北海道美術ネット別館

アート、写真、書など展覧会の情報や紹介、批評、日記etc。毎日更新しています

送電線鉄塔の道■そらち炭鉱の記憶アートプロジェクト2014 (6)

2014年10月13日 03時33分33秒 | 展覧会の紹介-現代美術
(承前)

 本来、この前にエントリ(記事)が2本あるのだが、「そらち炭鉱の記憶アートプロジェクト」最終日にドライブする人の参考に資するため、この記事を先にアップする。


 さて、夕張市の続き。

 石炭博物館は、石炭の歴史を知るには良い施設だし、暗闇の坑道を体験もできる。
 ただ、1200円以上かかるし、時間も限られているし、筆者は以前入ったことがあるので、今回はロビーの、プロジェクト関連の展示だけを見た。

 ロビー展だけなら、無料である。  

 このパネル展示を見ると、今回のプロジェクトを貫くテーマである「石炭と電力」について、基礎が学べる。
 北炭は、自らの送電網を有し、電力を複数の炭鉱に融通していた。
 これから、夕張から峠を越えて三笠まで後を追う送電線と鉄塔も、北炭が造ったものなのだ。

 
 パネルや、そらち炭鉱の記憶アートプロジェクトでは、明示していないものの、ここには、「3.11」後に浮上した
「電力の分散」
「石炭と原子力」
というテーマ設定が隠されていると思われる。

 ここでは詳述はしない。
 ただ、原子力はやばいから石炭万歳! という短絡的な結論にはなりえないのは、博物館周辺の廃墟を見ても明らかだろう。



 今回のプロジェクトで
「送電線鉄塔の道」
というカテゴリーでひとくくりにされている作品群のうち、いちばん南にあるのが「3.14」(大塚めぐみ 二ツ川詩織 東出佳子)。

 ガイドには「旧石炭の歴史村 北ゲート付近鉄塔」とある。
 博物館からは、かなり離れている。
 ちょうど向かい側に駐車場のようなスペースもある。 



 鉄塔の下には、木のいすが置かれており…。



 指示どおり、いすに腰掛けて、空を眺める。



 なんだか、ロシア構成主義のような直線の組み合わせが見える。





 ここから、道道夕張岩見沢線で峠越え。

 筆者は車の運転が好きなので、まったく苦にならない。
 しかし、ヘアピンカーブが連続するので、気をつけるに越したことはない。
 この道路の特徴は、国道の峠道などによくある「最小回転半径 30メートル」といった標識が全くないこと。したがって、曲がり始めるまで、どれぐらいの急カーブなのかがわからないことである。

 峠道は送電線と並走しており、架線の下をくぐるたびに
「架空線注意」
というのぼりが立っていた。
 これは「架空の線」という意味もあるのだろうか。


 次は「地崎農園付近鉄塔」とある。
 これが、意想外に遠かった。


 峠を越え、かつて国鉄万字線の終点があった万字地区を過ぎ、果樹園をいくつも通り越して、あたりが平坦になってきたころ、ようやく右手に「地崎農園」の直売所が現れるのである。

 「心を呼ぶ」(あかみどり)と題された作品はいたってシンプルなもの。
 鉄塔に「CALL MIND」と書かれた端が取り付けられているというものだ。

 この文言はもちろん、「COAL MINE」(炭鉱)とかけているのだろう。


 なお、地崎農園の直売所駐車場はけっこう広く、余裕で駐車ができた。
 ただでとめさせてもらうのも悪いと思い、500円の黒ぶどうを買った。
 自宅に帰ってから食べたところ、これがうまいのなんの。
 おすすめです。



 この農園から車で3分ほど行くと、左手に毛陽交流センターが現れる。
 したがって、奔別方面から来たほうが、わかりやすいといえばわかりやすい。
 廃止になった万字線の代替バスは現在、ここが始発・終点になっている。




最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (SH)
2014-10-13 06:53:58
ヤナイさん、こんにちは。
これは見に行けそうにないので、紹介していただけるのがありがたいです。
特定の場所に結びついた展覧会なので、車で行かないと見られないのもやむを得ないのでしょうね。
SHさん、こんにちは (ねむいヤナイ@北海道美術ネット別館)
2014-10-13 22:38:15
取材してもブログを書く時間がなく、多くの人にご迷惑をおかけしています。このシリーズは、今のところ順調に更新できていますが、まだ書かなくてはならない記事がたくさんあります。
鉄塔の作品は確かに車が無いと見に行けませんが、奔別などはバスで行けるので、ぜひ見てほしかったです。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。