ぐるぐる・ぶらぶら

歌舞伎と映画と美術と読書の感想

【読書】失われてゆく、我々の内なる細菌

2017-09-25 00:36:10 | 読書記録
文脈・メッセージ的には「寄生虫なき病」と近い印象。
著者は、ピロリ菌の研究者であり、現実の医療への警鐘の
側面がより強い。
 
抗生物質の多用と日常の食への見えない浸透。
帝王切開における曝露ロス。
病原として除去されるピロリ菌。
 
関係を論証はされていないけれど、と何度もことわりを入れつつ、
でも昨今の幾つかの健康不全や脳への影響のあらわれについて
著者は関係を疑っているし、論証に向けて研究を続けている。
 
抗生物質。
私の場合、風邪で処方してもらう抗生物質は2日も服用すると、
必ず身体に変調がある。長くは飲みたくない。
けどふだん食べてるものにじわじわ入っているかもしれない。
特に量産されたタンパク源には。
 
-----
失われてゆく、我々の内なる細菌
マーティン・J.ブレイザー 著
みすず書房 2015/07
http://www.msz.co.jp/book/detail/07910.html
 
(2017.9.11)

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【読書】ミクロの森

2017-09-25 00:25:08 | 読書記録
所はUSの原生林、保護区の一角。
1㎡の場所を、著者は曼荼羅に見立てる。
そこはさまざまな生物と植物と菌類の活動を観るスコープ。
たった1㎡の中の、多様な生きざま。
通り過ぎたりちらりと見えたり、いるけど見えなかったり。
 
曼荼羅の中の観察で小さきものの面白さを語ったと思えば、
その背景にある見えないもの、地中だったり、小さすぎる生き物の
物語へ。
あるいはふとその事象に関わる周辺・地域・広域の、自然然環境の
変化による影響にまで筆は及ぶ。
 
ゴルフボールのエピソードが印象的。
人工物もまた自然。
特許法上の発明の定義は「自然法則を利用した技術的思想の創作の
うち高度のもの」だっけなぁ。
プラスチックも、ICチップも、自然法則の利用なのだ。
ただ、産生の速度と量が、生態系がもつ循環の速度を上回ってる。
つらつらと、そんなことを考えた。
 
著者に少し感じる寂寥感の源は、保ち続けることの困難さなのか、
超長期で見たときの自然の圧倒的な回復力に対する人間の非力か。
-----
ミクロの森 1㎡の原生林が語る生命・進化・地球
D.G.ハスケル 著
築地書館 2013/07
http://www.tsukiji-shokan.co.jp/mokuroku/ISBN978-4-8067-1459-0.html
 
(2017.9.4)

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【読書】美の考古学

2017-09-25 00:07:36 | 読書記録
美と用。
道具が備える2つの性質。
 
歴史の考察では一般的に、用・機能、何のためにどう用いられて
きたかの変化を見るのだという。
著者は「美」という角度から、土器・古墳のかたちの変遷を読み解く。
 
面白いなぁと思ったのは、土器が、素朴な道具が意匠によって
用でなく美による価値の厚みをいったんは纏うものの、
技術の発達による量産段階では再びシンプルになること。
室内あるいは他のモノとの調和が重視されたか。
 
それと、偶数と奇数の話。
予定調和しないかたちは、不安定で、人の認知を引くという。
好まれるかたちと、コミュニティの形態との関係性。
 
特別のあつらえは、権力と結びつく。
そういうのが美の基準は変わりつつもえんえんと続いたひとつの
頂点が安土桃山の茶道具だろうか、などと思ったりして。
 
古墳について、悲しいかな教科書の上空写真しか意識にない。
地上で正面から見上げた時の、見るものの意識への影響のくだりは、
方々の古墳の実物を見知る著者ならではかと。
 
-----
美の考古学―古代人は何に魅せられてきたか―
松木武彦 著
新潮社 新潮選書 2016/01
http://www.shinchosha.co.jp/book/603780/
 
(2017.9.20)

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【映画】スイス・アーミー・マン

2017-09-23 11:02:58 | 映画
便利な道具男(死体)と内向君(内弁慶?)の帰還行と奇跡。
 
ガスのエピソードはじめ、随所にビロウな笑いが散りばめられている。
"ラドクリフ様ラヴ"な人にはずいぶんとショックだったのかな、と
とあるサイトでの☆いっこ評価を見て思う。
 
ハンク/ポール・ダノとメニー/ダニエル・ラドクリフのやり取り、
脚本がみごと。出会った初期のメニーの素朴な返し(なるべく英語のまま
聞こう)がクスクス笑いを誘う。
 
自然を突っ切ってHOMEを目指す中で深まっていく交流、シンクロ。
光あふれるシーンの優しさは、終盤のとあるシーンに痛烈に効いてくる。
 
-----
公式サイト:http://sam-movie.jp/
 
出来事そのものと受け止めの軽重感覚が、紋切りな日常感覚とズレていて、
だんだんと誰かの夢の中にいるような気分になった。
 
十得ナイフネタよりも、会話(言語理解)や常識非常識の認識ズレからくる
笑いが多く入っていたりもして。
メニーの認識のズレ具合や、外部認知へのシンプル・率直な反応は、
例えばもの忘れが進んだ高齢の方のそれと近い印象。疎外のされ方や痛みも。
 
(2017.9.22)

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【気になる本】20170918-24

2017-09-21 00:33:07 | 気になる本
2017/09/23
 
ギグ・エコノミー 人生100年時代を幸せに暮らす最強の働き方
  /ダイアン・マルケイ/1,944円/日経BP社
http://ec.nikkeibp.co.jp/item/books/P55400.html
 
民衆史の遺産 第12巻 坑夫/谷川 健一/6,480円/大和書房
http://www.daiwashobo.co.jp/book/b297965.html
 
茅葺きの民俗学 生活技術としての民家 新版/安藤 邦廣/2,160円/はる書房
http://www.harushobo.jp/index.html
 
マックス・クリンガーポストカードブック 19世紀末の幻想世界
  /マックス・クリンガー 神奈川県立近代美術館 企画・編集/1,836円/求龍堂
http://www.kyuryudo.co.jp/shopdetail/000000001357/
 
ユダヤ 知的創造のルーツ/石角完爾/1,728円/大和書房
http://www.daiwashobo.co.jp/book/b286147.html
 
2017/09/22
 
ペストの記憶/ダニエル・デフォー/3,780円/研究社 英国十八世紀文学叢書
http://www.kenkyusha.co.jp/purec/#ISBN978-4-327-18053-9
 
ホリスティック医学私論 来し方・いま・行く末/帯津 良一/1,620円/源草社
http://gensosha.net/mokuji/171001_horistic/mokuji_171001_horistic.html
 
2017/09/21
 
日本人ときのこ/岡村 稔久/972円/山と溪谷社 ヤマケイ新書
http://www.yamakei.co.jp/products/2817510460.html
 
ひなびた温泉パラダイス しみじみシビレる!名湯50泉/岩本 薫/1,404円/山と溪谷社
http://www.yamakei.co.jp/products/2817080100.html
 
融合医療 世界の民族伝統医療に学ぶ日本の医療/三冬社
http://santho.net/index.html
 
2017/09/20
 
経験をリセットする 理論哲学から行為哲学へ/河本 英夫/2,160円/青土社
http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=3084
 
傾聴の心理学 PCAをまなぶ:カウンセリング/フォーカシング/エンカウンター・グループ
  /坂中 正義 田村 隆一 松本 剛 岡村 達也/2,484円/創元社
https://www.sogensha.co.jp/productlist/detail?id=3809
 
時間とはなんだろう 最新物理学で探る「時」の正体/松浦壮/1,080円/講談社 ブルーバックス
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784065020319
 
神は数学者か? 数学の不可思議な歴史/マリオ・リヴィオ/1,037円/ハヤカワ文庫 NF
http://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000013649/date_2017_09_bunko/page1/order/
 
FAKEな平成史/森達也/1,728円/KADOKAWA
http://www.kadokawa.co.jp/product/321610000090/

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【映画】オン・ザ・ミルキー・ロード

2017-09-15 23:11:49 | 映画
銃弾飛び交う戦闘地帯。
牧歌的な景色は、ただそこにありながら、どこか壊れている。
あひるの群れも、鏡に向かう鶏も、大時計も。
変調、笑いを誘う。
 
温かいシニカル。
不思議な扇情、人肌、生々しい怪我と傷と逃避行。
 
マジックリアリズムの諸行無常、痛切なメッセージ。
 
なにかが満ち満ちて溢れている。
痛みすら豊かさの一要素。
-----
公式サイト:http://onthemilkyroad.jp/
 
「白猫・黒猫」っていつ観たんだっけ、と調べたら1998年の作だそう。
20年近く前なんだ。
作る方も観る方も歳とった分、捉える要素も多くなってるのか。
 
(2017.9.15)

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【映画】三度目の殺人

2017-09-15 00:04:24 | 映画
屋外のシーンは夜だったり曇天だったりの印象。光は窓から。
 
静謐なトーンの中、容易に判別できない情動が見え隠れする。
 
なんというか。観てよかったと思う。
 
心理サスペンスのカタチをしているけれど、同時に
哲学を描いている。
 
罪と裁きのカタチをしているけれど、
人の価値の扱われ方を言っているようにも見える。
 
"器"な役所広司がみごと。
-----
公式サイト:http://gaga.ne.jp/sandome/
 
(2017.9.14)

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【気になる本】20170911-17

2017-09-11 23:41:41 | 気になる本
2017/09/11
 
サービスデザインの教科書 共創するビジネスのつくりかた/武山 政直/2,916円/NTT出版
http://www.nttpub.co.jp/search/books/detail/100002423

スモール・リーダーシップ チームを育てながらゴールに導く「協調型」リーダー
  /和智 右桂/1,728円/翔泳社
http://www.shoeisha.co.jp/book/detail/9784798150871

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【映画】ダンケルク

2017-09-10 20:34:34 | 映画
息詰まる&行き詰まる40万人の脱出のなりゆき。
歴史には総体の結果が示されているとしても、
現場の個々の兵士たちには、帰れるか、そこで終わるか。
 
どこかの作品紹介で、"ゲーム"と言われていた。なるほど。
 
全体の印象は、長回しと似た視聴感覚。
カメラは回り続け、視点はその時々映し出されている登場人物に
重なって世界を見る。
 
どの人物に重なっても、脱出に至らぬ焦燥がえんえんと。
360度のトラップ。
ねちねちと描かれる行き詰まり、これでもかこれでもか。
 
キツいー。
そこが醍醐味。
 
だから却って最後30分の展開はトーンが変わってやや残念。
…観る方は勝手なもんですね。
 
冒頭から説明台詞ほぼなしで状況を理解させる見せ方がみごと。
 
-----
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/dunkirk/
 
ざわつく昨今の情勢の中でこれを観るというタイミングがね…。
 
(2017.9.10)

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【展覧会】サンシャワー:東南アジアの現代美術展

2017-09-10 20:17:27 | アート・文化
※森美術館を追記
-----------------------------------------------------------------
森美術館へ。
 
同じテーマなので基調は共通的でありつつ。
森美術館の方が、コーナー毎のトーンがくっきりしていたかも。
 
映画「ダンケルク」の直後に行ってしまったので、多少メンタルが
お疲れだったせいか、「瞑想としてのメディア」辺りが染みたなぁ。
 
個人的に水の映像が好きなので、映像作品をじっくりと。
表現には開発に対する皮肉も込められていたりはするのだけれど。
 
「振動を、振動する」金属と部品丸出しスピーカーなのに環境、
「国道5号線」の微妙な問い、
「山の泉」の造形と佇まい、
「おかしな名前の人たちが集まった部屋の中で歴史で絵を描く3」詩が秀逸、
「NGACOプロジェクト」可笑しさ、などなど。
 
(2017.9.10)
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国立新美術館と森美術館で開催中の展覧会。今回は新美。
 
余裕のあるスペースの中を、神経にいろいろ刺激を受けながら
ゆるゆると巡回。
 
表現に織り込まれる思想に、西欧のイデオロギーとは趣の異なる、
根源的な生に近いものが混じって感じられるのは、「東南アジア」の
ワードによる思い込みだけではないと思う。
 
それはもしかしたら作家の身体性から来ているかもしれない。想像だけど。
視覚(と聴覚)から入って触感と近いところがざわざわするのだ。
 
やわらかな反撃と、その裏のやさしさ、のようなのを感じる作品が
何点かあり、印象に残る。
 
インタラクション多数。
ビデオ作品も多いので、時間をたっぷりとって行くのがおすすめ。
 
(2017.8.5)
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サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで
国立新美術館・森美術館
公式サイト:sunshower2017.jp/
 
 

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【映画】エル ELLE

2017-09-06 17:21:36 | 映画
作品紹介文の「サスペンス・スリラー」は、まあ、そうですね。
「恐ろしい本性が明らかになり」は、ちょっと予想と違うと言えば違う。
ネタバレになってしまうのであまり詳しく書けないのですが。
 
うっひゃーって思うシーンも何か所かありますけど、
根源的に誰もが備えているであろう情動や動機が登場人物たちの行動を
組み立てていて。
 
居心地の悪さと愉快さが同居してる。
 
終幕まで見終えて印象に残ったのは、意外にも、勇敢さや靭さ。
 
-----
公式サイト:http://gaga.ne.jp/elle/
 
"女性活躍推進"とか口にしながら無意識に上からな年長の男性方に
目を見開いて見てもらいたいなぁ、と思ったりした。
でも彼らは「異常、例外的」って括って受け取らないかもね。
 
(2017.9.6)

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【気になる本】20170904-10

2017-09-05 23:12:42 | 気になる本
2017/09/08
 
死と生 恐山至高対談/鎌田 東二 南 直哉/2,052円/東京堂出版
http://www.tokyodoshuppan.com/book/b308920.html
 
2017/09/07
 
ニューロラカン 脳とフロイト的無意識のリアル/久保田 泰考/3,240円/誠信書房
http://www.seishinshobo.co.jp/book/b307519.html
 
2017/09/06
 
図像の哲学 いかにイメージは意味をつくるか
  /ゴットフリート・ベーム/5,400円/法政大学出版局  叢書・ウニベルシタス
http://www.h-up.com/bd/isbn978-4-588-01066-8.html
 
2017/09/05
 
エネルギー産業の2050年Utility3.0へのゲームチェンジ
  /竹内 純子/1,836円/日本経済新聞出版社
http://www.nikkeibook.com/book_detail/32170/
 
原発の教科書 決定版/津田 大介/2,592円/新曜社
http://www.shin-yo-sha.co.jp/mokuroku/books/978-4-7885-1536-9.htm
 
感応の呪文 〈人間以上の世界〉における知覚と言語/デイヴィッド・エイブラム/4,860円/論創社
 
江戸のギャンブル/有澤 真理/972円/洋泉社 歴史新書
http://www.yosensha.co.jp/book/b308810.html
 
最難関のリーダーシップ 変革をやり遂げる意志とスキル
  /ロナルド・A・ハイフェッツ/2,592円/英治出版
http://www.eijipress.co.jp/book/book.php?epcode=2223

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【読書】自閉症の世界

2017-09-04 22:52:26 | 読書記録
自閉症スペクトラムとはどんなものか?
そんな軽い問いと答えではなく。
 
「自閉症スペクトラム」という表現に至るまでのここ100年近くの経緯が、
当事者・親の永き苦しみと戦い、関わった医師・科学者たちの人物像を交え、
歴史ドキュメントのような姿で描かれています。
 
当事者が語り得なかった時代が長かったがゆえに、
発現形態がとても多様であるがゆえに、
20世紀前半の科学の未成熟ゆえに、
社会の硬直性ゆえに。
医師・研究者は仮説を誤り、時に似非科学が幅を利かせ。
 
20世紀の終わり近くに少しずつ光明が見え始める。
ターニングポイントとなった人、映画。
ITの発達によるコミュニケーション環境の変化。
 
脳科学が急速に発達したほんのここ数年で「ニューロダイバーシティ」
という視点が浮上し、肯定的な見方が広がり始めたけれど。
 
戸惑い、分け隔てようとする力は、まだ解消されてはいないだろう。
 
-----
「NT(定型脳)は相手の気持ちが分かる」という一般的前提もどうなんだ
と思ったりする。読み違えも結構あるよ。いちいち正さないけど。
従来の社会の枠組みが揺らいでいくにつれ、相手の感情とは個の素の感情を
指すようになり、それを感じ取ることは、個と個の関係性に、より依拠する
ようになるだろう。
枠組みはもうコミュニケーションを支えてはくれなくなるだろう。
企業組織内で既にその予兆は見え始めて。
ASDとされる人びとは、そういうコミュニケーションニーズの先行者なの
かも知れない。
 
-----
自閉症の世界 多様性に満ちた内面の真実
/スティーブ・シルバーマン 著
講談社ブルー・バックス
2017/05http://bookclub.kodansha.co.jp/buy?isbn=9784065020142
 
(2017.9.3)

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【読書】NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる

2017-09-04 21:39:59 | 読書記録
世界各国で、さまざまな分野の科学者が、森・自然が人間に及ぼす影響を
調査・分析し、仮説を立て、幾つかは定常的な場として整備され、効果を
表しているという。
 
著者は、世界各国の実証・実験の場を訪ね、体験し、科学者や実践者たちの
説を聞き、自らの体感を重要な物差しの1つにして効果を検証していく。
 
語り口は緻密だけれどライトだし、時々辛口で(行間に「ホントかよ?」
って書いてある感じ)、気に入ったところ・人とそうでもないところへの
情動がありありと出ていたりして。
時にツッコミを入れ、時に頷き、時に一緒に旅をし、時に体験を羨んだりと、
なかなか忙しい読書体験でした。
 
科学的な視点は色々出てきたけれど、
私はフラクタルの話がいちばん面白かったな("へぇ"度数が高かった)。
 
実際に「森」に3日間滞在するというプログラムに参加した体験からすると、
個人差はあれど誰にも、心中に・精神に、何かしらの変化を生じさせた。
その「何かしら」は結構深いところに根を張って、その後長きにわたって
影響し、ほぼ例外なく「森」的なものへの再会を希求し、実際そうする。
人によって濃淡はあるけれど。
 
本書に書かれている分析は、どれも在り得るだろう。
一方で、人それぞれ"効く"ポイントが異なるかもしれないと思う。
人は、森と同じくらい多様だから。
どれが効いているのかは、自分の身体感覚で測ればいい。著者のように。
 
-----
NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる 最新科学でわかった創造性と幸福感の高め方
フローレンス・ウィリアムズ 著
NHK出版 2017/07
https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000817182017.html
 
(2017.8.24)

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【読書】田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」

2017-09-04 21:10:34 | 読書記録
今、食べているもの、身体に取り込んでいるもの。
 
私と一緒にいる、私を作っている小さな生き物たちを
私は喜ばせているだろうか?
 
「菌」を喜ばせることを考えればいい。
人間は「菌」を欺けない、という。
自然栽培の米と天然乳酸菌の出会いに涙。
 
同じ土地の「土」と「水」と「空気」で育ったもの同志の相性。
体験からくる直観で見出した事実、わかる気がする。
科学的論証があろうとなかろうと。たぶんそう。きっとそう。
 
利潤を求めないというのは、企業社会の中ではとても難しい。
大多数の人が信じる宗教のようなもの。
利潤獲得と競争に疲弊しきっているのに拡大志向は止めようがない。
遠心力に身を任せて頬が歪んで痛くても、自分で回らないぶん楽ちんなのだ。
 
その大きな渦から抜け出すことは不可能ではない。
自分の引力で。
 
-----
田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」
渡邉格 著
講談社 2015/04
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062183895
 
(2017.8.18)

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