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■大島龍展 (10月20日まで)

2007年10月19日 23時58分31秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
  
 大島さんは、札幌の北どなり、石狩市の旧市街に住む版画家・詩人です。
 近年は札幌のほか、パリなど海外での展覧会も多くこなしているほか、舞踊など他分野のアーティストと協力しての発表にも積極的です。
 以前はオオカミをテーマにした作品が多かったのですが、最近は、青を基調にした抽象作品が中心になっています。今回も、水色から藍まで、さまざまなトーンの青による作品と、黒と白の図形の組み合わせによる木版画の、2種類がならんでいました。

 冒頭の画像の、右側にかかっているのは「Resonance・こだまする光」。
 4年前の個展のときほどではないですが、かなりの大作です。

 ただ、平坦に青を塗っているのではないことを示すために、拡大写真をつぎに掲げます。



 弧を描くストロークが画面にリズムをもたらしています。

 この作品は、目の覚めるような群青ですが、「天地交響 古代の記憶から」は落ち着いた藍色。「Resonance・こだまする青 天地交響」は、やや灰色がかったしぶい青など、作品によって、青の色合いは異なります。

 かつてピレネー山脈で見た空だけでなく、いろんな青が響いているんだろうなあと思います。
 大島さんは「オオカミといえば、森、森と言えば水」と話し、かつてのテーマとつながっていることを明らかにしていました。


 今回あらためて感じたのは、大島さんの関心は「文化の古層」とでもいうべきものに向かっているのだなということです。
 農耕文化が支配する前の狩猟文化への興味がオオカミへの愛着につながっているのでしょうし、欧洲でいえば、ハイネが書いたような、キリスト教以前の、ケルト文化や巨石文化に共感しているのだと思います。
 そこには、現代が抱える深刻な危機を打開するヒントが隠されているかもしれません。
「日本ではオオカミは神様で、滅ぼしてやろうという発想がない。北海道でオオカミが滅んだのは、エドウィン・ダンが、アメリカ式牧畜を普及させるため、アメリカで余った毒薬を集めて輸入したから」
と力説する大島さん。
 筆者は、ちょうどその日、宮本常一の名著「忘れられた日本人」の、林業に携わる人がオオカミをおそれ敬っていたというくだりを読んでいただけに、考えさせられるものがありました。


 出品作はつぎのとおり。
「ハレーション」
「虹の湧く島へ」
「ドルメン 古代の記憶(中央フランスにて)」
「Resonance・こだまする青(アイルランドにて)」
「Resonance・こだまする青 朝の入口又は目覚」
「MY アイルランドの青 島へ」
「アイルランド 窓辺の四季 天気雨」「アイルランド 窓辺の四季 虹の島」「アイルランド 窓辺の四季 朝と夜と」「アイルランド 窓辺の四季 アランセーターの女」
「Resonance・こだまする青 天地交響」
「Resonance・こだまする青 さわげ山河」
「MY アイルランド(グローバル・パトリック山と白雲岳)」
「Resonance・こだまする朝」
「Resonance・こだまする朝」
「Resonance・こだまする青 河口(にて)」
「Resonance・こだまする青 大地交響」
「天地交響」
「Resonance・こだまする青 藍より出でて」
「天地交響 古代の記憶から」
「Resonance・こだまする光」

「Resonance・こだまする場所」
「Resonance・こだまする谷」
「Resonance・こだまする天と地」
「Resonance・こだまする水平線」
「Resonance・こだまする夕陽」
「Resonance・こだまする雲」
「Resonance・こだまする風」
「Resonance・こだまする冬の月」
「Resonance・こだまする水」


07年10月15日(月)-20日(土)10:00-18:00(最終日-17:00)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A

03年の個展


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