いそのまさはるの教育間欠泉

中学校教師を定年退職し、現在は大学非常勤講師をつとめる立場から、折に触れ教育課題への発言を間欠泉の如く吹き上げます

ある教え子との出合い直し

2017年02月13日 | 日記

 教師をしていてうれしいことのひとつに「教え子との再会」がある。

 もちろん街角で出会って、少しの時間立ち話をするだけでも十分にうれしいことなのだが、自分自身の「生き方」と教え子の「生き方」がクロスして出会う、ある意味では出会い直したとき、出会いがしらの再会の何倍もうれしいものである。

 そんな再会がこれまでも幾度となくあった。ぼくが教職員組合の役員をしているとき、組合運動の中で再会したNさん、もんじゅ反対の現地闘争で再会したPさん、大学の講義のゲストティーチャーに招いた障がいのあるYさん、さらに同じ教師として再会した教え子は数えきれない。

 ごく最近32年ぶりに再会したUさんも、そうした「生き方」を通して出会い直した一人である。

 FBの友だちが「いいね」とつけていた投稿に「無認可保育園と子ども食堂を運営し、認可小規模保育園の設立をめざす」というのがあり、その代表者として紹介されていたのがUさんだった。姓は変わっていたが、名前と顔写真を見たとき、「教え子のYさんではないか」という思いが芽生えた。そこで、その子ども食堂に顔を出しているという知人に確認してもらい、Uさんが教え子Yさんであったことがわかった。

 で、先日その知人といっしょにその子ども食堂を訪れ32年ぶりの再会となった次第である。写真だけでも中学生時代の面影はあったが、会ってみると、素敵な笑顔は当時そのままであり、その日の夕食メニューであるハヤシライスとじゃがいもサラダを食べながら彼女の話を聴かせてもらった。

 我々が話している部屋にときおり顔を出す子どもたちに声をかけ、いろいろな事を伝えに来るスタッフと受け答えをしながら、彼女は2時間にわたって「子ども食堂」の日常や「認可小規模保育園設立」にかける思いを熱く語ってくれた。なかでも、ぼくの心に響いたのは、その設立に向けたとりくみを支援する人々の中に、もちろんぼくもよく覚えている中学当時“やんちゃ”やった人がいるということだった。

 そんな話を聴きながら、ぼくは、彼女を担任していたときのある出来事を思い出していた。

 ときは1983年。日本全国の中学校が「荒れ」ていた時代。ぼくの勤めていた中学校も御多分にもれず「大荒れ」だった。で、その年の4月、我々教師集団は、生徒や保護者・地域に「『あれ』に立ち向かう」ことを宣言した。ぼくがUさんを担任したのは、そんな時代であったのである。

 あるとき、ぼくが自分のクラスで授業をしていると、廊下を一人の“やんちゃ”な男の子が通った。「エスケープしたのでは?」と思ったぼくは、授業を中断し、生徒たちに「しばらく待っているように」指示して、彼を追いかけた。今や彼とどんなやりとりをしたかは覚えてないが、彼を教室に戻し、自分の教室に戻ったのだった。

 教室の戻ってみると、なんと生徒たちが自主的な話し合いをしていたのである。ちょうど議長役の学級代表の生徒が「先生だけに任せておかないで、自分たちが何かしないといけないのでは」と話している最中だった。このときのぼくの「我が意を得たり」感は34年たった今も忘れていない。

 こんな生徒たちであったからこそ、当時の“やんちゃ”な子らとUさんたちとのつながりは今日まで続いてきたわけで、当時「『非行』はしんどいことに負けた姿」「立ち直りを支えられるクラス・学年になろう」とよびかけたことが間違いでなかったと再確認できたUさんの話だった。

 帰ってから、その再会を投稿したFBにUさんが「先生の教えを守って、ぶつかりながらもまっすぐ歩いていきます」とコメントしているのをみて、当時30代、「『荒れ』から逃げない」ことをモットーに走り回っていたぼくは、生徒たちにも同じことを求めていたんだなぁと苦笑いしてしまった。

 時代は下がって2000年代初頭、教師として晩年のぼくのモットーは「がんばらないけどあきらめない」だった。生徒たちにも頑張りすぎないように話していたし、それで救われたという手紙をくれた生徒もいた。時代は明らかに不透明で不安定な方向に向かっているからでもある。

 今、出会い直せたUさんにぼくはどんな言葉をかけるべきか。「がんばり過ぎに気をつけながら、あきらめずにゆっくりと進んででいってほしい」。これからもなにかしらの関わりができたらいいと思っているUさんの「生き方」である。

 

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