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■第14回本郷新賞受賞記念 江口週彫刻展 (10月25日まで)

2009年10月21日 23時48分51秒 | 展覧会の紹介-彫刻、立体
 
 「本郷新賞」は、公共空間に設置されたすぐれた彫刻に隔年で贈っている賞。
 本郷新が野外彫刻に積極的だったことにちなむものだ。
 今回は栃木県庁舎本館の県民ロビーに置かれた「時を漕ぐ舟」が受賞した。

 江口さんは1932年京都生まれ、東京藝大を卒業後、第1回現代日本彫刻展大賞や中原悌二郎賞を受賞するなど、国内外の第一線で活躍してきた彫刻家。
 今回は、地元「トチの木・転生プロジェクト」が、県木であり、由緒ある樹齢約300年の木を素材として江口さんに依頼し、多くの住民が参加した公開制作で完成した作品。

 この制作過程を撮影したビデオを、ロビーで見ることができる。
 完成後、栃木県庁の入り口に置かれ、来庁者がベンチ代わりに腰かけている様子がほほえましい。なかなか興味深い映像なので、ぜひ見てください。
 しかし、この映像にくらべると、実際の展覧会の方は、ちょっと微妙というか、ここ何回かの本郷新賞の展覧会にくらべると、ややパンチ不足という印象がある。
 展示された作品は、異なる種類の板をつなぎ合わせた抽象的なものが多いのだが、どうもエスキスのような雰囲気が漂い、本物の作品ならではの色気というか、ぞくぞくする感じにとぼしいのだ。

 ちょっとおもしろいと思ったのが、フランスの作家プルーストの大河小説「失われた時を求めて」を題材にしたドローイングの連作。
 この小説を読むだけでもスゴイと思うのだが、出品作はいずれも、実際に小説の舞台を訪れて描いたのではなく、読んで土地の様子を想像して描いたのだという。
 江口さんが「時」をテーマにしているのは、中途半端な思いからではなく、ほんとうに以前からずっと考え、温め続けているのだなあと、しみじみ感じた。


2009年9月5日(土)-10月25日(日)10:00-17:00、月曜休み(ただし9月21日と10月12日は開館)、9月24日と10月13日休み
本郷新記念札幌彫刻美術館(中央区宮の森4の12)
一般500円、高大生300円、中学生以下無料




  • ・地下鉄東西線「西28丁目」からジェイアール北海道バス「山の手環状線(神宮前先回り)」に乗り「札幌彫刻美術館入り口」で降車、徒歩7分

  • ・地下鉄東西線「円山公園」から徒歩25分




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