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美術、書道、写真の展覧会情報や紹介。2013年7月末、北見から札幌に帰還。コメント、トラバはお気軽に。略称「ほびねべ」

■HOKKAIDO EXHIBITION 2016 Loop -spin off-(3月7~12日、札幌)

2016年03月12日 01時01分01秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
(アップ直後に一部修正)

 <「Loop」は多様な地域・ジャンル、境界を超えた活動を目指すノマド(遊牧民)的表現者集団です。>

とサイトにある通り、Loopは、道内外の20~40代の作家によるグループ展。今回、4度目にして初めて、道内作家だけの10人展となった。代表の抽象画家、鈴木悠高さんによると、今回はそのLoopのスピンオフ(番外編)展とのこと。

 決して広くないギャラリーたぴおの会場に10人の作品が並んでおり、見応えはたっぷり。
 今回、さまざまな写真をアップしたが、これだけではとうてい会場の雰囲気を伝え切れていないと思う。
 土曜に時間のある人は、足を運んでほしい。

 充実感はあるが、詰め込みすぎの感じはそれほどでもない。
 これは、私見だが、形式的な平等主義で10人に同じ広さを割り振るのではなく、思い切ってメリハリをつけたからだと思う。
 といって、狭い面積をあてがわれた出品者を、迫害しているという雰囲気もない。
 もし10人全員が平面なら、壁面がぎっしり埋まってしまっただろうが、大小の立体が多いことも、わくわくする雰囲気を強めている。

 また、他の出品者に刺戟されて、作品配置などを変更する例があったという。それも、グループ展ならではのことだろう。
 ただ自作を出して終わり、というのではなく、相互にみがきあっていくというのが良いと思う。


 会場に入ってまず目に飛び込んでくるのは、杉田央樹「B7」。
 銀色のホースがぐるぐると走る塔状の立体で、銀色のスプレーで着色されたアジサイの花や、細い筒の先に取りつけられた赤いバラが、異彩を放つ。
 杉田さんの名は初めて聞くが、本来はいけばなの作家だそうだ。

 バラの花は毎朝水に浸して、生気を取り戻している。
 床の上に散らばる花びらは、故意に落としたものだという。

 奥に、小川豊さんの「心のひだ」シリーズの絵があり、見る角度によって2人の作品が響き合っているように見えるのがミソだ。
杉田さんに触発されて、作品の配置に試行錯誤を重ねたのが、佐々木仁美さん「振り返る勇気 振り返らない勇気(集合体)」。

 大小の金属による立体はごくシンプルな形で、多くは床の上にじかに置かれている。
 それを取り囲むように、天井から錫の小品が17個ほど、つり下げられている。少しずつ形が異なり、ペンギンのようにも人のようにも見える。

 右上の画像で、奥に見えるのが、川口巧海さんのコラージュ。
 「固定された薔薇の質量」「停止した薔薇の湿度」「Nyxは逆三角形で夢む」「失われる時の肖像」「石化した感情の計測」

 澁澤龍彦などに通じる独特の川口ワールドだが、作中に使われている絵は、自作の銅版画だったりする。
 題に「薔薇」の字が使われているのが、杉田さんの作と共鳴しているようで、おもしろい。

 
 斜めの壁には齋藤由貴「記憶の季節」。
 細長い四角形4個、四角形2個、大きな円1個、小さな円7個からなる平面インスタレーションで、鮮やかな青い色が空を聯想させるのはいつもの通り。

 奥の壁には、伊藤恵里「stroke」が5点。
 緑色を基調としたドローイングで、即興的な線と色の重なりが特徴。

 小川さんは3点。「心のひだ 2016-3-3」と、「心のひだ 2015-8-24」という同題の小品が2点。
 白い地に、反復模様がどこまでも続く。

 白い台の上に置かれているのは、ガラス作家の佐々木由美さんの作品。
 「静夜」「水たまり」。
 あかりが仕掛けられて点滅している。

 左側の画像は「潜む」。
 砂を固めてつくった山に、ガラスの傘が並ぶユニークな立体だ。

 道内には、ガラスの器を手がける作家は多いが、こういうオブジェ的な作品は、熊澤さんの離道後はあまり見かけないので、今後に期待したい。

 北東側の角は、カトウタツヤ「遠望1 墓守の島-201603-」「遠望2 墓守の島-201603-」「墓守の島-201602-」「廃墟 空の都市 201505」の4点。
 カトウさんの絵は、人物描写にかすかなユーモアを感じさせ、物語性も漂わせる。


 次の画像の左側、壁に、縦に並んでいるのは、佐々木さんの「紡ぐ」。
 ガラスとフェルトの組み合わせというのは珍しい。

 右側の平面は鈴木さんの「drawing」シリーズの01から04まで。
 大きなタブロー作品とは異なる、軽やかさが特徴だと思った。





 入って左側の壁には、大小の絵画18点と、切り株のような立体2点、玩具1点からなる大作インスタレーション「born・live・pear (集合体)。」
 北翔大を卒業し、空知管内沼田町でまちおこし隊として活動後、同町にアトリエを構える能和暁さんの作品だ。

 文字を組み入れたり、荒々しいタッチだったり、どこか大竹伸朗を思わせる。

 卒業後は能和さんの作品を見る機会がなかったので、健在であることに安心した。

 というわけで、おそろしく高密度の作品展だった。
 筆者が見に行ったのは3月10日で、その後も一部作り替えや配置換えなどがあり、パフォーマンスなども行われたそうなので、いまや様子も変わっていると思う。
 繰り返しになるが、12日に時間のある人は、足を運んでほしい。


2016年3月7日(月)~12日(土)午前11時~午後7時(最終日~午後6時)
ギャラリーたぴお(札幌市中央区北2西2 道特会館)


□loop サイト http://loop-art.info/index.html
□今回展のpdfカタログ http://s-art.sakura.ne.jp/loop-art/2016/pdf/catalogmini.pdf

関連記事へのリンク
丸島均と五つの展覧会 LOOP (2015年2月)
LOOP EXHIBITION ~ギャラリーたぴお会場
LOOP EXHIBITION ~ivory会場 (以上2010)
All Japan Under 40 Collections(2009)


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