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Marvell, "The Resolved Soul and Created Pleasure"

アンドリュー・マーヴェル
「対話:揺るがない魂とこの世の快楽」

戦え、わが魂。永遠なるおまえの
重い盾を今こそ使え。
輝く兜をしっかりかぶれ。
戦いに必要な剣をとれ。
見ろ、敵がくる。強く、美しい。
絹の軍旗が風になびいている。
さあ、もしおまえが本当に神の国から来たものなら、
今日の戦いで輝かしく勝利しろ。
そして証明しろ。揺るがない心は
〈自然〉、人の〈本質〉にも負けない、と。

〈快楽〉
ようこそ、神がつくったもののなかのお客さま、
土からできたからだを支配し、天を受けつぐお方。
そのような恐ろしい兜はお脱ぎください。
この世の宴をお楽しみください。
果実や花々の魂が
あなたにおもてなしいたします。

〈魂〉
わたしの糧は天にある。こんな罠で
引き留めないでくれ。

〈快楽〉
ふわふわの枕でお休みください。
羽毛が天に運んでくれます。
薔薇のベッドでお休みください。
お怪我しないよう棘はみなとってあります。

〈魂〉
思考がわたしのベッドだ。すべきことを
ちゃんとしていれば、ずっと安らかに休める。

〈快楽〉
香水はいかがですか。
神々もお好みでしたよ。
いい香りの雲に包まれて、
神のような気分になりませんか。

〈魂〉
愚かに上をめざさないからこそ
天や魂はいい香りを放つ。

〈快楽〉
すべてのものが競いあっています、
いちばんにあなたに見られたい、といって。
でも、あなたの目に値するものはありませんから、
まず、この水晶に映るご自身のお顔をごらんください。

〈魂〉
すぐれているのは創造主たる神の力だけ。
あとのものはみな土にすぎない。

〈快楽〉
お聴きください。あなたのために
きれいな音楽が流れています。
風もやんで静かになり、
滝の音も聞こえません。

〈魂〉
時間があれば
聴いていたいところだ。
だが、誘惑はもうやめろ。美しい音楽にも
囚われない精神を鎖で縛ることはできない。

〈合唱〉
この世でいちばん美しいもの、
それは享楽の攻撃を
退ける魂の姿。
神もそれをお喜び。
だからくじけないで、さらなる攻撃がやってきます。
勝利して天の王冠を手に入れましょう。

〈快楽〉
きれいで、柔らかくて、気持ちいい、
そんな幸せなものを
ひとりの美しい人がもっています。
その人をあなたのものにしてあげましょう。

〈魂〉
目に見えるこの世のものが天の幸せをくれるなら、
本当の天はさらにどれほど幸せなことか。

〈快楽〉
どこに行ってもあなたの足下には
金貨が落ちているでしょう。
この世のものをすべて買って手に入れたら、
新世界まで買いたくなりますよ。

〈魂〉
金(きん)に価値があると誰が決めたのか。
買えるものなどなんの価値もない。

〈快楽〉
この世の栄光はいかがですか。戦争に勝てば、
それか平和に国を治めれば、手に入ります。
世界の半分はあなたの奴隷です。
残りの半分は友だちです。

〈魂〉
魂を売る者などわたしの友にはなりえない!
奴隷などいらない。まずおまえを奴隷にしなくては!

〈快楽〉
隠れた因果関係を教えてあげましょう。
未来のこともです。
地面の深さを知ってから
天にお昇りください。

〈魂〉
天に昇るのに知識はいらない。
必要なのは心からの謙遜だ。

〈合唱〉
勝った、勝ちました、あなた、〈魂〉の勝利です。
もうこの世に楽しみはありません。
安らぎは天にあります。
永遠の恵みはあなたのものです。

*****
Andrew Marvell
"A Dialogue, between the Resolved Soul and Created Pleasure"

Courage, my Soul, now learn to wield
The weight of thine immortal shield.
Close on thy head thy helmet bright.
Balance thy sword against the fight.
See where an army, strong as fair,
With silken banners spreads the air.
Now, if thou be’st that thing divine,
In this day’s combat let it shine:
And show that Nature wants an art
To conquer one resolvèd heart.

PLEASURE
Welcome the creation’s guest,
Lord of earth, and heaven’s heir.
Lay aside that warlike crest,
And of Nature’s banquet share:
Where the souls of fruits and flowers
Stand prepared to heighten yours.

SOUL
I sup above, and cannot stay
To bait so long upon the way.

PLEASURE
On these downy pillows lie,
Whose soft plumes will thither fly:
On these roses strewed so plain
Lest one leaf thy side should strain.

SOUL
My gentler rest is on a thought,
Conscious of doing what I ought.

PLEASURE
If thou be’st with perfumes pleased,
Such as oft the gods appeased,
Thou in fragrant clouds shalt show
Like another god below.

SOUL
A soul that knows not to presume
Is heaven’s and its own perfume.

PLEASURE
Everything does seem to vie
Which should first attract thine eye:
But since none deserves that grace,
In this crystal view thy face.

SOUL
When the Creator’s skill is prized,
The rest is all but earth disguised.

PLEASURE
Hark how music then prepares
For thy stay these charming airs;
Which the posting winds recall,
And suspend the river’s fall.

SOUL
Had I but any time to lose,
On this I would it all dispose.
Cease, tempter. None can chain a mind
Whom this sweet chordage cannot bind.

CHORUS
Earth cannot show so brave a sight
As when a single soul does fence
The batteries of alluring sense,
And heaven views it with delight.
Then persevere: for still new charges sound:
And if thou overcom’st, thou shalt be crowned.

PLEASURE
All this fair, and soft, and sweet,
Which scatteringly doth shine,
Shall within one beauty meet,
And she be only thine.

SOUL
If things of sight such heavens be,
What heavens are those we cannot see?

PLEASURE
Wheresoe’er thy foot shall go
The minted gold shall lie,
Till thou purchase all below,
And want new worlds to buy.

SOUL
Were’t not a price, who’d value gold?
And that’s worth naught that can be sold.

PLEASURE
Wilt thou all the glory have
That war or peace commend?
Half the world shall be thy slave
The other half thy friend.

SOUL
What friends, if to my self untrue!
What slaves, unless I captive you!

PLEASURE
Thou shalt know each hidden cause;
And see the future time:
Try what depth the centre draws;
And then to heaven climb.

SOUL
None thither mounts by the degree
Of knowledge, but humility.

CHORUS
Triumph, triumph, victorious Soul;
The world has not one pleasure more:
The rest does lie beyond the Pole,
And is thine everlasting store.

https://www.poetryfoundation.org/poems-and-poets/poems/detail/48325

*****
キーワード:
キリスト教 Christianity

Cf. Milton, Paradise Lost, Paradise Regained

*****
"Coy Mistress" のようなカルペ・ディエム詩と
"contemptus mundi"--現世軽視・蔑視、この世は
無価値・無意味--の主題を扱うこのような詩の
両者が書けるところがマーヴェルのバランス感覚。
("Coy Mistress" にも少なからず宗教性が織り
こまれている。)

その他、この詩の特徴は次のような点。

1
彼の他の詩にあるような悪趣味な表現が一切ないこと。
(宗教詩だから。)

2
逆に宗教的に教科書的である意味淡白で、熱い想いが
特に感じられないこと。
(いわゆるピューリタン的な熱狂的信仰とは異なる雰囲気。)

*****
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