Feelin' Groovy 11

I have MY books.

蟬かえるよりホタル計画

2020-07-27 | 
このご時世、旅行にも行けず腐りかけていたが
読書時間だけは増え、結果新しい作家さんが開拓できた

『蟬かえる』 櫻田智也著 東京創元社

表題作含め5編が収録されているが、中でもお薦めなのが『ホタル計画』

東京へ戻る斎藤をバッタくんが見送る場面の表現が特にいい

叙事的というか叙情的というのか

きっと読者全員が著者が伝えたい映像を思い浮かべられたし、
「改札の手前で、両足を踏ん張るようにひろげて立っている少年」に
心を震わせたのではないかと思う

私はこの場面でぶわっときた

クジラアタマの王様、の感想

2020-05-14 | 
『クジラアタマの王様』とはハシビロコウさんのこと。
*注)ネタバレあり


*いつかの上野動物園*

私の大好きなハシビロコウさんが若干悪者として登場するのは悲しいが、 それは置いといて。
この本は 新型インフルエンザによるパンデミックを扱い、
今まさにリアルさをもって読むことができる。

まず大まかな流れは以下の精神!?で進められる。

「短期的には非難されても、大局的には、大勢の人を救うことができればそれでいい」

そして
「たとえば、大勢を救うためには一部の人たちに我慢をしてもらわなくてはいけないこととかありますよね」
「そういった場合に決断するのが政治家だと思うんですよ。
 自分が憎まれても、恨まれても、大勢の人間、国の未来のために決断するのが」

「政治家が自分の利益に貪欲になることは別に気になりません。
 恐ろしいのは、国の利益よりも、自分の利益を優先させようとした時です。」

ってとこで、うん、うん、そう、そう!!となるわけです。

ストーリーとしてはそのような感じ(どんな感じ!?詳細は読むべし)


それでは本題の【ハシビロコウ】さんの位置づけについて。
「それまでは案内人であったはずのハシビロコウが、急に、自分たちの敵となった」
というところで、『1Q84』のリトルピープルを想起した。

とにかく毎日の習慣で勝手に友好的だと思って指示に従っていたが、
途中で敵対するものに変化した。
しかしその時期を過ぎればまた敵でも味方でもないかもしれない存在。

そういうものが存在することを意識し、
自分に都合のいい解釈で考えなしにその存在に流されない。
自分自身でしっかり考えて行動するのが大切(あるいは行動しないのも選択肢のひとつ)
と、伊坂さんの他の作品でも言っているテーマが伝わってくる作品だった。

最後に、
この本は一部コミックパートで表現されている。
あとがきに「人物の動きを文章化することはできますが、スピードや躍動感という意味では、
映画やコミックの方が効果的に表現できる」とあったが、残念ながら躍動感などは感じなかった。
私はすべて文章がよかった。
一旦絵を示されるとそれ以上の想像はできないから。
ただ絵が悪いというわけではなく、夢を表現したよい絵だった。

本文の「」は『クジラアタマの王様』(伊坂幸太郎著/NHK出版)より引用


誰もが無言で、めいめいで勝手に知るんだ。

2019-04-24 | 
  人生を道にたとえる言葉は多いが、比喩ではない実際の道の歩き心地についての言葉を、
  人生で誰も与えてくれなかった。誰もが無言で、めいめいで勝手に知るんだ。
  (『私に付け足されるもの』長嶋有著 文芸書)


言われたらそうだな、と思った。
そしてそういうものって結構あるな、と。

長嶋有さんの本はいつも、
考えてはいても毎日の生活でたちまち流されていく内容を
言葉に書き起こして気づかされることが多い。

なんか普通の生活をもっと丁寧にじっくり生きたいなと思う。
そしてそんな素敵なことを思ったのにスグ忘れてしまうのもまた、日常。。


他、長嶋有本の記事↓

いいなあとか、そういうんじゃなくて・・・
パラレル、じゃない。
そろそろなんじゃないか
エロマンガ島だって?

King Gnu - 白日

2019-04-08 | 音楽
自分の方に問題があるのだろうか、
最近あまりピンとこない音楽が多いなか
上位に入っていたので何気に聞いたKing Gnuの『白日』

久しぶりに何回か聞いてみようと思える曲だった。

私はBUMPのように映像が浮かぶ歌詞が好きだが、
この曲は音からそれを感じた。

「戻れないよ、昔のようには煌めいて見えたとしても」の
「も」(0'33-0'34)」の丁寧なピアノ音とドラム音が切れた瞬間。
その間に「煌めいて見える昔」を。

歌詞はストレート過ぎて私は好まないが、
「真っ新に生まれ変わって人生一から始めようか」ではなく、
「真っ新に生まれ変わって人生一から始めよう【が】」は嘘がなくて安心した。

King Gnu - 白日



アマンギリ~トレイル

2013-12-08 | 旅行
アマンギリではいくつかのハイキングが用意されていて、
パンフレットでは自由に歩くことができるトレイルや
ガイド付きのトレイルなどの地図や所要時間、難易度が確認できます。


(↑トレイルのパンプレット)

私たちが参加したのはcave trail。



ホテルを出て少し歩くと看板があり(画像左上)、
少し登っていくと小高い丘に出ます。
振り返るとホテルが遠くに(画像右上)。
やっぱり建物は違和感なく景色に溶け込んでますねー。

歩き心地が鳥取砂丘のようだと思っていたら、
風紋が普通に見られました。(画像右下)
そうだった。
ここは砂漠地帯。
まあそんな感じで(どんな感じで!?)若干足をとられながら
洞穴へと進みます。(画像左下)

途中はサボテンちゃんやら
名前の分からないお花ちゃんが自生していて飽きません。


こういうところを歩いていると、
本当にうきうきわくわくしてきちゃいます。

さて到着。


結構急な登りで洞穴へと入っていきます(画像左下)。
登りつき、外を見ると高い位置なので爽快な眺め(画像右)。
中には3000年前のとうもろこしの食べカスや壁画などもありました。

外にも壁に絵や字が彫られていて(画像左上)、
坑道跡もあります(画像右、左下)。


ここはジョン・トラボルタなどが主演の映画、
『ブロークンアロー』のセットとして使われたそうですよ。

てことで、この洞窟は『BROKEN ARROW CAVE』という名前なのですが…
「ブロークンアロー」って「核兵器紛失」を意味する暗号なんだよね。
正直ん~~な名前ではありますが、
云千年前の…とか、あちらでは恐竜が…などの説明を聞いていると
悠久さを感ぜずにはいられない場所でした。

以上、長々としたアマンギリ記事を終わります。

普段忘れていることだけれど、ここにいると、
人は自然から少し場所を借りて生活しているんだと思い出しました。
また行く前は、高級ホテルにありがちな、
「私たちは高いサービスを提供しています」的な圧迫感を感じるのでは?
(それを感じるとこちらも緊張してくる)と予想していましたが、
まったくそのようなことはなく心地よい滞在となりました。
スタッフのホスピタリティのおかげ。
グランドキャニオン方面に行かれる方には絶対おすすめのお宿です