業界初の「入試に強い行政書士」  八王子山下行政書士事務所の所長日誌

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遺言営業をしないわけ

2016-07-24 11:22:48 | 遺言・相続

同業者の中では遺言・相続業務に注力している方も多く、高齢化社会のなかでこの業務はどの士業にとってもまだ成長が期待される分野です。ですから、私も開業時にはこれをメインにやっていこうと考えた時期もありました。しかし、やりながら、一筋縄ではいかない気がしましたし、さらに昨年、自分の親が亡くなり(遺言はありませんでしたが)遺言書を作っておくことが本当に被相続人・相続人のためになるのかと疑問に思うようになりました。

もちろん、子供のいないなど法定相続人がいない家庭や、事業承継を決めておきたい方、法定相続人以外に財産を残したい方などには遺言を作成しておくことがいいということには異論はありません。問題は「争族をさけるため」というのを謳い文句にしている場合です。

確かに兄弟間であれを欲しい、これは要らないというのを調整するという意図で作るのでしょうが、被相続人がそれを勝手に決めて本当に禍根が残らないのでしょうか?被相続人の財産であるうちは何も表に出ないでしょうが、相続人は自分の期待に外れた遺言であったとき、心情的には怒りを覚えるのが普通かと。(これが遺言書の有効性を争うトリガーのひとつにもなっています)

だから公正証書遺言を作成して問答無用にしておく、というのが作らせるほうの論理なのですが、思えばずいぶんと勝手な話だとは思いませんか?あと10年生きる人間と、あと40年生きる人間とでは、命の重みに優劣はなくとも、後者のほうがはるかに「重い」のです。

納得できないまま相続をしたら、その恨みは同じ相続人ばかりでなく被相続人にまで及ぶということを考えたことがありますか?(下手すりゃそれをそそのかしたと自分まで恨みを買うことに)

所詮、兄弟は他人の始まりですから、何代も続くうちに兄弟間の縁は疎遠になっていきますが、恨みを子や孫に伝えつつ、それに拍車をかけ、被相続人は自分の墓参りにも来てもらえなくなるのです。多くの士業は遺言書作って遺言執行人になって事務的に処理し、売上を上げればそれでオシマイ、以降の相続人同士のことは関心外。

私はそんな恐ろしいことできません。この歳になると、他人の恨みを買ってまでゼニもうけをしたいと思わなくなってきましたので、遺言書の作成を依頼されたときには、相続人が内容を知っていますか?と尋ねることにしていますし、相続人には概要を話しておくようにお勧めしています。

「問答無用」の遺言書は(だからいいと勧める同業者もいますけど)きっと禍根を残すと思っているからです。親が亡くなったことを契機に兄弟の紐帯が強まるケースだってありますし(その数はそんなに少なくないと思う)遺言書の存在がせっかくいい方向に向かったものをぶち壊すことにもなりかねません。

一方、知られたくない内容の遺言は多くの場合(相続人同士の仲が悪いことが多いけど)、却って火に油を注ぐ可能性があると思っているのです。それでも、という方は他にご依頼いただけるようお願いしたいのです。

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