
ユング派心理学の入門書的位置づけです。
自我と自己、グレートマザー、アニマ・アニムス・ペルソナ、元型などなど
1年生の時の冬学期に履修した教育臨床心理学の延長のような内容になっていて、とても興味深く読めました。
上記の専門用語は、実際の夢分析にもとづいた具体的な例から入る解説になっているので、心理学的背景知識の無い人でもわかりやすく読めます。
説明してゆく上で、ユングの思想と比較する上でのフロイトの思想にも少し触れられます
印象的だったのはユングに影響を与えた禅の思想、そして東洋と西洋の無意識の捉え方の違い、マンダラ
自己から自我を分離したうえで、再び両者の合一を試みる西洋と、当初から自我を明確に分離せず一つの自己として悠然ととらえる東洋の思想
西洋人がよく、「日本人には主体性がない、はっきりとした自分の意見や責任感を持たない」と評するのはこの思想の違いが一因になっているのかもしれません。
グレートマザーに関する記述も読んでいて面白かったです。
もともと神話や宗教に関する説話などが好きだったので、全人類に共通の無意識下に潜むイメージが民族や文化の壁を越えて民話や説話に登場しているという事実がとても興味深い
破壊しつくす混沌の一面と、慈しみ育む一面と
無意識に近づく手がかりとしての夢分析というほどではありませんが、本書を読んでからわたしも昨晩見た夢についてこれはこういうイメージを表していたのかなと簡単に考えてみるようになりました
普段意識している自我だけでなく、意識されない「無意識」の部分も含んだ自己を把握することは困難ですが、それを試みるのは十分に意義があることだと思います
ヘルマン・ヘッセの小説『荒野の狼』を夢の世界や狂人の領域との接触、アニマといったキーワードを手掛かりに分析・解説していた点も印象深かった
文学的考察とは一味違う、心理学的考察が非常に新鮮(そしてわたしはこちらの方が好み)
入門書として申し分ない内容だっただけに、ユング派心理学についてさらに興味がわいてしまいました。
これを入り口にしてさらに深い内容にも踏み入っていきたいなと思っています。心理学楽しい!
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