北海道美術ネット別館

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歴史はどうやってつくられていくのか、あるいは「ブラックボックス展」のうわさについて

2017年06月18日 23時31分39秒 | つれづれ日録
 フロイトの評伝、あるいはウォーホルの日記などを読んで、つくづく思うのは

世界最先端の都市のシーンって、実はものすごく狭い人間関係の中でつくられてるのでは?

ってことだ。

 20世紀初頭のウィーンでも、20世紀半ば過ぎのニューヨークでも、やたらと名前を聞いたことのある人物がばんばん出てきて、記録されている。

 ってことは、以下は想像なんだが、個展とか作家の評価は、案外、こんな感じでつくられはじめていたんじゃないか。

(月曜日夜、ニューヨークの某画廊で)

画家甲「やあ」

彫刻家乙「おっと、また会ったね。調子はどう」

画家甲「まあまあだね。ところで、●●ギャラリーでやってた新人の▲▲っての、個展見た?」

彫刻家乙「見た見た、なかなかやるじゃない。最近の若いのではピカイチじゃないか」

画家甲「だよね。自分もそう思ったな」

キュレーター丙「なになに、なに盛り上がってんの?」

彫刻家乙「こんばんは。お元気そうで。いや、●●ギャラリーの▲▲個展のこと」

キュレーター丙「あ~、あたしまだ見てないんだ。どうでした?」

画家甲「いや、なかなかいいって、いまふたりで話してたんだ」

キュレーター丙「こんどの■紙の美術評、まだ何を書くか決まってないのよ。締め切り近いし、それにしちゃおっかな~」


 かつて(1980年代ぐらいまで)の東京は、毎週月曜には「絨毯爆撃」と称して、京橋―銀座―新橋の主だった画廊を片っ端から見ていく評論家や美学生はそれなりにいた。
 プラス1日、どっかの曜日で、上野の美術館を見ておけば、だいたい東京都内の見るべきものはおさえることができたのである。

 たぶん、月曜のシロタ画廊でも東京画廊でもなびす画廊でもアキラ・イケダ・ギャラリーでもいいんだけど、大学教授A氏と評論家B氏が出会って
「あれはいいですねえ」
などという話になって、そのあたりから口コミが広まっていったりしたのだろうと思う。
 想像ですけど。


 ここ最近、ツイッターで、東京で開かれていた「ブラックボックス展」というのが、話題を呼んでいた。

 筆者は見る気もないし(遠いし、忙しい)、きちんと情報を追っているわけでもないので、あまり確たることはいえない。
 ただ、すごい長さの行列の写真が、ツイッターのタイムラインに流れてくるのを目にして
「これ、行っておいたほうがいいのかな」
と思った人もいるのではないだろうか。

□ただの雑記ブログ http://www.sanpinlife.xyz/2017/06/blog-post_52.html
□ブラックボックス展マジで死ねよ http://trhbi.hatenablog.com/entry/2017/06/18/000024

□Hitoyo Nakano BLACK BOX http://as-axiom.com/hitoyo-nakano-black-box/

 乱暴に要約すれば、千円というけっこうな値段の入場料をとるのだが、中は単に真っ暗で、ただ、入るときに「口外しない」という誓約書を書かされるため、うわさがうわさを呼んで客足がどんどん伸びていった、ということらしい。


 SNS時代の現象だよな~と思う。
 と、同時に、上で述べたような
「案外狭いサークルの口コミが、そのつどそのつど、見るべきものをなんとなく決めていき、そのうちのいくつかが歴史に残る」
というメカニズムが、もうほとんどなくなっちゃってるんじゃないかな~という気がしたのだ。

 想像ですけどね。

 もちろん、口コミを主導するべき人たちがごっそり東京にいない(カッセルやヴェネツィアやバーゼルにいる)という特殊事情もあるだろうけど。

 これがたとえば札幌なら、どうですかね。

 関係者の距離が近いのか、遠いのか。
 なんともいえないような。

 ギャラリー犬養あたりで、最初に見に行った人が
「いや、あれは…」
と苦笑しながら黙って首をふって、そのあとで
「●●さんが首ふってたよ~。契約だから、中身は言わないって、言ってたけどさ」
みたいな話があっという間にリアルで(SNSじゃなくてね)広まっちゃうような気もする。

 広まらないような気もするけど。
 う~ん、わかんない。



 ただ、確実なのは、インターネットの時代になって、いろんな人がフラットに意見を言いあえるようになって良かったなんて、口が裂けても言えないよなってこと。その結果、幅が広がったとは、とうてもいえないもの。
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