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アートあけぼの冬のプログラム04

2006年03月09日 00時07分04秒 | 展覧会の紹介-現代美術
 順番が前後しましたが、あけぼの開明舎利用アーティストのトリを飾るのは、野上裕之さんです。野上さんといえば、筆者には、教育大の若手アーティスト集団「ロッパコ」の中でも肉体で勝負! の作風という印象が強いのですが、今回はわりと繊細な感じのする作品といえるかもしれません。
 今回の作品は、校舎内ではなく、南11条通に面した温室の中にセットされています。
 (以下ネタバレあり)
 ガラスの室内には、天井から針金がたくさん吊り下がっています。
 よーく見ると、レンズもふたつ吊り下がっていて、中をのぞくと、冬の山の風景と、冬山の中にある巨木が見えます。
 これは、べつにふしぎな仕組みではなく、レンズの反対側に、スライド用のフィルムを取り付けてあるだけです。
 聞くと、手稲山の風景だそうですが、都会の真ん中で見ると、不意打ちのように鮮やかさを感じます。
 本来はあたたかなはずの温室も、冬の終わりの夜には、まだまだ寒々しいです。そんななかで、人工的な「冬」に出会うことは、ふしぎな経験でした。
 ただし、筆者は、入ったのが夜だったので、日差しの入る日中では、感じ方はまったく異なるようです。
 こういう作品に出会うと、季節に対する感受性があらためて鋭敏になるような気がします。

 野上さんのオープンスタジオにも、ミニチュアのいすを組み合わせた作品「机上の雰囲気」が展示されています。
 これを見ながら、壁で囲われた空間で憩うというものです。あれれ、ロレッタさんの作品と、どこか共通点があるぞ。
 近年の「現代美術」に、見る人をリラックスさせることをねらった作品が意外に多いのは、裏返して言えば、現代の都会人がいかにくたびれているかの証左かもしれませんね。

 野上さんは春まであけぼののスタジオを用い、また広島県に行ってあらたなプロジェクトに取り掛かるそうです。

3月1-10日 13:00-20:00
あけぼの開明舎(中央区南11西9、旧市立曙小学校)
 じょうてつバス「南11西11」下車徒歩2分
 市電「中島公園通」下車徒歩5分
 地下鉄南北線「中島公園」下車徒歩9分

これまでの「冬のプログラム」から
■01 齋藤周
■02 小林麻美
■05 ロレッタ・ヴィシーチ

関連サイト
□npoエスエアブログ
□アートあけぼの

□プラハプロジェクトのサイト内の「ロッパコ」
■03年の民宿芸術


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