舞鶴市や豊田市の女子高生殺害など相次ぐ殺人事件等で、社会不安が増大しているところへ、ガソリンの値上げ、そしてそれに伴う物価高など、国民の暮らしは多方面から脅かされている。
何れの女子高生殺害事件も現時点で新たな動きはない。今や女子生徒や児童は防犯ベルやGPS携帯など防犯グッズが手放せない状態だという。それが防犯業界の活況につながり、日本経済を支えるのに一役買っているとしたら、何とも皮肉な話ではないだろうか。しかも大事な娘を1人で登下校させられないとばかりに、毎日親が車で送迎するケースも増えるだろう。ガソリンの値段が幾ら高くても、娘の命の値段には変えられないというのが親心だから、それも消費拡大につながるというのか。
ところで、統計上は凶悪犯罪は戦後から下降線を辿っていると言う。だから犯罪が増えたように見えるのはマスコミなどの報道の影響のためであって、実際は治安は悪くなってないという意見がある。しかしこれは嘘だと私は思う。たとえ数字的に減ったとしても、事件の種類が違う。過去の事件は強盗殺人や誘拐といった金目的の犯罪が多く、国家全体の経済事情が悪かったことを物語っている。
これに対し、昨今の事件は女子高生など少女が狙われる事件が目立つ。殺人には至らなくとも、背後から切り付けられたり、或いは痴漢などの性的な事件も後を絶たない。少女が狙われる事例は近年明らかに増加傾向にあると言って差し支えないだろう。
これら少女被害の増加傾向は、男女共同参画社会が積極的に進められるのに伴って比例的に増加していると言える。実際この男女共同参画社会基本法が成立したのが平成11年(1999年)、しかし実質的に動き出したのはその2年後の平成13年あたりからだ。この当時は小泉内閣が誕生した頃で、就任直後の大相撲夏場所の千秋楽では、脚を痛めながらも優勝決定戦で見事優勝を決めた横綱貴乃花の表彰式で「痛みに耐えて、良く頑張った、感動した、おめでとう」と見事な雄弁を披露したのを記憶している人は多いだろう。
あの頃は、低迷する景気と失業率の増加など、国民の経済的な暮らしの不安を立て直すために小泉内閣に託した人も多かったはずだ。当時の最高内閣支持率は確か80%を超えたのではなかったか。彼は構造改革とそれに伴う国民の痛みを同時に訴えて未来の日本を創造する構想だった。
同時に、男女共同参画関連も積極的に進められた。管理職や専門職、国会議員など高地位の女性比率を向上させるべくアファーマティブアクションが本格化したのもこの時期だ。特に公務員試験の面接試験での女性合格率が非常に高いことが後に指摘されるが、今でもその傾向は変わらないようだ。
更に、京王線で初の女性専用車両が導入されたのもこの頃だ(*1)。当時の扇千景国土交通大臣が専用車両に試乗するシーンが報道され話題となったが、まだこの頃は女性専用車両の謀略に気付いていた人はほとんどいなかっただろう。
当時の記憶が走馬灯のように甦ってくるようだが、ではその頃に、女子高生が殺害されたり、或いは江東区のOL殺害のような事件が多発していたという印象はあっただろうか。少なくともそんな印象はなかったはずだ。それがいつの間にか、事件が起きて当たり前のような怖い時代になってしまっている。
このように、日々の変化では植物の伸び方と同じでなかなか判りにくいが、過去の5年前や10年前など比較的記憶に新しい過去と現在を比較することによって違いがわかることもある。こうしてみると、現代は改めて物騒な時代になったということになる。
では女性被害と男女共同参画との因果関係は果たしてあるのか。私は声を大にしてあると主張したい。むしろ男女共同参画が原因の全てと言っても過言ではないと思う。
その理屈はこうだ。男女共同参画の政策は全てフェミニズムに基づく女性優遇政策だ。女性の積極雇用、セクハラ、パワハラ、昇格昇給など労働環境の優先的措置、DV政策や年金分割などによる離婚推進など家庭崩壊の助長、性の自己決定権など女性の性的価値の過剰保護、それに伴う女性専用車両の導入拡大、性犯罪の厳罰化推進、そして学校教育におけるフェミニズム教育の影響など、徹底した女性優遇があらゆる分野で行なわれている。
更に、民間企業でもこうした傾向を女性客の獲得を狙うためと称して数々の女性優遇を行い始めた。レディース割引などはその代表格、他にも男女各々のトイレが設置されていたものをわざわざ改装して、女子トイレのみとして男子トイレを廃止したりなど、社会の至る所で女性優遇化が起きている。
しかも、これらはそのほとんどが男性に対しては不利益となる形で行なわれているところに着目したい。女性専用車両にしても車両の編成を増やしたり増発した路線は聞いたことがない。女性の積極雇用にしてもその分男性をリストラしているケースがほとんどだろう。更に性の自己決定権に関しては、性的接触は全て女性に優先権があるとするものだ。これは夫婦間だろうが恋人間だろうが女性にその気がなければ断固として性を拒否せよという意識を女性に植え付けている。
つまり、ただ女性優遇をするだけでなく、意識的に男性に不都合を感じさせる形で行っているのだ。そこには、男性に対する不満意識をわざと煽ろうという策略が見え隠れする。
そしてこうした男性の不満は、女性に対する敵対心となって表れる。その結果が今起きている女性が狙われる事件の多発につながっているということではないだろうか。他にも離婚の増加や、男女交際を阻害して交際が困難になったりなど、男女の溝はますます深まるばかりである。
しかし、こうした悪循環がありながら、報道では全く触れようとしない。勿論当局やフェミ女性団体からの圧力もあるのだろうが、マスコミも反日的なところは一部便乗している感がある。
また、ネット世論もフェミニズムに染まりつつある。最近特に醜いのはヤフーニュースのコメント欄で、性的な要素を少しでも含む事件では必ず性犯罪の厳罰化の話が出てくるし、中には古代に行なわれていた虐待刑や、痴漢など比較的軽微なものでも死刑が当然だなどという極論が横行し始めている。
マスコミもネット世論も、事件などでは犯人の凶悪性などを前面に出し、厳罰化を世間に煽るような戦略になっている。これはフェミニズムがもたらす悪循環が国民に気付かれないようにするため、世論の非難の目を犯人の方に向かせてそれ以外のことは考えさせないようにしているのだと思う。最近では世論が厳罰化になってきているなどとよく言われるが、これも印象操作に過ぎず、実際の狙いは国民の思考停止による世論の単純化なのだ。
実に悪知恵だけは天下一品のフェミニズムということだろうか。
(*1)
昭和40年代後半に、婦人専用車というものが一時期存在していたが、女性団体などの反対で廃止され、また設置趣旨も現在の女性専用車両とは意味が違うので、本論考では別物として扱った。
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