北海道美術ネット別館

美術、書道、写真の展覧会情報や紹介。2013年7月末、北見から札幌に帰還。コメント、トラバはお気軽に。略称「ほびねべ」

■「春への序奏」展-いのちの形、そして色- (1月31日まで)

2010年01月30日 21時55分08秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 
 美術評論家の柴橋伴夫さんはこの1、2年じつに精力的に活動していて、最近は、札幌駅北口にオープンしたギャラリーエッセの展覧会企画も取り組んでいる。
 今回はいずれも道展の油彩部で会友か、会員になって間もない女性6人に声を掛けて、初めて実現した組み合わせだ。

 この顔ぶれを見ていると、札幌時計台ギャラリーで以前、(たしか)3年に1度開かれていた「古瀬キヨ記念財団女流選抜展」を思い出す。
 この展覧会では、団体公募展の会友クラスがおもに出品していた。
 自他共にみとめる大家やベテランの作品はもちろん見ごたえがあるけれど、会友から会員になるあたりの作家たちの絵もいい。伸び盛りの人々ならではの、勢いのようなものがある。

 今回の出品者は、新出リヱ子、阿部正子、秋山久美子、古畑由理子、塚崎聖子、斉藤順子の6氏。
 このうち新出さんは春陽会にも、秋山さんと安部さんは二紀展にも、それぞれ出品している。
 斉藤さんは旭川、あとは札幌(のはず)。

 以下、作品を1点ずつ掲載しますが、もし不都合ならおっしゃってください。
 どうも写真の出来具合がふぞろいで、ごめんなさい。

 会場の展示順で。
 阿部正子「予感 II」。162.1×162.1cm



 温室にペンギンが飛ぶようすをリアルに描いた幻想的な1点。
 一番目につく女性が、画面中央に、正面を向いて坐っているせいか、阿部さんの絵にしてはスタティックな印象を受ける。

 阿部さんはほかに「予感 I」も出品。この会場で唯一の小品。


 塚崎聖子「空を飛ぶ練習(広場)」。
 会場にあった大きさの表示は誤りで、じつはF200号相当(古畑さんの作品とならんで、この会場でもっとも大きい)。



 塚崎さんの作品はこれまでほとんど、舞台の書き割りのように、少女や鳥、風景などを正面からとらえ、動線は主に左右に展開していた。ただ、あくまで「左右」は基本で、上下や奥にも視線を導く仕掛けがいっぱいあったのだが。
 しかし、今回は2点とも、やや視点を高いところに置いたため、視線が斜めになっている。
「公募展でないところで、実験してみた。ほんとは、スタイルは変えない方がいいと思ったのですが」
と塚崎さん。
 「空を飛ぶ練習(広場)」は、古い欧洲の広場が背景。手前に少女がふたり描かれ、背景と二人の大きさはまったく関係がないものとなっている。
 もう1点の「室内(水を詩へば)」(162.1×162.1cm)も、室内に池が侵入してきたようなふしぎな図柄を斜め上方からの視線で描いている。


 新出リヱ子「継-望春」(193.9×130.3cm)



 新出さんはヒマワリの具象から出発して、植物や生命のエネルギーそのものをとらえるような画面に変わってきている。
 今回の作でも、飛び散っているのは種子のようでもあるけれど、それよりもなにか「気」の発露を視覚化したかのような、勢いが感じられる。
 ほかに「継-積」(194.0×162.0cm)も出品。


 古畑由理子「ひだまり」(162.1×224.2cm)



 カラフルだな~。
 片付いた机の前にすわる温厚そうな眼鏡の男性。左側には、青く着彩された水鳥が見えるなど、複数の風景が組み合わされているが、かように鮮やかな色彩が配されると、意外と「むりやりつなぎ合わせた」感が減って、自然な構図になる。


 斉藤順子「箱舟 “心配のない世界”II」(162.1×162.1cm)



 斉藤さんの絵に展開される大小の感覚は、ますますすごいことになっている。
 人より小さな家、その部屋にいる人々、部屋の中にある風景…。入れ子構造になっている風景は複雑さを増す。ワニや、土をのむこいのぼりなど、モティーフもさまざま。
 それらが一見素朴派ふうのタッチで描かれ、見る者を迷宮にいざなっているようだ。


 最後は、秋山久美子「気流-未来へ-」(162.1×162.1cm)



 秋山さんも数年前まではカラリストの面が目立つ描き手だったが、ここ数年は複雑な構図で現実にはありえない光景を描く姿勢に磨きがかかっている。今回も、いったいどうしたらこんな光景を考えつくのだろう? と驚かされる。
 ジャングルジムを思わせる骨組みだけの2階建ての建物が宙を飛び、建物の中ではピエロが輪をかいておどったり旗を振ったりしている。さらに、建物の下には、空飛ぶじゅうたんのようなカラフルで大きな布が舞い、ジャングルジムを支えているようにも見える。
 もう1点の「気流-Carol(喜びの歌)」(193.9×130.3cm)は、どこか石山緑地を思わせる光景が舞台になっている。

 いずれにしても、ひとり大作(100号以上)を1、2点、新作でそろえているので、見ごたえは十分な展覧会だった。


2010年1月19日(火)-31日(日)10:00-7:00(最終日-5:00)
ギャラリーエッセ(北区北9西3 地図A



第15回北海道二紀展(2009年)
GRUPO DE b-FA 北海道芸術デザイン専門学校絵画芸術研究室展 (2009年)
芋虫・青虫二人展(2003年、画像なし=阿部さんが出品)

塚崎聖子個展(2007年)
塚崎聖子個展(2004年)

新出リヱ子個展(2007年)
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新出リヱ子個展(2003年)

ローギュラート-4つの個性(2008年)
ローギュラート展(2006年、画像なし)
ローギュラート展(2003年)=斉藤さんが参加

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