えるにあたって、おもしろい存在です。
また、錯覚によって、わたしたちは実際よりすごく大きく感じている。
人間の視覚のいい加減さを象徴するものでもあるのです。
というわけで、とても刺戟を感じた個展でありました。
2月14日(火)-28日(火) 月・水・金曜休み 13:00-17:00(土日は11:00-19:00)
アーティストギャラリー(中央区北1西15 大通ハイム209)
残り1日となりましたが、皆さんゆっくりくつろいでいかれます。
かしこまってみるのではなく、まるで山本さんの家に遊びにきたような感じでみていただけます。
座ったり寝転がったりして、山本作品の自由な浮遊感をお楽しみください。
裏テーマはプカプカです。
山本さんの作品変遷もリアルに味わえるかと思います。