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■石垣渉 水彩画の世界展~太陽のある風景 (2017年2月27日~3月5日、札幌)

2017年03月07日 23時10分36秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 冒頭画像は「分岐点」。
 80号を2枚つなげた、150号相当という、水彩画では例外的な大作です(少なくても筆者は道内で見たことがない巨大さです)。

 石垣さんは近年、雪に覆われた道路などを描いた作品を手がけており、ひそかに「わだちシリーズ」と呼んでいます。「分岐点」は4作目にあたります。
 手前から奥へと続く直線道路。行く手はゲートが閉まり、遮断されています。
「何もなくずっとまっすぐに行くよりはいいでしょう」
 閉塞へいそく的な状況の比喩というよりは、回り道してもいいじゃないかという、作者の思いを感じます。

 この絵で最も目を引くのは、水彩とは思えない、強靱きょうじんで硬いマチエールです。
 アクリル絵の具ではなく不透明水彩を使っているとのこと。紙を粉にしたものも混ぜているそうです。
 「サッポロ未来展」など、他の分野と同時に発表する機会が増えて、水彩画の弱さが気になっていたとのこと(筆者は、石垣さんの絵は、弱々しいとは思いませんが)。

 おもしろいのは、シリーズ1作目を水彩連盟展に出品したところ、「美術の窓」誌で、雪ではなく砂丘だとみられ、わだちも戦車のキャタピラの跡とされて、反戦の意味を込めた作ではないかと解釈・批評されたとのことです。
 今回の「分岐点」でも同じように解釈して「戦闘機をかきくわえてはどうか」と話しかけてきた老人の観客がいたそうです。
 いくらなんでも誤解だと思うのですが、石垣さんは
「見る人にいろいろ想像させる絵がかきたい。そういう意味では、深読みしてくれて、自分としては成功なんです」
などと笑顔で語ります。

 筆者が思うに、そういう解釈が生じるのは、石垣さんが描く雪が汚いことも一因だと思います。
 急いでつけくわえますと、筆者は、雪が汚く見えることを批判しているわけではありません。
 むしろ、北海道に住む人間にとって、時として雪は汚いものです。むしろ汚さにこそ、リアリティーがあるのです。
 純白の雪しか知らない、あるいは想像できない人たちには、うす汚れた雪が砂丘に見えてしまうのかもしれません。

 この「分岐点」以外は、写実的で、色調のクリアな風景画が並んでいました。

 木々やクマザサを、美しい逆光とともにとらえた「冬の日のひなたぼっこ」、石のコケなども含め川の湿り具合が譚円に描写された「コキュウ」などが特に目を引きました。

 石垣さんは1979年生まれ、札幌在住。
 水彩画家として、個展や「サッポロ未来展」などグループ展のほか、道展、水彩連盟展にも出品しています。
 またイラストレーターとしても活躍、絵画教室でも指導するなど、めざましい活躍を続けています。


2017年2月27日(月)~3月5日(日)午前10時~午後6時(初日正午~、最終日~4pm)
らいらっく・ぎゃらりい(大通西4 道銀本店)

□石垣渉さんのサイト http://www.ishigaki-w.com (スマートフォンにも対応するようこのたびリニューアルしました)

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