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■泉会 日本画 楪 展 (2018年1月9~14日、札幌)

2018年01月12日 08時08分08秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
(日本語は、英語の後にあります。日本語は長文です)

 “Izumi-kai”traditional Japanese style paiting exhibition are held at Saito-Gallery, in Sapporo city, Japan. Izumi-kai means that “a fountain club”. Yurino Ban, Japanese style paiter based on Sapporo, named this club made by herself, Yaeko Shiroshita, Izumi Sakai, Ikuko Katsuki, Taylor Sachiyo.
 Taylor based on Brisbane, Australia. Her painting work “Ella”is a portrait of Ella who the first Aborigine ballerina in her nation.


 タイトルだけを見てもなんのことやらよくわからないが、さいとうギャラリーから展覧会開催を打診された、道内女性日本画家を代表するベテランの伴百合野さんが、かつての教え子らに声を掛けて急いでつくったグループが「泉会」。同ギャラリーことし第1号の展示なので、それにふさわしい展覧会名をギャラリー側から所望されて「ゆずりは 展」としたそうだ。
 ユズリハは正月の飾り物とする常緑高木で、正月の異名でもあるという。

 メンバーは伴さんのほか城下八重子さん、境泉美さん、勝木郁子さん、テイラー幸代さんの計5人で、全点が日本画。

 冒頭画像は伴さんが近年取り組んでいる、畳紙たとうがみを支持体とするシリーズ。畳紙は和服などをたたんでしまっておくための、渋やうるしを塗って折り目をつけた厚紙のこと。
 2013年に札幌のギャラリーエッセで開いた個展「たとう(畳)紙に游ぶ」 では、全点このシリーズでそろえた。左端の「雪花譜より」は、そのときの出品作。
 左から順に「襟を正す」「トランプ遊び」「月と遊ぶ」。他に「風のにほひ」。
 手前の台上には、トランプの絵を貼った箱などが置かれている。

 伴さんの絵は、いつもユーラシアの東西文明交流の歴史を題材としているような印象がある。


 オーストラリアのブリスベーン在住のテイラー幸代さん「Ella」。
 短大で伴さんに日本画を習った後、油絵を描き、プロのイラストレーターとしても活躍しているが、11年前にオーストラリアに移住すると、暑い気候のせいで「油絵を描きたくなくなった」という。
 現在は、時折帰国するたびに大量の画材を買い込み、日本画の制作を続けている。

 この絵のモデルになっているのは、オーストラリアの先住民族アボリジニで初めてトップ・バレリーナになった女性。彼女を題材にした映画が撮られるなど、現地では有名な女性だという。
 オーストラリアでは全国的な肖像画のコンクールが画家への登竜門として知られている。出品するには、ある程度名の通った人を、本人の了承を得て一定以上の時間ポーズをとってもらう必要がある。テイラーさんは楽屋裏でエラさんをつかまえて、モデルになることを承諾してもらった。

 手前に描かれたゴアナというトカゲは、本人の守護動物という。背景のヒガンバナに似た花は、ニューサウスウェールズ州の州花だ。
 エラがすわっているオーカー色の石は、アボリジニ居住区から送ってもらった石や土を砕いてそのまま絵の具として用いているという。
 バレリーナとしてはがっしりした体格、強い視線。植民地主義への反省が急速に進む西洋諸国といえども、先住民族への差別がなくなったわけではない。画面からは、本人が歩んできた苦難の道のりと、強靭な意志が、見る者につたわってくるようだ。

「油絵の具は化学物質が多い。それに比べ、日本画の画材は有機的で、直接手でといて使うこともあり、とてもナチュラルに感じる」
と、テイラー幸代さんは、南半球であえて日本画に取り組むことの意味を話していた。


 境泉美さんの「あやめ」と「初秋」。
 ほかに「クレマチス」「秋日」「風薫る」。
 いずれも、もやでかすんだような、ごくやわらかなタッチが特徴。
 「秋日」は、題名からは想像できないが、色あせたアジサイがモティーフだ。よく見ると、トンボも飛んでいる。梅雨がないかわりに、夏がすぎてもいつまでも花をつけたまま色あせていくアジサイは、北海道独特のものなのかもしれない。


 城下八重子さんは、近年では珍しい絹本の、しかも軸装である。
 その上、軸装を、自らの手で行っているというから驚きだ。
 軸装は作業が終わるまで3カ月はかかる、手間のかかる仕事。絵の具をあまり厚く塗ると、ひびが表面に入りやすくなるといった制約もあるため、うす塗りにするという。

 左から「四季 昼寝覚」「四季 雪華」「四季 花舞」「沖縄紅型カメラマン」「芍薬」。
 四季というのに、夏、冬、春の3枚しかないのがおもしろい。
 「昼寝覚」は、祭りの終わった後のような、かすかなけだるさが漂っているようにも感じられるし、日本特有の湿潤な空気感もある。


 右の2枚はテイラー幸代さんの「gusty wind(突風)」の01と02。
 目に見えない風を表現しようという意欲的な試み。

 左端は勝木郁子さんの「シカ」。
 一見おおまかでソフトな筆致に見えるが、実は毛並みなどが細かく、しっかりと写実的に描かれている。

 ほか「冬の朝」は、すずめの群れを描いた二双一曲の屏風。
 「晨」「父の庭」「深秋」も出品。


 伴さんは「泉のようにわき出る感性を持っている方なら、今後参加していただいて、ハッピーなひとときを持ちましょう」と、今回限りで終わりにせず、新たなメンバーをむかえて第2回展を開くことも考えているようだ。


2018年1月9日(火)~14日(日)午前10時半~午後6時半(最終日~午後5時)
さいとうギャラリー(札幌市中央区南1西3 ラ・ガレリア5階)


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