浮浪節

余暇

東芝元社員の告白「あの会社の裏切りがなければ」

2017年05月18日 | ニュース等(新しいとは限らない)
2月14日、半導体事業の「事実上の売却」を検討していることを明らかにした東芝。綱川智社長の衝撃の記者会見から一夜明けた15日、東芝の原子力事業に携わっていた元社員はこう呻いた。

「あの会社の裏切りがなければ……」

 今から11年前、東芝は米原子炉メーカー大手のウエスチングハウス(WH)を買収した。売り手は1999年にWH を買収した英国核燃料会社(BNFL)である。
 
 実はこの時、東芝にはパートナーがいた。総合商社の丸紅だ。米欧で電力自由化が本格化する中、IPP(独立発電事業者)として各国の電力市場に参入していた丸紅は、川上から川下まで一気通貫でエネルギー事業を手掛けるため、WHへの出資に意欲を見せていた。

WH買収の蔭にいた「兄弟」

 資金調達力があり、外国企業との交渉にも長けた丸紅は、財務基盤の弱い東芝にとって心強い存在だった。まして当時の丸紅社長は勝俣宣夫。東京電力社長、勝俣恒久の弟である。東電も電力自由化を睨み、原発事業での海外進出を目論んでいた。天下に聞こえた「勝俣兄弟」がついていれば、鬼に金棒。WH買収を巡る入札で三菱重工業と競り合っていた東芝は、三菱重工業の首脳が「考えられない」というレベルにまで値を吊り上げた。

 ところが入札が佳境に入った2006年夏、突然、丸紅がディールから降りる。当時、丸紅は経営危機に陥ったダイエーの買収も検討しており、勝俣(弟)が「二兎は追えない」と逃げたのである。

 当時、東芝社長だった西田厚聰と原発担当役員だった佐々木則夫は烈火のごとく怒ったが、後の祭り。丸紅の穴を埋めるため米ゼネコンのショー・グループ(現CB&I)を引っ張り込み20%を出資させる。だが用心深くプット・オプション(ショーが「売りたい」と言ったら東芝が買い取らなければならない契約)を設定し、2011年の福島第一原発事故の時にその権利を行使した。原発輸出でタッグを組むはずだった東電も死に体になり、かくて東芝は一人ぼっちになったのである。

 つまり東芝元社員が「裏切った」と言う「あの会社」は丸紅を指す。もっと言えば、東芝原発部隊の怒りは、海外原発事業に東芝を誘った「勝俣兄弟」に向けられているのかもしれない。


http://bunshun.jp/articles/-/1457

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今や統廃合が進んだ六大企業集団、その中にあって未だに本体の統廃合を免れているのが総合商社である。
総合商社は言わばこの企業集団内の情報産業という側面がある。
海外の動向に精通しているというイメージがあり、その情報能力に対する信頼も厚い。
だからこそ、パートナーとして選定して一緒にビジネスをするのだ。
総合商社に情報面や商流のオーガナイズを委託するという事は、
知識面で総合商社に依存する事をも意味している。
その対価として口銭を払う訳だが、商社も今や変容している訳で、
特にその群を抜いた高給っぷりを見れば分かる様に、あまり誠実な業界ではない。
投資銀行に近づいたと言える。

東芝に限らず、日本のメーカーは社内で業界やビジネスの知識を収集する部署がほとんどないに等しい。
情報の収集を総合商社に任せて来たからだし、商社もグループ内での立場を考慮して、阿漕な真似はしなかった。
しかし今やその関係は崩壊している。
今回のケースは、多くのメーカーにとって商社に依存しているとどうなるか分かったもんじゃないという教訓を与えるだろうし、
総合商社もこのようにして企業集団内での機能を喪失していく事に成るだろう。

と言う訳で実は今後は総合商社が正念場を迎えるのではないか、と私は思う。
そもそも川上から川下とか言ってるが未だに口銭ビジネスが中心の業界であり、
スケールメリットで商売をしている訳だが、パートナーとしている企業集団が崩壊すれば、
総合商社どうしの比較が起こる。
そのことでこれまでよりも遥かに価格競争が熾烈になる。
その時、高給取りのやっかみもあって、なかなかビジネスが成立しずらくなる事だろう。
まぁ実際には総合商社の高給は山ほどある関係会社の薄給によって賄われている訳だが、
関係会社のモチベーションの崩壊を招きかねないし、総合商社の未来はあまり明るくない。
特に物産系の子会社は中小企業に毛の生えたような給料なんだよなぁ…。













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