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■油展-2008 (12月21日まで)

2008年12月20日 22時03分29秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 「ゆてん」の正式名称は

北海道教育大学札幌校芸術文化課程美術コース油彩研究室 +岩見沢校芸術課程美術コース油彩画研究室展

 戦後の道内美術界を担う人材を多数輩出してきた道教大の油彩研究室恒例の展覧会である。
 学生離れした意欲作、刺戟的な作品が毎年展示され、楽しみにしているのだが、はっきり言って今年は全体をみると、今後の道教大美術コースの行方が心配になってくる展覧会だった。 
 学生にあまりキツイことを言わない方がいいのかもしれないけど、ここ数年の「油展」の高水準がしんじられないぐらい、凡庸な展覧会になっているように感じたのは、筆者だけだろうか。

 もちろんおもしろい作品はあって、西田卓司さん「ドリフトシティ」は、シャンプーなどの容器で都市を作り卓上に並べた労作のインスタレーション。先日、札幌宮の森美術館で開かれた「榎忠展」の大作「RPM-1200 」を、プラスチックかつポップかつチープに展開したらこうなった-って雰囲気だ。
 また、笠見康大「entopic」は、粗い網目状の線が全面を覆い、動的な空間を創造しようとする意気込みに満ちた力作の油彩である。あるいは、中村一美の影響があるのかもしれない。

 しかし、あとは、人物を描く技量は高いのだけれど、なにか新しい絵画をつくってやろうという気概に、非常に乏しい。
 昨年までは、グループ展「曇天模様」のメンバーに特徴的な、子供っぽい、たどたどしいタッチの絵が、ひとつのカギになっていたと思う。というか、これまでは、なんとなく流行というかトレンドみたいな動きがあって、それは、「現代の絵画ってなんだ?」という問題意識と一体になっていたと思うのだ。

 モダニズム絵画が袋小路に陥ったといわれてからすでに30年以上の年月が流れたが、それこそ、中村一美や、リヒター、キーファーといった画家たちは、「網膜的」でありつつもなお絵画であろうとする苦闘を続けてきた。
 その延命策が、とうとう尽きてきたんだろうか。
 道教大の展覧会で、そんなこと判断するなといわれそうだけど。

 絵画論とか技術とか現代性をかっこにくくって、若さとか気持ちとかの面で判断すると、近年は大谷や道都がかなり肉迫してきていると思う。
今回はきつい言い方になってしまったけれど、道教大もガンバッテほしいです。


2008年12月16日(火)-21日(日)10:00-18:00(最終日-17:00)
コンチネンタルギャラリー (中央区南1西11 コンチネンタルビル地下 地図C

油展2007
油展2005

500m美術館(2008年11月)
ART!MEET!MART! (2008年11月)
gallery shikakuが開設(2008年10月)
On the wall/Off the wall 山本雄基、西田卓司、川上りえ(2008年9月)
Fw:SPIRAL(08年7月)
西田卓司個展「Image of pop」&「壁ポップ」(08年6月)
西田卓司「Personal Job」2004-2008 (08年6月)
西田卓司「Imagined Pop Scenery」&「Shape to make」project#3(praha2 + deep sapporo 9J)=08年6月
『カナコ雪造カンパニー』~除雪原風景へのオマージュ~(08年2月) ■作品画像
西田卓司「『Shape to make』#01 (07年12月)
500m美術館「まぼろし遊園・2」(07年11月)
FIX・MIX・MAX!アワード入選作品展(07年11月)=西田、笠見両氏が出品
アウトレンジ キタ(07年7、8月)=西田、笠見両氏が出品
北海道教育大学札幌校芸術文化課程美術科卒業制作展(07年3月、画像なし)
北海道教育大学札幌校美術科 七月展(06年)=西田、笠見両氏が出品

第4回法邑ギャラリー大賞展(2008年8月)
笠見康大個展「背中の時間」(2006年)


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