ぐらのにっき

主に趣味のことを好き勝手に書き綴っています。「指輪物語」とトールキンの著作に関してはネタバレの配慮を一切していません。

シャガール展

2010年10月09日 | 雑記
美術オンチな私が好きな数少ない画家の一人がシャガールなんです。というわけで行きたかったのですがなかなか平日の休みが取れなくて、終了間近に駆け込みで行ってきました。
私は朝10時半ごろ行ったのですが、平日先着100名のポストカードは既に終了。平日ながら結構人入ってましたが、それでも観たい絵をじっくり観る余裕はあって、やっぱり平日に行って良かったなあと。
しかし、観終わって11時半ごろ外に出たら、入り口かなりな行列に・・・平日なのに!? これ土日なんか行ったら大変なことになってるんでしょうね・・・

この展覧会、今までシャガールはフランスの画家たちと一緒のくくりにされてきたけれど、本来は同時代のロシアの画家たちと同列に並べるべきだ、という観点から、初めて同時代のロシアの親交が深かった画家たちの作品と一緒に展示されたんだそうです。
特にラリオーノフ、ゴンチャローワの夫妻の作品は本邦初公開なのだそうな。
なるほど、シャガールの作風と似てるところあるかな、と素人目にも思いましたが・・・
でも、素人としては、正直もっとシャガールの作品をたくさん見たかったな・・・学術的には意義のある展示なんでしょうけど。
カンディンスキーの絵は鮮烈な色が目をひいて、やっぱりメジャーな画家は違うな~、と思ったりしました。

面白いな、と思ったのは、「立体派の風景」という絵。シャガールの絵ってキュビズムの影響を受けてはいるな・・・と思っていましたが、この作品はシャガールの他の作品にくらぺてもっと明らかにキュビズムっぽい作品でした。ほぼ全面に描かれている抽象的な図形の奥に建物があって、それはシャガールが革命後に故郷のヴィテブスクに作った美術学校の建物なんだそうです。
この作品、会場では「シャガールの作品の中で最もキュビズムらしい作品」くらいの解説しかついてなかったんですが、後で図録を読んだら(会場の年表とかにも書いてあったかな)、シャガールはこのヴィテブスクの美術学校で活躍した、前衛的で抽象的な芸術を推し進めたマレーヴィチと対立し、学校を去ることになったのだそうで。
このキュビズムっぽい作品は、そのマレーヴィチと対立する前の時期にキュビズムに近づいて実験的に描かれた作品なのか、マレーヴィチと対立するようになった後にキュビズムを皮肉って描かれた作品なのか、時期的に微妙なところなのだそうです。
シャガールがマレーヴィチと対立したのは、主導権を奪われたからというのもあるのでしょうが、シャガールは常に具象を対象に描いていたけれど、マレーヴィチらが推し進める芸術は対象が完全な抽象だったから、ということでしたが、確かに・・・。シャガールの絵が一見前衛的な手法で描かれているにもかかわらず、素人にも親しみやすいのはその辺なのかなーなんて思ったりしました。

やっぱり原画はいいな・・・と思ったのが2作品。
まずは「家族の顕現」という絵なのですが、キャンバスの前に座るシャガールの背後に、亡くなった両親や弟妹、最初の妻のベラ、そして故郷の人々の姿が現れる、という絵です。
この絵を観ていて、なんかじわーっと来てしまいました。特に青ざめた顔をして目を伏せる父親がなんか・・・
でも、後で図録で観ても、実物を見たときほどは来なかったんですよね。スケールの違いもあるのでしょうが・・・
もう一つ、「イカルスの墜落」という絵なんですが、ギリシア神話の太陽まで飛ぼうとして翼が溶けて墜落したイカルスを描いていて、頂点に達したシャガール自身の慢心を描いているのだとか言われたりしている作品ですが、その落ちていく先が故郷のヴィテブスクの風景らしいんですね。
この絵、前にも何かで観たことがあって、新聞の記事とかでも見ていたのですが、原寸で観ると(かなり大きいです)全然印象が違いました。地上にいるヴィテブスクの人々の姿が迫ってきて、すごく強い郷愁を感じて・・・なんかこれもじわっと来てしまいました。

そしてこの展覧会の目玉は、シャガールがメトロポリタンオペラの「魔笛」のためにデザインした舞台装置と衣装のスケッチ、ですね。
観ていて、背景なんかほとんどシャガールの絵のまんまで、これ舞台セットとして成り立つのか? と思いましたが・・・
実際に使われている舞台の写真を観たら、やっぱり舞台のセットというよりはシャガールのでかい絵が後ろにあるとしか見えなかった・・・(汗)
衣装はなかなかかわいくて、夜の女王は青系、ザラストロは緑と黄色のアース系の衣装で、どちらも描かれているモチーフは同じような感じだったりとかも面白かったし、三人の侍女の衣装なんか、シャガールらしい鶏とかが描かれていて、この服私も欲しいよ! というかわいい感じのワンピースでした。(街中を来て歩けるかどうかは別問題ですが・・・)
そして、怪物とか動物たちのバレエで出てくるたくさんの動物たちが、ほぼ着ぐるみ状態で・・・デザイン画があまりにもかわいくて、こんなのどうやって三次元化するんだろう・・・と思ったら、舞台写真を観たら本当にそのまんまシャガールの動物の絵の着ぐるみが舞台にわらわらいましたよ! 夜の女王がシャガールの動物たちに囲まれてるー! すごいインパクトでした。
衣装も、シャガールの絵がそのまんまプリントされた感じで・・・
残念ながら舞台写真がモノクロのものしかなくて・・・カラーで観てみたかったなあ。(1枚だけカラー写真ありましたが)
展示作品少なめかなーと思ってましたが、この魔笛シリーズだけでも観にきた甲斐はありましたねー。

あ、私がお金を払って観てきたドキュメンタリー映画「シャガール-ロシアとロバとその他のものに」の上映もやってました。座るスペース少ないので土日なんか見るの大変そうだなと思いましたが・・・

というわけで、ちょっと作品数少なく感じないこともなかったですが、やっぱり「魔笛」のデザインなんて初めて観たし、原画ならではの迫力?も感じられたし、楽しかったです。

グッズ売り場では図録の他、展示されてなかった絵のポストカードまで買ってしまった・・・思うつぼ・・・(汗)

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