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オシャレって何だ?!

2007年11月26日 | Weblog
gooの調べによると、「20代男性が身につけていると、おしゃれだと思うブランドランキング」は、次のようだという。
1位:ポール・スミス
2位:クロムハーツ
3位:ビームス
4位:ユナイテッドアローズ
5位:タケオキクチ
6位:SHIPS
7位:バーバリー ブラックレーベル
8位:リーバイス
9位:NIKE
10位:ポロ ラルフローレン
11位:ブルガリ
12位:コムサ・デ・モード
13位:ドルチェ&ガッバーナ
14位:エドウィン
15位:アバクロンビー&フィッチ
16位:トミーヒルフィガー
17位:ズッカ
18位:アニエスベー
19位:カルバン・クライン
20位:ポーター
21位:トゥモローランド
22位:アルマーニ
23位:ディーゼル
24位:グッチ
25位:ジャーナルスタンダード
26位:アディダス
27位:STUSSY
28位:プーマ
29位:ナノ・ユニバース
30位:ナンバーナイン

僕としては、幾つかツッコミどころがある。

まず、「ブランド」という質問なのに、セレクトショップが答えなのは、どうして?という疑問。ビームス、ユナイテッド・アローズ、SHIPS、トゥモローランド、ジャーナル・スタンダード、ナノ・ユニバースがこれに当たり、答えとしては疑問。解答になっていない。

次に、「バーバリー ブラックレーベル」については、ブランドの中のレーベルに限定をかけているのに、他ブランドはこうした限定をしていないところ。例えば、22位のアルマーニにしても、「アルマーニ・コレッツィオーニ」「エンポリオ・アルマーニ」「アルマーニジーンズ」「アルマーニ・エクスチェンジ」と細分化されうるのに、である。
仮にこれとは反対に、「バーバリー ブラックレーベル」という解答に、「バーバリー全般を含むのだ」とするならば、それは妥当ではない。というのも、「バーバリー ブラックレーベル」は、バーバリーというライセンスを使って作られた日本企画の商品であって、バーバリーからしたら一緒に括られるのは、きっと不本意に違いない。
(こうした、日本の企業がライセンスを得て、商品を出した例として、「ジャン・ポール・ゴルチェ」がある。ゴルチェは、日本でフランス本社企画のコレクションラインを中心にビジネスを展開してきた。が、女性を中心に、バッグなどの商品の人気が高まってきた。ところがこのバッグ、日本の企画なのである。そして、ゴルチェの本来のイメージとも乖離しつつあり、値段も比較的リーズナブルであった。当時、ゴルチェは他社(エルメスだったっけ?)のデザイナーも担当していたが、日本でのゴルチェのブランドイメージの低下を危惧して、日本の企業のライセンスを引き上げさせた。現在、公式にゴルチェを扱っている店舗は、日本に2店舗しかなくなった。丸の内と博多。ここではフランスから輸入している正規のラインのみ取り扱っている。)

一先ず、この二点を意識してランキングを見直してみる。
すると、上位にくるのが、ポール・スミス、クロムハーツ、タケオキクチ、バーバリー・ブラックレーベル、リーバイス、NIKE、ポロ ラルフローレン…といった感じになる。
これを見ると、どうやら傾向が大別して4パターンに分類できそうである。

まず、ポール・スミス、タケオキクチ、バーバリーブラックレーベル、ポロ ラルフローレン、コムサ・デ・モード(現在はメンズラインはコムサメンに改称)、グッチ…といった、「スーツ」にウェイトを置いたブランド。

次に、アメリカに起源を持つようなファッションや、スポーツシーンに関係するリーバイス、エドウィン、アバクロンビー&フィッチ 、NIKE、アディダス、STUSSY、プーマといった、ゆるめのカジュアル。

この亜種としてセレブファッションといわれ、人気の出てきた、ドルチェ&ガッバーナ、ディーゼルのようなゴージャスめなカジュアル。

そして、クロムハーツ、ポーター、ブルガリといった、ファッション全般というより、アクセサリーやバッグに特化したブランド。

こうして見ると、やっぱり「日本」!という印象を受ける。
まず、スーツの部分で見ると、ポール・スミス、タケオキクチ、バーバリー・ブラックレーベル…といったブランドが上位に来ている。タケオキクチ、バーバリー・ブラックレーベルは、日本のブランドだから言うまでもないが、ポール・スミスが上位にくるというのは、日本人がイギリス式の『サヴィルロー』に起源を持つようなカチッとしたスーツを良いと思うという古典的な美意識の象徴ではないか?と思わされる。この順位に続く、コムサ・デ・モードも日本のブランドであるが、タケオキクチ、バーバリー・ブラックレーベルと共に、いわゆるカチッとしたイギリス式のスーツが多い。
イギリス「サヴィルロー」式のスーツに相対する、イタリアのスーツブランドである、ドルチェ&ガッバーナ、アルマーニは、日本では、前者に比べて支持が低いようである。イギリス式のスーツと、イタリア式のスーツについては、最近では漫画『王様の仕立て屋 サルト・フィニート(集英社)』あるいは、『ナポリ仕立て「奇跡のスーツ」』に詳しいが、一言で言うならば、カチッとしていて「正装」感のあるイギリス式に対し、肩や腰など、人間の動きやすさ、着心地、見た目にウェイトをおいたのがイタリア式であるとされる。
「アルマーニ」は、長年、「金持ちのケバ目のファッション」という悪名を日本では甘受してきたが、近年「チョイ悪オヤジ」ブームなどで、見直されているような流れにあるように思われる。個人的には、(アルマーニの服は持っていないが、)ケバくなるのも、おしゃれに見えるのも、着方の問題にあるように思われる。


さて。そもそも「オシャレ」とは何だろう。
辞書によれば、
「洒落者」
[1] おしゃれな人。着飾った人。
[2] 風流な人。服装や物言いなどが洗練され、気のきいている人。粋人。
[3] その場に興を添えるような、滑稽なことを言ったりしたりする人。

「おしゃれ」【御洒落】
[1] 髪形・化粧・服装など身なりに気を配る・こと(さま)。また、そのような人をもいう。
[2] 物がしゃれたようすであるさま。

「いき」【粋】
[1] 気性・態度・身なりがあか抜けしていて、自然な色気の感じられる・こと(さま)。粋(すい)。
⇔野暮(やぼ)
[2] 人情・世情に通じているさま。
⇔野暮
[3] 遊里・遊興に精通していること。また、遊里・花柳界のこと。
[4] いろごとに関すること。

「だてもの」【伊達】
[1] 侠気(おとこぎ)を見せること。また、そのために意気込むこと。また、そのさま。
[2] 人目にふれるような派手な行動をすること。また、派手なふるまいなどで外見を飾ること。
[3] 好みが粋であるさま。

個人的に、「洒落」は、「痴れ」にも通じるのではないか、と
「しれもの」【痴れ者】
[1] 常軌を逸したばかもの。あほう。
[2] その道に打ち込んだ巧者。相当な者。大したやつ。したたかもの。

とある。
これらの意味から考えるに、より、多くの人が「おしゃれ」と感じることが、おしゃれなのか、ということには非常に疑問がある、といわざるをえない。

おもうに、「おしゃれ」とは、「洒落」であって、一種の非日常である。民俗学でいう、「ハレ」と「ケ」の概念でいうならば、「ハレ」の一形態であると思われる。であるから、世の中の多くの人間が、「身につけているとおしゃれ」という共通の感覚を有しているとするならば、それは非日常の領域というよりも、日常的な領域に属するもののように思われて、もはや「おしゃれ」なのか?という疑問を禁じえない。

日本の戦国時代に、伊達政宗が「伊達者」といわれ、前田慶次郎が「傾奇者」といわれ、三国志の馬超が、「錦馬超」と呼ばれたのは、彼らの強烈な個性ゆえのアブノーマルさ所以ではなかろうか。

言い換えれば、「服」の存在意義は二つあり、ひとつは、肉体を外部から保護するという機能、もう一つは、着る人の存在を社会的に表象するということであり、問題となるのは後者である。
人が画一化していくなかので(或いは記号化される中で)、個々のイメージを自己補強し、あるいは、自分のイメージを打ち消すべくものとして存在しているといえる。

とすれば、多くの支持を得るファッションは、おしゃれという概念とは矛盾するのではないか、と思われるのである。


個人的に、ポール・スミスは好きですけれどもね。ポール・スミス氏ともお話したことがあるくらいですし。でも最近、ポール・スミスは面白くないような気もする。


ファッションの話題からは逸れるが、昨今、日本では食品業界での「ブランド」のスキャンダルが続いている。雪印、不二家、吉兆、比内鶏…枚挙にいとまがないが、ブランドは、そのブランドイメージを維持するだけの、技術、手間、安全性、クオリティ、これらを維持してきているからこそ、の価値があるはずのものである。一度、何かをすれば、それまで保ってきたものは失墜しても仕方がない。
良い物は、良いし、何事も物の良し悪しは分かる敏感さは持っていたい。

将来は、大勢のなかで、一際違う仕事の出来る法曹を目指したいものである。

参考文献
上記のほかに、『岩波講座現代社会学21巻 デザイン・モード・ファッション』

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