ゾンビの草分けというか、ゾンビ映画の元祖というか、不滅のゾンビ三部作の生みの親ロメロ師匠久々のゾンビ映画なので、拝見しました。第一作ナイト・オブ・ザ・リビング・デッドのプロデューサーで、イタリアン・ホラーの巨匠ダリオ・アルジェントのお嬢さんエイシア・アリア・マリア・ビットリア・ロサ・アルジェント(イタリア人の名前は長い^^;)がヒロイン役です。イタリア映画やフランス映画の出演が多い人です。僕はトリプルX以来久しぶりに見ました。
主人公は、FOXチャンネルで放送中のニック・フォーリンの主人公を演じているサイモン・ベイカー。映画では、リング2やレッド・プラネットに出てた人です。
ロメロ師匠のお嬢さんも監視塔からゾンビを撃つ役で出ていたり、襲われるレズカップルの役で、スクリプト・スーパーバイザーとアニメーター兼スタンドインの人が出ていたりと、スタッフもゾンビ役やエサ役で参加したり、まあ、一種のゾンビ同窓会的な雰囲気の楽しそうな現場で作られた映画といえましょう。
ゾンビのメイクは、グレゴリオ・ニコテロ、ゾンビが好きでこの仕事に入り、デビューが三作目のデイ・オブ・ザ・デッドと言う人です。多くのゾンビものや、キル・ビル、シン・シティーなどのメイクやスペシャルメイクを手がけています。他に、ハワード・バージャー。この人も、同じく、デイ・オブ・ザ・デッドがデビューで、ニコテロとのコンビも長い人です。
その完成度の高さは、映画を見ているだけでは実感しきれません(それはそれで、意味ない気もしますが^^;)ゾンビも食われる人間も、あまりCGは使っておらず、すごいクオリティの作り物です。真骨頂は、主に、食われる人間関係のところで、役者に作り物つけて撮影していると思ってたところが全部ダミーだったり、マペットだと思ってたところが役者がやっていたり、見分けがつきません。ゾンビ関係でもCGは多少は使っていますが、ほぼ、ライブで処理していてこの水準なのは、スタッフの愛情を感じさせます。
世界観的には、デイ・オブ・ザ・デッドの延長線上といった感じで、ゾンビが、あれから多少、進歩していて、ジュラパ3のラプターより少し馬鹿程度の知恵をつけています。
三部作のような、この世の終わりのような逼塞感や終末的雰囲気を、ゾンビ物に必須の要素と考える人には、多分評判は悪いんじゃないかと思います。この映画の目指しているものは、それとは異なっていますので。
いわゆるサバイバルが中心のテーマではなく、劇的な変化に、どう対応するかが焦点になっており、変化を頑なに拒むもの、混乱に乗じて成り上がろうとするもの、変化を受け入れて変わろうとするものを描いています。その中にはゾンビも含まれているわけです。
ただ、それを深く掘り下げてはおらず、主人公三人組も、成り上がり組も、保守派も、人間の絡みが、いい線まで行ったところで終わってしまうので、物足りません。スラムの住人や主人公、悪役など、もう少しドラマを描いてくれないと消化不良になってしまいます。人間関係の要素が多すぎなので、これらを多少減らして、もう少し掘り下げたほうが、楽しめる作品になったでしょう。
ある意味、予算が潤沢だったのが裏目に出たのかもしれません。ロメロ師匠自身は、カーペンター親方と同じく、低予算が大好きな監督ですから。
ですが、要素が多すぎでも、とっ散らかっているわけではないので、ストレートに受け取る事はできます。
主人公と相棒の信頼感が、前半いいかんじなのですが、後半はほとんど取り上げられず、主人公とヒロインも出会いから行動を共にするあたりまではいい感じなのですが、行動を共にして以降、ブリッジでの射撃程度しか活躍が見れず、折角前半で組み上げた人間関係が、クライマックスで生かされていないのでかなり物足りません。前半、アジってるスラムのリーダーも、主人公とヒロインの出会いの際にその理由とされている割には、彼に関する言及が悪役側から全くと言っていいほどない上、最後に思い出したようにちょこっと顔を出すだけなので、ストーリーやドラマに貢献していません。彼らを出すなら出すで、ゾンビ襲来以降のシーケンスで、多少活躍を描くか、あれらの対応を見せてやるかして貰わないと、テーマを感じ取る事は難しいです。
虐待されるゾンビを描くシーンは割と多く、ゾンビにシンパシーを抱かせるような方向の描き方なので、この、スラムの住民の立場を描いてやらないと、タワーの住民、スラムの住民、ゾンビの三つに分けた意味が伝わらないわけです。このリーダーの存在がなければ、抑圧されたスラムの住民は、単なる逃げ惑う被害者なわけで、見ていて物足りなくなる要素は減り、リーダーのもつドラマ的意味を主人公かヒロインに乗せてやれば、もっと、観客にわかりやすくドラマも盛り上げやすかったと思うのですが、主人公達に、そうした、リーダー的な役割を持たせたくなかったのでしょう。
一番消化不良でないキャラクターは、悪党を恐喝する傭兵のチョロですが、もう一歩、主人公との関係を踏み込んで描いてくれたら、もっとドラマは盛り上がったと思います。
それぞれの関係にあまり踏み込まないのは、気づかない失敗というよりは、明らかに監督の意図です。人間関係の部分は、関係の基礎だけ描いて、後は、オーディエンスに想像して貰うという方針でこの映画を作っているわけなので、消化不良になるのは当たり前です。この方針が成功した場合、一般的な感想としては、なんで、こう言うシーンがないんだよぉ、とか、もっと、こんな関係を見たかったとか、いわゆるネガティブな発言となって出てくるので、普通、思いついても、あまりやる人はいません。
ご本人も仰っている通り、名声も興行収益にも興味がなく、楽しく映画を作りたいわけですから、こうした冒険ができるのでしょうね。
もともとの三部作も、今でこそセオリーになっているものの、色んなタブーを敢えて犯して作っていますから、そうした意味では、正当な続編といえます。
ホラー・アクションなら、もっと見ているだけで面白いのもはいくらでもありますし、70年代ゾンビもののテイストを味わいたいなら、そうした良作もあります。ゾンビ映画としては、ドーン・オブ・ザ・デッドのリメイクの方が、正統といえますが、テーマ的にはなんら変化なく、映像や表現がリニューアルされているだけです。
しかし、70年代にゾンビを作ったロメロの精神を味わえるのは、やはりこの作品しかないでしょう。
ちなみに、悪党を演じているデニス・ホッパーは、この役をラムズフェルドをイメージして演じたそうです。メイキングなど随所に、ブッシュ政権に対する批判的な意見が聞かれるので、そうした角度で、この映画を鑑賞すると、リドリー・スコットのキングダム・オブ・ヘブンのように、直接的ではありませんが、今のアメリカに対する痛烈な皮肉であることが理解できます。まあ、本作で、あまり、この点をあからさまに出すと、テロリスト=ゾンビというところで、本来の意図が誤解されるのは明らかなので、相当遠まわしにしてありますが。
オリバー・ストーンと違って、モンロー主義的ではありますが、やはりベトナム戦争時代を経験している映画人は、こうでなくっちゃって感じです。
ゾンビ映画を見て、こうした事を考えるなんてことは、普通はできません。ぼんやり見ていたら、それなりに楽しめた凡作と言う印象になるでしょうが、ぜひ、色々考えて鑑賞してください。きっと、色々見えてきて、楽しめる映画と言う印象になるはずです。
老いても、冒険的なロメロ師匠に敬服した作品でした。
主人公は、FOXチャンネルで放送中のニック・フォーリンの主人公を演じているサイモン・ベイカー。映画では、リング2やレッド・プラネットに出てた人です。
ロメロ師匠のお嬢さんも監視塔からゾンビを撃つ役で出ていたり、襲われるレズカップルの役で、スクリプト・スーパーバイザーとアニメーター兼スタンドインの人が出ていたりと、スタッフもゾンビ役やエサ役で参加したり、まあ、一種のゾンビ同窓会的な雰囲気の楽しそうな現場で作られた映画といえましょう。
ゾンビのメイクは、グレゴリオ・ニコテロ、ゾンビが好きでこの仕事に入り、デビューが三作目のデイ・オブ・ザ・デッドと言う人です。多くのゾンビものや、キル・ビル、シン・シティーなどのメイクやスペシャルメイクを手がけています。他に、ハワード・バージャー。この人も、同じく、デイ・オブ・ザ・デッドがデビューで、ニコテロとのコンビも長い人です。
その完成度の高さは、映画を見ているだけでは実感しきれません(それはそれで、意味ない気もしますが^^;)ゾンビも食われる人間も、あまりCGは使っておらず、すごいクオリティの作り物です。真骨頂は、主に、食われる人間関係のところで、役者に作り物つけて撮影していると思ってたところが全部ダミーだったり、マペットだと思ってたところが役者がやっていたり、見分けがつきません。ゾンビ関係でもCGは多少は使っていますが、ほぼ、ライブで処理していてこの水準なのは、スタッフの愛情を感じさせます。
世界観的には、デイ・オブ・ザ・デッドの延長線上といった感じで、ゾンビが、あれから多少、進歩していて、ジュラパ3のラプターより少し馬鹿程度の知恵をつけています。
三部作のような、この世の終わりのような逼塞感や終末的雰囲気を、ゾンビ物に必須の要素と考える人には、多分評判は悪いんじゃないかと思います。この映画の目指しているものは、それとは異なっていますので。
いわゆるサバイバルが中心のテーマではなく、劇的な変化に、どう対応するかが焦点になっており、変化を頑なに拒むもの、混乱に乗じて成り上がろうとするもの、変化を受け入れて変わろうとするものを描いています。その中にはゾンビも含まれているわけです。
ただ、それを深く掘り下げてはおらず、主人公三人組も、成り上がり組も、保守派も、人間の絡みが、いい線まで行ったところで終わってしまうので、物足りません。スラムの住人や主人公、悪役など、もう少しドラマを描いてくれないと消化不良になってしまいます。人間関係の要素が多すぎなので、これらを多少減らして、もう少し掘り下げたほうが、楽しめる作品になったでしょう。
ある意味、予算が潤沢だったのが裏目に出たのかもしれません。ロメロ師匠自身は、カーペンター親方と同じく、低予算が大好きな監督ですから。
ですが、要素が多すぎでも、とっ散らかっているわけではないので、ストレートに受け取る事はできます。
主人公と相棒の信頼感が、前半いいかんじなのですが、後半はほとんど取り上げられず、主人公とヒロインも出会いから行動を共にするあたりまではいい感じなのですが、行動を共にして以降、ブリッジでの射撃程度しか活躍が見れず、折角前半で組み上げた人間関係が、クライマックスで生かされていないのでかなり物足りません。前半、アジってるスラムのリーダーも、主人公とヒロインの出会いの際にその理由とされている割には、彼に関する言及が悪役側から全くと言っていいほどない上、最後に思い出したようにちょこっと顔を出すだけなので、ストーリーやドラマに貢献していません。彼らを出すなら出すで、ゾンビ襲来以降のシーケンスで、多少活躍を描くか、あれらの対応を見せてやるかして貰わないと、テーマを感じ取る事は難しいです。
虐待されるゾンビを描くシーンは割と多く、ゾンビにシンパシーを抱かせるような方向の描き方なので、この、スラムの住民の立場を描いてやらないと、タワーの住民、スラムの住民、ゾンビの三つに分けた意味が伝わらないわけです。このリーダーの存在がなければ、抑圧されたスラムの住民は、単なる逃げ惑う被害者なわけで、見ていて物足りなくなる要素は減り、リーダーのもつドラマ的意味を主人公かヒロインに乗せてやれば、もっと、観客にわかりやすくドラマも盛り上げやすかったと思うのですが、主人公達に、そうした、リーダー的な役割を持たせたくなかったのでしょう。
一番消化不良でないキャラクターは、悪党を恐喝する傭兵のチョロですが、もう一歩、主人公との関係を踏み込んで描いてくれたら、もっとドラマは盛り上がったと思います。
それぞれの関係にあまり踏み込まないのは、気づかない失敗というよりは、明らかに監督の意図です。人間関係の部分は、関係の基礎だけ描いて、後は、オーディエンスに想像して貰うという方針でこの映画を作っているわけなので、消化不良になるのは当たり前です。この方針が成功した場合、一般的な感想としては、なんで、こう言うシーンがないんだよぉ、とか、もっと、こんな関係を見たかったとか、いわゆるネガティブな発言となって出てくるので、普通、思いついても、あまりやる人はいません。
ご本人も仰っている通り、名声も興行収益にも興味がなく、楽しく映画を作りたいわけですから、こうした冒険ができるのでしょうね。
もともとの三部作も、今でこそセオリーになっているものの、色んなタブーを敢えて犯して作っていますから、そうした意味では、正当な続編といえます。
ホラー・アクションなら、もっと見ているだけで面白いのもはいくらでもありますし、70年代ゾンビもののテイストを味わいたいなら、そうした良作もあります。ゾンビ映画としては、ドーン・オブ・ザ・デッドのリメイクの方が、正統といえますが、テーマ的にはなんら変化なく、映像や表現がリニューアルされているだけです。
しかし、70年代にゾンビを作ったロメロの精神を味わえるのは、やはりこの作品しかないでしょう。
ちなみに、悪党を演じているデニス・ホッパーは、この役をラムズフェルドをイメージして演じたそうです。メイキングなど随所に、ブッシュ政権に対する批判的な意見が聞かれるので、そうした角度で、この映画を鑑賞すると、リドリー・スコットのキングダム・オブ・ヘブンのように、直接的ではありませんが、今のアメリカに対する痛烈な皮肉であることが理解できます。まあ、本作で、あまり、この点をあからさまに出すと、テロリスト=ゾンビというところで、本来の意図が誤解されるのは明らかなので、相当遠まわしにしてありますが。
オリバー・ストーンと違って、モンロー主義的ではありますが、やはりベトナム戦争時代を経験している映画人は、こうでなくっちゃって感じです。
ゾンビ映画を見て、こうした事を考えるなんてことは、普通はできません。ぼんやり見ていたら、それなりに楽しめた凡作と言う印象になるでしょうが、ぜひ、色々考えて鑑賞してください。きっと、色々見えてきて、楽しめる映画と言う印象になるはずです。
老いても、冒険的なロメロ師匠に敬服した作品でした。
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うは〜、この映画一本でここまで記事が書けるなんて、さすがとしか言いようがありませんよ。監督の事などほとんど分からないので、きっと私では凡庸な感想になっちゃうだろうな〜と思いました。最新のゾンビ映画、しかもロメロ監督の作品、早いところ観てみたいです!
旧3部作とは違った出来になってはいましたが、ロメロ監督20年ぶりのゾンビ最新作と言う事で堪能させて頂きました。敢えて言うならやはり『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』が一番面白かったです。
ダリオ・アルジェント監督も好きですね。この二方が組んだ『ゾンビ』は最強タッグです(笑)
アルジェント監督も結構意欲的に作品作ってますが、最近はスリラー系が多くホラー系が少なくてちょっと残念ですね。
またあそびにきてくださいね〜