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■高梨美幸小品展 (2017年11月29日~12月4日、札幌)

2017年12月04日 04時04分04秒 | 展覧会の紹介-絵画、版画、イラスト
 高梨美幸さんの絵は2015年、札幌時計台ギャラリー3階での個展ではじめて意識したように思います。
 ことしに入り、さいとうギャラリーでも個展を開いたほか、プロフィルによると、第32回関西扇面芸術展で京都新聞賞を受けたり、チェコのプラハでの芸術フェアに招待されたり、めざましい活動をみせています。
 今回は小品展とはいえ、高梨さんの近年の充実ぶりを反映して、見ごたえのある個展になっていました。

 冒頭の画像は、自ら「三部作」といい、白の額縁でそろえた「春の予感」「浮遊する記憶~春を待つ夜~」(同題2点)。
 女性の横顔と、背景の冬の風景とが、静かな物語性を漂わせています。


 中央の扇形の作品は「二月の譜」。
 このあたりは油彩ですが、カウンター側の作品は、テンペラが多いです。

 高梨さんはイコン塾に入って梅津薫さんからテンペラ画を学んでいます。
 キャンバスに金箔きんぱくを貼り、その上からテンペラを重ねます。金箔は絵の具をはじくので支持体への定着は大変だと思います。ニンニクを原料とする薬剤を下地にほどこしたり、また、表面の色味を落ち着かせるために焦がしたり、さまざまな工夫をしているそうです。



 支持体は、石こうもあります。何度も石こうを重ねては削って、その上に箔や絵の具を置いています。

 金箔の輝かしさを秘めながらも、寒色を中心にした配色と繊細な筆遣いは、北国らしい叙情性をたたえているように思えます。
 高梨さんは「北海道の何気ない草花や自然が好きなんです」と話していました。
 「えふでぎく」「野ぶどう」などにその気持ちがあらわれていると思います。


 イコンも4点ありました。
 うち1点はロシア正教とは関係なく、ボッティチェリ「受胎告知」の一部、天使が飛んでいるところを模写したものです。
 「いつか、右側のマリアの部分も作りたい」
と高梨さん。
 右端で、馬上から竜を倒しているのは、聖ゲオルギウスでしょうか。



出品作品(北都館のサイトからコピーしました)

S20:いつか見た夜明けの夢~浮遊する記憶~、帽子の少女

F6 :浮遊する春待、蒼い月

F3: 春を待つ夜、春の予感、浮遊する記憶~春を待つ夜

SM: 一輪百合、プラハの夕刻

F0:クレマチス、seed、カムイの鳥、浮遊する記憶~春待、えふでぎく、野ぶどう

扇面画:二月の譜

25×25:一輪薔薇

15×15:パキラと青いガラス、蒼き人、海の物語

変形:いつか見た夜明けの夢

イコン:4点


2017年11月29日(水)~12月4日(月)午前10時~午後9時(土日月~午後7時、最終日展示~午後5時)
カフェ北都館ギャラリー(札幌市西区琴似3の1)

□高梨美幸のホームページ https://miyuki-t-art-page.webu.jp/gallery.html




カフェ北都館ギャラリーへの道順(アクセス)


・地下鉄東西線の琴似駅5番出口から約270メートル、徒歩4分
・JR琴似駅から約740メートル、徒歩10分

・ジェイアール北海道バス「山の手一条通」から約920メートル、徒歩12分(快速、都市間高速バスは通過)
・ジェイアール北海道バス、中央バス「西区役所前」から約960メートル、徒歩13分(手稲、小樽方面行きの全便が停車)


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