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■遥かなる風 中橋修水彩画展 (2017年6月12日~18日、札幌)ーシンプルさについて考える。

2017年06月14日 22時59分25秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 およそ20年ぶりに立体造形から平面に回帰して初の個展を昨年秋にひらいたばかりの札幌の中橋修さんが、おなじ会場で個展を開いています。9カ月ぶりという早いペースです。
 「透明水彩」という画材から一般的に想像される絵画からは想像がつかない、心象とも抽象ともつかない画風で、ひとことで言えば「シンプル」という語がふさわしいのではないでしょうか。
 「水彩のイメージを裏切るような絵にしたいというのもあります」と中橋さん。

 「シンプル」というのは、易しそうでむずかしいと思います。
 人は、ついついよけいな要素を付加してしまいがちだからです。
 「画家は誰しもが熊谷守一を憧れる」
と言った人がいました。
 なんとなくわかります。あそこまで、さまざまなトッピングをはずして、なおかつオリジナリティーのある絵として成立させることは、非常にむずかしい。
 強いて言えば、熊谷や李禹煥は、東洋的な境地といえる面がありますが、中橋さんはそれとは違います。
 といって、マレービッチやニューマン、渡辺伊八郎のような「冷たい抽象」でもありません。
(なお、李禹煥さんの読みは、ご本人に確認しましたが「リ・ウファン」です。Wikipedia などに「リ・ウーファン」となっている理由はわかりません。また、渡辺伊八郎の絵は18日ぐらいまで、中央バス札幌ターミナル地下之自由空間に数点展示されています)

 つまり中橋さんの絵は、一見誰にでも描けそうに見えて、じつは独自の世界をつくっているのではないかというふうに思うのです。


 冒頭画像、左側は「昇華」。
 紙の白を最大限生かした絵で、中央に大きな点が5個並んでいます。
 上から順に、灰色の絵の具を1回、2回、3回…と置いているので、色が徐々に濃くなっています。
 これは李禹煥的な作品といえるかもしれません。

 そのとなりは「安寧」「風景」。

 次の画像は、左は「山の向う」。ちょっと、花札に似ています。
 中央は「風の行方」。
 中橋さんが以前たくさん制作した黒い木のボールを描いたものですが、色が茶色みを帯びているので、どこか非現実的な光景にも見えます。

 右端は「行ったり来たり」。
 オールオーバーな色面は、布で紙の表面をふいて仕上げているそう。
 鋭角の二等辺三角形が互い違いに組み合わさっているのが、透けて見えます。


 最後は「その先に見えるもの」(左)と「不安」。
 「不安」は、皆既日蝕の画像かと思いましたが、作者には、黒い日の丸という含意もあるようです。

 民主主義を否定するような動きが政治の場で続き、行く末の見えづらい日本。
 とはいえ、そういう図式的な絵解きに終わらない、根源的な不安が顔をのぞかせているような、そんな作品です。


 他の作品も、シンプルな図柄ばかり。
 ある意味で、ミニマルアートにも似た立体作品と共通しているといえるかもしれません。題名は次のとおり。 

 幾重にも
 変容
 投影
 川の如く
 道は狭く
 始まりのとき
 涼風


2017年6月12日(月)~18日(日)午前10時(初日正午)~午後6時(最終日~5時)
らいらっく・ぎゃらりい(札幌市中央区大通西4 北海道銀行本店)
※大通公園側からガラス張りの南北通路に入ってすぐ。

□ART WORKS NAKAHASHI http://nakakana25.server-shared.com/index.html



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