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■下沢敏也個展「Re-birth.2010」-起源- (12月5日で終了)

2010年12月05日 22時10分26秒 | 展覧会の紹介-現代美術
Toshiya Shimozawa solo exhibition"Re-Birth 2010 -ORIGIN-"
Shimozawa is a ceramic artist lives in Sapporo. He makes large and powerful instarations by ceramic and soil.


 道内には多くの陶芸家がいるが、土を素材に大規模なインスタレーションを展開している人はごく少ない。中でも、札幌の下沢さんは、非常に精力的に制作・発表を続けている。
 昨年暮れから今年にかけ、道立近代美術館で開かれた「A☆MUSE☆LAND」展で、会場のほぼ4分の1を占めた大掛かりな作品は記憶に新しいが、その後も北海道立体表現展に出品し、舞鶴市でも展覧会を開くなど、多忙な日々を送っている。

 下沢さんは、時の経過による「風化」をテーマにした作品を手がけてきた。
 ひび割れを施した独特のマチエールは、単に「陶で立体をやってみました」という試みにとどまらない深みを作品世界に与えてきた。

 今回の個展では、塔のような形状を持つ高さ約2.6メートルの立体5本を会場中央に配し、左右の壁に、どこかさなぎや胎児を思わせる有機的な形状の立体を3個ずつ並べた。





 さらに、手前に、横長の立体を低い位置に置くとともに、一番奥の壁の高いところに、白っぽい三日月のような形の立体を掛けている。喫茶部にも1点壁掛けの立体があるので、つごう14点が出品されていることになる。
 三日月のような作品だけ色合いが異なるのは、焼き方が異なるためという。器はひとつもない。
 塔のような作品は、以前から制作していたが、これまでの幾何学的な形状とはいささか違い、やや丸みを帯びたフォルムになっている。
 また、表面も、従来より還元をきかせて茶色が濃くなり、土そのものの持つ野性味というか、ざらざらとした物質感が強く感じられるようになってきていると思う。
 
 一方、先に「さなぎや胎児を思わせる」と記した一連の作品だが、具体的にさなぎのようなフォルムをしているわけではない。大きさもかなり異なる。にもかかわらず、土くれをつなげた表面が、土の生々しさをかもし出しつつ、同時に、有機物のような感触を、見るものに与えるのだ。

 「今回は会場全体を使って生命力みたいなものを表現したかった。さなぎとか、いろいろな感想を言われたけれど、多くの人が生命力を感じてくれたようなのは、うれしかったです」
と下沢さん。

 土は無生物なのに、この会場にたたずんでいると、生物・無生物のくくりを超えたもっと大きな命の力と時の流れのなかに満たされているような感じがしてくる。


 この4年間、道内を代表する立体造形作家の阿部典英さんと組んで、道内外の意欲的な作家を招いて開いてきたグループ展のシリーズ「交差する視点とかたち」は、来年はいったんお休みし、ここ数年あまり行っていなかった関西での発表を増やすとのこと。


2010年11月27日(土)~12月5日(日)10:00am~6:00pm(最終日~5:00)
茶廊法邑(札幌市東区本町1の1)


□下沢さんのサイト http://zawa32.com/

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