ぐうたらマーチ

大学二年生るるこのブログ 日々のこととか本のこととか

理性の限界――不可能性・不確定性・不完全性 (講談社現代新書)/高橋 昌一郎

2012-03-23 | どくしょ



ずっと前に買ってから積読になってた本を発掘してきました
いざ読み始めたら面白くて一気にさくさく読めてしまった

三章構成になっていて、それぞれ社会科学・自然科学・形式科学における理性の限界について説いています
メインテーマとして持ち上げられるのはアロウの不可能性定理、ハイゼンベルクの不確定性定理、そしてゲーデルの不完全性定理。
こうやって文字にして書くと仰々しくて威圧されてしまいますが(わたしはされた^^;)、実際は思ったより読みやすいです

本書はさまざまな職業の人がシンポジウムの参加者としてディベートを展開してゆく形式で書かれています。
背景知識の皆無なわたしなんかは読んでいく上でしばしば「これってつまり何?」「こういうことなのかな?」みたいな些細な疑問が湧いてきてしまうのですが、
一般的な本だとそのような小さな疑問に触れられていることはあまりなく、結局わけがわからなくなって放り出してしまうことも多々…。
ところが本書は、さまざまな職業の登場人物が、まさにわたしが思った疑問をそのままピンポイントにディベートにおいての質問として発言してくれるのです
つまりなんというか痒いところに手が届くような一冊。内容自体はそれほど難解ではないので、初学者にはうってつけな本だと思いました。

第一章社会科学は多数決の限界(完全に公平でない)に始まり、ゲーム理論やしっぺ返し戦略についてが述べられています
ここは背景知識をそれなりに持っている分野だったので、おさらい感覚でふむふむなるほどと軽く
第二章の自然科学は完全な門外漢… ですが、シュレディンガーの猫や量子論、二重スリット実験といった言葉だけなんとなーく聞いたことあるようなものについて解説されています
自然科学の発展史的な側面もあり、そもそも科学の発展とは何なのか、科学とは何なのかにも触れられていて内容もりだくさん
第三章は形式科学、つまり数学や論理学といった、いかにも理論ですべてを証明しつくせそうな分野に関して
論理学の説明では少しややこしい部分もあって混乱しましたが数度咀嚼してなんとか理解(したつもりに) やはりこちらも見事に世界観をひっくり返されました

本書を読んだうえでいちばんの収穫はやはり理性は完全ではないという事実を知ったこと
それから一般教養としての知識が広がったこと かなと
読んでゆく上でカント主義者やロマン主義者が(お笑い要素として?)突拍子もない横やりを入れてくる場面が何度かあるのですが、
難しい議論の中での息抜きとして楽しめるのと、他の視点からの意見に触れられるのとで一石二鳥のうまいやり方だなと思ったり さすが高橋先生です


積読まだ何冊かあるのでがんばって春休みのうちに消化していきたい

コメント (0) |  トラックバック (0) | 

無意識の構造 (中公新書 (481))/河合 隼雄

2012-03-22 | どくしょ



ユング派心理学の入門書的位置づけです。
自我と自己、グレートマザー、アニマ・アニムス・ペルソナ、元型などなど
1年生の時の冬学期に履修した教育臨床心理学の延長のような内容になっていて、とても興味深く読めました。
上記の専門用語は、実際の夢分析にもとづいた具体的な例から入る解説になっているので、心理学的背景知識の無い人でもわかりやすく読めます。
説明してゆく上で、ユングの思想と比較する上でのフロイトの思想にも少し触れられます

印象的だったのはユングに影響を与えた禅の思想、そして東洋と西洋の無意識の捉え方の違い、マンダラ
自己から自我を分離したうえで、再び両者の合一を試みる西洋と、当初から自我を明確に分離せず一つの自己として悠然ととらえる東洋の思想
西洋人がよく、「日本人には主体性がない、はっきりとした自分の意見や責任感を持たない」と評するのはこの思想の違いが一因になっているのかもしれません。

グレートマザーに関する記述も読んでいて面白かったです。
もともと神話や宗教に関する説話などが好きだったので、全人類に共通の無意識下に潜むイメージが民族や文化の壁を越えて民話や説話に登場しているという事実がとても興味深い
破壊しつくす混沌の一面と、慈しみ育む一面と 
無意識に近づく手がかりとしての夢分析というほどではありませんが、本書を読んでからわたしも昨晩見た夢についてこれはこういうイメージを表していたのかなと簡単に考えてみるようになりました
普段意識している自我だけでなく、意識されない「無意識」の部分も含んだ自己を把握することは困難ですが、それを試みるのは十分に意義があることだと思います

ヘルマン・ヘッセの小説『荒野の狼』を夢の世界や狂人の領域との接触、アニマといったキーワードを手掛かりに分析・解説していた点も印象深かった
文学的考察とは一味違う、心理学的考察が非常に新鮮(そしてわたしはこちらの方が好み)


入門書として申し分ない内容だっただけに、ユング派心理学についてさらに興味がわいてしまいました。
これを入り口にしてさらに深い内容にも踏み入っていきたいなと思っています。心理学楽しい!

コメント (0) |  トラックバック (0) | 

中国ビジネスと商社(東洋経済新報社)/関 志雄

2012-03-20 | どくしょ
そういえば最近読書感想文を書いてなかったので、ひさびさに書いてみます。





中国ビジネスと商社、お父さんの本棚から拝借した1冊。2003年刊行なのでおよそ10年前の本になります。
第一章では新中国成立から今日(2000年代初頭)までの中国と日本商社のビジネス史外観、第二章以降は個々のビジネス具体例を用いた分析と日中ビジネスの今後の展望など

これまで新中国成立から現在までの中国政治史みたいなものはいくつか読んだことがあったのですが、
今回は特に日本の商社を主役に据えて、商社と中国とのビジネスという視点からの現代史だったので新鮮
無味乾燥な事実の羅列でなく、実際に中国現地に赴任して東奔西走する駐在員の日常も交えて語られていたので、それほど固くなくするりと読めた感じ。

個々のビジネス具体例は、商社のビジネスというものの概形を見せてくれました。お恥ずかしいことに商社商社と言っても今までどういう仕事をしているのかほとんどわかっていなかったもので…。
単なる品物の仲介業に限らず、エネルギー事業、市場開発、情報集積などなど他にもいっぱい(覚えてない
内容で印象に残ったのは、中国脅威論に関する分析。
矛盾点を正確に突き中国脅威論の不当性を説いていて非常に納得。
ただこの手の脅威論は理性でなく感情が先行している場合が多いので、事実として存在している脅威論への望ましい対処法も書かれていて、ほほうこの筆者さんデキるって感心

それからもう一つ、自分として気になった点は後半で少し指摘されていた日本商社の問題点。
例えば中国に進出した外資系企業って、現地登用した従業員でも能力があれば欧米にある本社での勤務もありえない話じゃないんですって
けれど日本企業に勤める現地従業員の出世は良くて部長どまり。だから有能な人材はみんな日系から外資系企業へ流れてしまうんですって
これって何年か前に従姉が就活してたときに同じこと言ってたなーって
北京外国語大学日本語学科?だったから当初は日系企業への就職を望んでたんですけど、結局1年しないうちに外資系に転職しちゃってました
本に書かれてる内容と実体験とが結びつくとちょっとオッ!って思いますよね^3^

久々に分厚いハードカバー読んだけど…理解力が足りてなかったせいか、満足に読めてなかった気がします…。悲しい。
もっといっぱい本読んで、分野全体に関する背景知識が身に付けばもう少しわかるようになるのかな。
なると信じて気長にがんばります。

しばらくはお父さんの本棚から本を拝借して読もうシリーズが続く予感




コメント (0) |  トラックバック (0) | 

中国は、いま (岩波新書)

2012-01-22 | どくしょ
『膨張中国』、『不平等国家中国』につづいて3冊目の中国本です
最近ちゃんと中国のことを知りたいなと思って中国の本を読むようにしています
でも駒場図書館なかなか新しい中国に関する本がなくて、(わたしの探し方が悪いのかもだけど)
たまたま見つけた2011年発行の新書ということで即手に取りました!

中身は各分野の専門家によるオムニバス形式の評論、なはず(たぶん…?)
経済や民族、軍事、外交などなどいろいろな観点から見た中国のいまが分析されています
少し硬くて読みづらかったけど、ゆっくり丁寧に読んでいくことでかなりためになったように思います

いろいろな観点から書かれていることで視野を広げるのに役立ちました
レアアースのこととかなんとなくしか知らなかったし、
民族問題に関する分析もメディアが煽るぼんやりとした内容じゃなくて正確な知識がついたし

中国分析の本ってものによっては結構筆者の感情入りまくりで恐怖論とかに終わっちゃってるものもあるんですけど、
この本に関してはそういう煽り的なものは少なかったと思います
いろんな筆者さんのを続けて読んでくから、人によってこの人は中国寄りだなとかこの人は嫌中気味だな、とかなんとなく感じるけど
全体的には荒唐無稽な中国叩きとかそういうのはなかったので
なんて言うんだろう、こう、読んでてムッとするけどもよくよく考えるとフムフム確かにってうなずいちゃう感じで

なんかこういうふんわりとした感想しか書けないの恥ずかしい;;
もっといっぱい本読んで知識つけて頭よさそうなこと書けるようにがんばります…
コメント (2) |  トラックバック (0) | 

不平等国家 中国―自己否定した社会主義のゆくえ (中公新書)/園田 茂人

2011-12-05 | どくしょ
久々の読書感想文になります

これを読む少し前に、同じ中公新書の『膨張中国』という読売新聞記者談のルポみたいなのも読んだのですが、
両方とも解放後の近現代中国に関する本だし感想文まとめちゃえーってことで一つの記事になりました。
が。
大筋は似てるものの、先の『膨張中国』が生々しいルポタージュであったのに対し、
今回のこの本はアンケートなどの調査を基にしたデータ分析解説的側面が強かったので読んでいく上で若干退屈しました^^;
まあその辺は個人の好みの問題ということで。

内容でいちばん気になったのが第四章のジェンダー論。
中国男女の家庭観は日本とは大きく異なります。主婦という概念がなく、女性も外で働くのが当たり前。
小さい時から親戚中見てそれが当然だったので、なんの不思議もなかったけど、日本で普通に育った人からするとびっくりしちゃうんじゃないかな。
実はこれって社会主義体制下で男女関係なく労働してたときの名残だったんですね。ほえー言われてみれば確かに〜ってなった。
家庭の在り方は個々人の価値観の問題だから正しいあり方なんて一概には言えないけど、わたしはやっぱり夫婦共働きが理想だな

それから都市と農村の格差と、農村からの出稼ぎ労働者のこと
みなさんご存じの通り、中国って人件費がとても安いんです わたしも中国行くたんびにマッサージとか行きます笑
なんで安いかって、こういう出稼ぎ労働者さんたちのおかげなんですよね そのおかげで都市住民はリッチな生活を満喫できる
この人たちって都市住民より圧倒的に長い時間働いているにもかかわらず低い賃金しかもらえていなくて、
故郷に大半を仕送りして、毎月切り詰めた生活を送っているはずなのに、それでも今の自分の暮らしに満足してるって人が多いんです
つまり農村にいたときはさらに困窮していたってことですよね
今まで当然のものとして気にすることもなかったけど、こうやって改めて考えてみると貧富の差の大きさにびっくりする

最後の章でおおって思ったのが「過去へと進化する社会主義」って言葉
過去というのは科挙を指しています
日本では学歴は「格差」だと捉えられているようだけど、中国では学歴は個人の「努力の成果」だと認識されています
この本ではそれが過剰な学歴競争社会を生み出していると批判していたけど、個人的には中国の認識の方が好感が持てる だって実際、努力の証だと思うもの
話はそれたけど、現代中国ではかえって以前の科挙制度下でのような、少数のエリートが大衆を支配する時代にさしかかりつつあるのだそうな
そして民衆もそれを当然のものと受け止め、むしろエリートに期待している そんな感じ。うろ覚え。

以上気になったとこ覚え書きでした
中国関連の本は興味が持てるからまたちょいちょい読みたい
コメント (0) |  トラックバック (0) |