北海道美術ネット別館

美術、書道、写真の展覧会情報や紹介。2013年7月末、北見から札幌に帰還。コメント、トラバはお気軽に。略称「ほびねべ」

風間健介さんのこと

2017年06月19日 00時56分23秒 | 情報・おしらせ
 一時、夕張に住み、写真集「夕張」(寿郎社、版元品切れ、ただし紀伊国屋ウエブには在庫あり)で日本写真協会新人賞、写真の会賞、地方出版文化功労賞奨励賞というトリプル受賞をなしとげた写真家の風間健介さんが亡くなったそうです。生前親しかった音楽家の方がフェイスブックに詳しく書いているので、間違いないと思われます。
 1960年、三重県生まれです。

 高校を卒業して最初の上京の後、ミュージシャンのステージ写真などを撮っていたようです。

 「夕張」
というと、かつて炭鉱で栄え、国策に翻弄され、財政赤字で再建団体とされた市です。
 最近では、日本の市で最も早く65歳以上人口が半数を超えたというニュースも伝わってきました。
 だから、社会派の写真集なのかなと思われがちですが、中を見ると意外と叙情的というか、雪に埋もれた夕張の廃墟やマチを、モノクロフィルムで美しくとらえているのです。

 ただ、まだ「産業遺産」「炭鉱遺産」などという言葉も広まっておらず、炭鉱を観光に活用しようという動きもあまりない時代に、炭鉱跡にレンズを向けた功績は大きいと思います。

 この写真集をまとめた後、風間さんは東京に戻り、その後埼玉県や千葉県館山市に住んでいました。

 ブログでは自分の失敗談などをおもしろおかしくつづっていて、一時までは読んでいたのですが、近年はごぶさたでした。



 ところで、死人に鞭を打つようなことを書くのはあまり趣味ではないのだが、やっぱり書いておきたい。

 風間さんは写真家であろうとした。
 具体的にいえば、画家が絵を売って生計を立てるように、自ら焼いたプリントを販売して暮らしていこうとしていた。

 でもさあ、それは、やっぱりムリなんだよ。
 いまの日本ではそうとう難しい。
 写真の出来とは関係なく、プリントをアート作品として買う文化がないのだ。
 日本にはたくさんの写真家がいる。
 でも彼ら、彼女らのほとんどは、自分が撮りたいものにレンズを向けて生活しているのではなく、お店のチラシに使う商品や広告の版下、学校のアルバムの製作、結婚式場などなど、いろいろなフィールドで暮らしを立てている。

 詩を書いて生計を立てている詩人がほとんどいないのとよく似ている(谷川俊太郎と吉増剛造は例外)。

 もうすこし酒を控え、まともに生計を立てる作戦を立てておけば、50代で全身ぼろぼろになって死ぬことはなかったかもしれない。早めに奥さんをもらっていればまた話は違っていたかもしれない。彼は結婚願望じたいはけっこうあったと思うが…。
 そういう商業的に立ち回ることのできなさそうな人だった。

 「AZUMA組」と称して、後輩たちと東川フォトフェスタに出品してたりもしてた。
 東川賞を受賞しても、テントで野宿しているほうが似合う人だった。

 なお、彼の写真は、道立近代美術館が所蔵しているし(あまりいい作品ではないが)、東川町にもあるはずだ。
 また見る機会ができて、その良さをあらためて多くの人に知ってもらえればいいと思う。

 ご冥福を祈ります。


□風間さんのサイト http://kazama2.sakura.ne.jp/
□館山日記(風間さんのブログ) http://sayamanikki.seesaa.net/

関連記事へのリンク
風間健介写真展「夕張-ヤマの記憶」

公募写真展「炭鉱再発見」
東川賞受賞(02年)
AZUMA組写真展(01年)
グループ炭鉱夫・路上写真展(01年)


□久野那美さんのブログ http://floor.cocolog-nifty.com/diary/2002/03/post-15a5.html#search_word=%E9%A2%A8%E9%96%93
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6 コメント

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Unknown (がじん)
2017-06-27 22:23:38
こうやって書いてくれるだけでも、憶えていてくれる奴がいるだけでも…と思いたい。
Re:Unknown (ねむいヤナイ@北海道美術ネット別館)
2017-06-27 22:47:04
がじんさん、そうですね。

あんなヤツもいたってことを、忘れないようにしたいと思います。
孤独死は流石に寂しいな。 (渡辺良隆)
2017-07-12 12:05:46
私の北海道時代に個展もやって、本人の人となりも知ってるだけになんとも言えない気持ちが残ります。
私も色々、本人に助言した口ですから、もう少し良い生き方もあったんじゃないか、まあ、何も言わずに、援助してあげたらよ買ったんじゃないかと考えています。
Re:孤独死は流石に寂しいな。 (ねむいヤナイ@北海道美術ネット別館)
2017-07-12 19:51:16
ごぶさたしております。

エルエテで展示したんでしたっけ。

ブログ本文にも書いたけど、自分の撮りたい写真を撮ってそのプリントを売って生活するというのは、そもそも生活設計として無理なんだと思います。
エルエテのやりましたよ。 (渡辺良隆)
2017-07-13 12:36:54
そうですねえ。
不器用な生き方と言うより、彼の場合はちょっと違う感じもありましたから、もうホント黙って、援助してあげたらよかったかなあと思ってます。
身体もかなり悪かったんだろうねえ。バカだよねえ。
うちの倉庫に個展の時全部買ってあげた、彼のプリントがいっぱいあるはずだわ。長年見てないけど。。。
Re:エルエテのやりましたよ。 (ねむいヤナイ@北海道美術ネット別館)
2017-07-13 22:54:58
援助だなんて、渡辺さんは偉いなぁと思います。
私は、好きでああいう行き方を選び取った人に対しては、なかなか踏み切れないだろうなぁとは思います。

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