皆既日食が間近に近付いて来た。但し皆既日食の見える地域は九州、沖縄、更には小笠原の一部の離島に限られる。しかし本土でも部分日食が観測され、太陽が隠れる比率(食分)も多くの地域で8割前後と、部分日食とはいえかなり見応えのあるものとなりそうだ。
ところで、日食に関するサイトを検索すると(*1)、日食の仕組みを解説した図が幾つか存在する。しかし、これらは判り易く模式的に書いたもので、縮尺などは現実と全く違う。そこで、ここではより現実に近い形の図を用いて説明したい。
(*1)
・皆既日食の情報(国立天文台)
http://www.nao.ac.jp/phenomena/20090722/index.html
・太陽、地球、月
http://www.max.hi-ho.ne.jp/lylle/wakusei2.html
まず、太陽、地球、月の各々の天体の直径を比較してみる。
<各天体の直径と比率>
(直径、万km) (月基準比率) (地球基準比率)
太陽| 140 | 400 | 109 |
地球| 1.3 | 3.7 | 1 |
月 | 0.35 | 1 | 0.27 |
つまり、月の直径が1cmならば地球は3.7cm、太陽は4mとなる。暗記する場合は地球基準の比率で覚えた方が良いだろう。太陽は地球の約100倍、月は地球の約1/4である。
従って、これらの数字を基に各天体の図を描くと以下の図1の様になる。
図1.各天体の大きさ比較(クリックで拡大)
次は、各天体間の距離だ。
<各天体間の距離>
(距離、万km)(月基準比率)
太陽と地球の間:15000 | 395 |
地球と月の間 : 38 | 1 |
同様に、これらの数字を基に各天体の位置関係を描くと以下の図2の様になる。
図2.各天体の位置関係(クリックで拡大)
しかし、これだけではまだ不十分だ。何故なら図1と図2とは縮尺が違うからだ。そこで、太陽の直径と太陽地球間の距離を比較してみる。すると太陽地球間の距離は太陽の直径の約100倍であることがわかる。
従って、これらの数字を基に各天体の図と位置関係を実際の縮尺に合わせて書くとどうなるか。これはとても画面上では書けないくらい大規模なものになってしまう。
例えば、月の直径を1mmの微小な円として描いても、地球は4mm、太陽は40cm、そして太陽地球間の距離は40mになってしまうからだ。
それだけ天体間の距離は遠く離れている、ということだ。それでもまだ太陽系の中の話なら宇宙規模では極めて小規模の話で、これを夜空に輝く星の大きさや距離となるともっと想像を超えるような話になる。