北海道美術ネット別館

略称「ほびねべ」。美術、書道、写真の展覧会情報を発信。2010年7月から北見に隠棲中。コメント、トラバはお気軽に。

■詩の黄金の庭 吉増剛造展 (8月31日まで)

2008年08月26日 22時03分12秒 | 展覧会の紹介−複数ジャンル
 60年代以降、現代詩の最前線を疾走してきた詩人、吉増剛造(よしますごうぞう、1939−)の世界を多角的に紹介する展覧会。
 文学展というと、自筆原稿用紙とか、古くさい本がならんでいて、ビジュアル的にぱっとしない−という先入観があるのだけれど、その点、この展覧会は非常に健闘している。
 まず、展示室に入る前、館のロビーに、詩人が刻印した大きな銅板がどーんと置いてあって、見る人を驚かす。
 床には、やたらと細かい(しかもさまざまな色の)文字で修正や書き込みが加えられている原稿用紙の複製が散らばり、展示室へと来館者を導く。
 展示室内では、ご本人の朗読の音声が流れ、自ら撮影した映画が上映されている。多重露光を駆使して撮られた実験的な写真作品も多い。
 これまで刊行してきた詩集の展示の仕方も、通常のガラスケースよりもおしゃれだ。
 ポラロイド写真は透明な板に展示され、プリントの裏側に記された細かいメモも読めるようにくふうされている(あまりに細かいので、いちいちぜんぶは読んでこなかったけれど)。
 吉増剛造って誰? というような人でも、けっこう楽しめるんじゃないかと思った。

 筆者はこの詩人について本格的に論じるだけの用意はないけれど、会場にあった年譜を見ていて、その人脈の多彩さにあらためて驚嘆したことは書いておきたい。
 まあ、岡田隆彦や白石かずこ、田村隆一あたりが出てくるのは、詩人どうしということでわかるけれど、アラーキー、羽生名人、ジョナス・メカス(リトアニア生まれ、ニューヨーク自主映画界の巨匠)、中上健次、東松照明(戦後写真の巨人)、大野一雄(現代舞踏の第一人者)、宮田登(戦後の民俗学をリード)、若林奮、岡部昌生、灰野敬二…と、数え上げればきりがない。
 これほど分野横断的にいろいろな人と仕事をしている人はめずらしいのではないだろうか。

 会期中には再三ご本人が札幌を訪れ、朗読や対談をこなしていたようだが、日程が合わずその手の催しに出られなかったのが個人的にざんねん。


(この項続く)

08年6月28日(土)−8月31日(日)9:30−17:00(入場は−16:30)、月曜休み(祝日は開館し翌日休み)
道立文学館(中央区中島公園)

一般600円、高大生350円、小中生250円



・地下鉄南北線「中島公園」「幌平橋」徒歩7分
・中央バス、ジェイアール北海道バス「中島公園入口」徒歩3分
・市電「中島公園前」徒歩8分
(駐車場も数台分あり)
ジャンル:
芸術
キーワード
地下鉄南北線 ジェイアール 北海道バス ニューヨーク リトアニア 白石かずこ アラーキー ジョナス・メカス ポラロイド写真
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