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■第42回白日会北海道支部展 (6月7日まで)

2008年06月02日 23時32分09秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 1924年(大正13年)発足という歴史の古い日展系の絵画公募展。
 道支部は毎年7月に札幌市民ギャラリーで展覧会を開いていましたが、40回を機に会場を札幌時計台ギャラリーに移しました。今回は、A室だけで、点数だけからみるとちょっとさびしい感じがしますが、見ごたえは例年とかわっていません。

 今回目を引いたのが、中矢勝善さんの、洞爺湖とその周辺の山々を描いた1枚です。「重畳する山並み」という形容がまさにふさわしい、スケール感に満ちた作品だと思います。
 近景には木々の白い枝が絡まり、その附近と遠景との間は、茶系の絵の具をダイナミックに塗ってぼやかしていますが、それがかえって絵画空間に奥行き感をあたえているようです。
 小川智さんは従来の小樽運河から周辺に材を求めるようになり、その持ち前の明るい色調と題材とがいっそうマッチしてきているように思います。中間色を慎重に配置し、おだやかな海岸や、小さな畑で働く人を配した作品は、見ていて気分が落ち着きます。
 北海道の白日会といえば、ふたりあわせて190歳になろうかという大ベテラン、平野俊昌さんと川村正男さん。平野さんはばら色のドレスをまとった女性を描き、川村さんはやわらかなタッチで昭和新山の山容とふもとの緑を描写しており、若々しいところをみせています。
 十勝管内清水町の中村富志男さんは初の登場だと思います。フォトリアリズムを思わせる精緻な筆使いで冬の広大な風景に迫っています。
 道展のベテラン会員中村義晃さんも初登場。得意の若い女性の肖像画です。
 おだやかな写実の絵画が並ぶ中で、松信さんは毎年抽象を出品して異彩を放っています。これまではどこか難波田龍起を思わせる、青系を軸に茫漠とした画面でしたが、今年はごわごわした厚塗りで、わずかに教会建築の輪郭が見えてきます。


 出品作は次のとおり。特に記していない作品は油彩。
川村正男(札幌) 昭和新山 F80
高橋芳夫(札幌) サルコニヤの湖-網走国定公園能取湖サンゴ草群落也木道にて F60=水彩
南里葉子(札幌) 春光 F80
平野俊昌(札幌) プリマヴェーラ F80
小堀清純(札幌) 陽朔風景 F80=水彩
中矢勝善(札幌) 冬の洞爺湖 F100
芳賀文明(美幌) 初春 F120
小川 智(札幌) 岬・静秋 F130
中西尭昭(清水) 雪野 F60
松信元一(札幌) 教会 F30
関 建治(恵庭) 春を待つ F100
吉田ユキ子(江別)珈琲店の一隅 F100
中村富志男(清水)ダテカンバ F100
小林義晃(札幌) 時代のままに F100
國分信子(江別) 窓辺の二人 F100
※賛助出品 神山晃一(東京)静物 F15


08年6月2日(月)-7日(土)10:00-18:00(最終日-17:00)
札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3 地図A


□白日会 http://www.interq.or.jp/manager/hakujitu/

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 =以上画像なし


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