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■小樽・鉄路・写真展 (2017年8月28日~9月10日)

2017年09月10日 06時20分00秒 | 展覧会の紹介-写真

 道内最古の鉄路で、現在は廃線になっている「手宮線」の跡で毎年夏の終わりごろ、有志が開いている屋外写真展。
 2000年から、線路周辺の再開発事業で中止になった年を除いて毎年開かれており、今年で17回目となります。

 再三書いているので
「マタカ」
と思われる向きも多いだろうけど、筆者は、Rising Sun Rock Festival に続き、この野外写真展を見て
「ことしの夏も終わったな」
と実感するのがならいなので、足を運ばないわけにはいかない。
 とりわけこの夏は、暑さのピークが7月で、その後はおおむね好天が続いているので(ちょうど1年前は颱風が上川や十勝を襲い、たいへんな被害が出た)、長い長い晩夏を過ごして、ようやっと夏の終わりを迎える―そんな、しみじみとした気分です。

 今年の「鉄路展」は、これまでにもまして、バラエティーに富んだ展示方法が目を引きました。 

 自立式のネット状ついたてに額装した写真をちりばめた人、沿線の木の枝から吊り下げた人、小さな立て看板を作って貼った人など、とにかく工夫の多彩さが年々増しているのです。
 もちろん、ぬれても大丈夫なようにパウチ加工した人、それを絵本のようにとじた人なども、例年と同じくいます。

 2枚目は三好めぐみさん「春愁」。
 モノクロ8枚組み。
 「函館は、私の奥底にある気持ちを代弁しているようでした」
とキャプションにあります。
 一番上の写真は、函館公園にある小さな観覧車でしょう。
 小さな、というのは比ゆではなく、てっぺんまで昇っても、周囲の樹木より低いのです。


 平間理彩さん。
 カラー21枚。
 藤女子大写真部ではモノクロのスナップを怒濤の勢いで発表していたが、卒業してカラーに転じたよう。それは、しかたありません。

 花や空、トイレや駅のホームなどのスナップの合間に、水面や水の泡を即物的にとらえた写真がまじります。
 心象風景という語で片付けるにはあまりに切迫した「なにか」が伝わってくるようです。


 手前は、鉄路展の初期から発表を続けている数少ないメンバーのM.Iwanami さん。
 例年、トーチカなどを大型プリントに1枚だけ焼いて出品していたが、ことしは4枚もあります。
 古い円形校舎のほか、画像は崩落が始まっている古い橋。
 「廃墟」系の写真を撮る人は多いけれど、彼女ほど、被写体そのものの存在感で見る人を圧倒するプリントを出してくる人は少ないと思います。

 左手、古い壁に4点を貼っているのは、これまた初期から毎年出品しているウリュウユウキさん。
 「いつか誰かが見ていた景色」という題で、海岸や大きな時計など、古い廃線跡に思いを寄せたような組み合わせになっています。


 このほか、士幌線のタウシュベツ橋梁をとらえた國生隆司さん、海沿いを老人が自転車で走るショットなどカジュアルさがすてきなモノクロスナップのYuko Iwataさんら、総勢29人が参加しています。


 物置の壁には、テーマ展「小樽」。
 見ていると、小樽をゆっくり散歩したくなってくるのです。
 なかなか機会がありませんけど…。


2017年8月28日(月)~9月10日(日)、24時間(最終日~午後5時)
旧国鉄手宮線(小樽市色内。マリンホール裏手)


□公式サイト http://www.tetsuroten.org/

□Facebookページ https://www.facebook.com/tetsuroten/
□ツイッターアカウント @tetsuroten


小樽・鉄路・写真展 (2014年9月3~15日)
2008小樽・鉄路・写真展

2007年
06年
03年
02年


第4回丸島均(栄通記)企画 群青―ぐんせい― (2017.平間さん出品)





・JR小樽駅を出て、海へと直進し、約470メートル、徒歩6分


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