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越後妻有・菊池歩「こころの花」 06夏休み(22)

2006年09月22日 07時34分25秒 | 越後妻有・大地の芸術祭2006/2024
 日が傾き、バスツアーもいよいよ最終盤。最後の目的地は、口コミで評判がひろがり、途中からツアーに組み込まれることになったという、十日町・中平地区の菊池歩(あゆみ)「こころの花」。ビーズでつくった花がブナ林に広がるという、美しい作品だ。
       
 上遠野敏さんからの投稿でも「今回№1」とあったように、世評は高いようだ。
 とくに女性からの人気が抜群だという話を現地でも聞いた。
 この時間の見学となったのは、西日を受けてきらきらと反射する光景が美しいからだと思う。 
       
 ただ、筆者はへそ曲がりなので、あまりに絶讃の嵐だと、ちょっと待てよと思う。
 3万本のビーズの花はたしかに圧巻だけど、現実のカタクリの群落とくらべたとき、本物の花にはかないっこないと思う。
 この人工の花は、そういう比較で見るものではなくて、背後にある物語のために美しいのではないか。
 つまり、作者が2年も前から集落の中に入り込み、おもに女性たちと共同作業で、この花を作り上げていったという背景を知っているからこそ、花々が輝いて見えるのだ。
 ひとつひとつの花は、手工芸的なものでしかない。それが、当初の予定の2万本を大幅に上回る規模になったこと、そして、アーティストと集落の17軒の人々とのあたたかい交流があったことが、評価のもとになったのだろう。
              
 さっき書いたように、人工の花はけっして本物の花にかなわない。しかし、それでもなお、手先を動かし続けて、人工の花をつくり、本物に追いつこうとする、或る意味で愚直ともいえる人間の営みこそが、気高いものなのかもしれない。
       
 ところで、作品への入り口附近に、集落の人々が出していたお店。
 「よってがねかの」と言われれば、寄りたかったけど、時間がなくて…。
 それでも、立ち去るバスのほうに向かって、みんなが手を振っていたのが、すごく印象的だった。
 もちろん、こちらも振りかえした。
 
 今回の「大地の芸術祭」の作品設置場所が、過去2回にくらべてより広範囲になったのは、ひとつでも多くの集落にかかわってほしいという主催者側の考えがあったためらしい。
 ただし、これはやむをえないことなのだけれど、芸術祭への入れ込みぐあいについては、集落によって温度差があったらしい。
 山あいの小さな集落よりも、地域の中心地である十日町市街での関心が低いという話も耳にした。
 その点、ちらっと見ただけど、ここの集落はほんとに協力的だ。
 アートは、工場誘致のようには、直接的な地域浮揚策にはならない。
 でも、こうして大勢の人が訪れることで、金銭には換算できないなにかが、集落や地域に生まれているのだろうと思う。

 参考になる(というか、必読の)□「新潟県十日町地域振興局」のページ


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2 コメント

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全部読んでますよ~ (Juni)
2006-09-22 14:53:26
梁井様、こんにちは。



エゾ三毛さんのコメントのところで、ほとんど反応がない妻有とありましたが、私、全部楽しませていただいておりました。私のへたな文章でも、感謝の気持ちお伝えしなくちゃと・・・・。



18日テレビの妻有の特集も見ました。梁井様の写真風景を動画で楽しみました。







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Unknown (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2006-09-22 21:06:53
Juniさま、ありがとうございます。

この「06夏休み」も、いったいいつになったら終わることやら。だらだらと大長編になってしまい、すいませんです。
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