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ギャラリーの動向(3) 札幌時計台ギャラリーなどの閉鎖で会場不足は起きているか

2017年04月04日 21時06分15秒 | つれづれ日録
(承前)

 2016年の道内美術界の大ニュースといえばなんといっても、札幌時計台、大同、たぴお、という古参のギャラリー3カ所が、相次いで歴史に幕を閉じたことでしょう(ギャラリーたぴおは、道特会館が運営を引き継ぎましたが、利用は1件もないようです)。
 この閉鎖が、どういう影響をおよぼしたかを、検証してみたいと思います。


イ)ギャラリーたぴお

 まず、ギャラリーたぴおについては、実はあまり影響がありません。
 「たぴお」での展覧会のうち、かなりの部分は、知り合いどうしが声を掛け合って開催したグループ展であり、定期的に個展を開いている人は少なかったためです。

 グループ展の一部は、たぴおのオーナーだった林教司さんが経営を引き継いだ喫茶店「レ・ノール」が入居している、中央バス札幌ターミナルの地下にある「自由空間」で開かれているようです。しかし、大半のグループ展は、たぴおの終わりとともに、打ち切りになりました。
 数少ない個展の作家だった高田稔さんは今春から市資料館に会場を移しました。

 ただ、たぴおの終わりごろは「高齢者のアバンギャルド」と「若手のアングラ」が出会う場所として機能していたという面はあったと思います。
 たぴお無きあと、若手のアングラが、札幌のアートシーンとの接点をひとつ失ったようにも見えるのは、少し残念です。


ロ)大同ギャラリー

 次に、3月で閉鎖した大同ギャラリー。
 ここを根城にしていたグループは、北海道二科、北海道陶芸作家協会などがあります。前者はギャラリー大通美術館、後者はコンチネンタルギャラリーに会場を転じています。

 いちばん早く大同からギャラリー大通美術館への移行を果たしたのが、原田富弥さん・日下康夫さん・綿谷憲昭さんの3人展だと思います(昨秋開催)。しかし、今年はギャラリー大通美術館の会場が確保できなかったとのこと。
 大洋会道支部も、同じく大同からギャラリー大通美術館への移動組ですが、ことし1月に移動後初の展覧会を開いたきりで、支部展は終了ということになりました。


ハ)札幌時計台ギャラリー

 7室もあったため、閉鎖の影響が最も大きいと思われるのが、札幌時計台ギャラリーです。
 毎年、あるいは隔年での個展のため、借りている作家はかなりいました。
 ただし、ベテランが多いため、香取正人さんのように
「時計台ギャラリー閉鎖をもって自分の個展も打ち止め」
という人もいます。

 いち早く次の会場確保に動いたのは、函館の外山欽平さん。
 毎年3~4月に個展を開いていましたが、閉鎖の知らせを聞いて、大丸藤井セントラルのスカイホールを予約したそうです。
「あそこ、ギャラリー内で飲食禁止の上、禁煙なんだよなあ。参るよなあ」
とボヤいておられましたが、4月11日から個展の予定です。

 これは推測ですが、7室をフルに使っていた「サッポロ未来展」は、後継会場探しに最も困っているのではないでしょうか。あと、道展会員の豊田満さんの絵画教室展も、3階の常連でした。


ニ)影響はどこに出たか

 札幌時計台ギャラリーの後継会場として、利用者の念頭に、最初に浮かぶのが、数十メートルしか離れていない「道新ぎゃらりー」であることは、想像に難くありません。利用料も、相場より安く、しかも1階にあるため搬入・搬出はラクです。
 しかし、道新ぎゃらりーは、すでに2年先まで予約が埋まっているとのこと。極端に利用の減る1~3月には、道新文化センター受講生の発表で会期を埋めるなど、オフシーズン対策もぬかりがありません。

 その次に問い合わせが多いことが推察されるのは、先の原田さんたちの3人展のエピソードもあるように、ギャラリー大通美術館です。


ホ)余裕あり

 意外と波及していないのかも―と思われるのが、都心部の大通以南のしにせであるスカイホール、さいとうギャラリー、アートスペース201といったギャラリー。
 年明け以降のラインナップを見ても、外山さんは例外として、時計台ギャラリーや大同からの鞍替え組は案外少数です(というか、ほとんどいない)。会期によっては、会場があいています。
 例年1~4月はギャラリーを借りる人がもともと少ない季節なので、5月以降は事情が変わってくるかもしれませんが…。

 筆者は「作品自体が良ければ、どこで展示したっておんなじだろう!」などとひそかに考えるのですが、そこは展示構成にこだわりのある美術家が多く、簡単にホイホイと会場を変えるわけにいかないのでしょう。
 昨年からすでに筆者は、ギャラリー3カ所が無くなっても需給がタイトになるわけではない―と推測していましたが、今のところ予想は的中しているようです。

 先の記事で、茶廊法邑のリニューアルについて書きましたが、茶廊法邑が複数の展覧会で日程を回せるようにしたのは、実は札幌時計台ギャラリーの閉鎖が影響している可能性があります。
 法邑は中心部から離れていますが、会場の良さには定評があります。個展を開くなら作品が映える会場で―と考える人がいても、ふしぎではありません。


 いずれにせよ、道民は冬の間、作家も鑑賞者も、家に閉じこもりがちで、展覧会の動きも鈍いのが通例です。
 したがって、春から秋にかけての様子を見ないことには、確定的なことは言えないようです。



参考リンク
さらば大同ギャラリー
札幌時計台ギャラリーの閉鎖と絵画の凋落


(続く) 
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