みなりんの呟き想い草紙

無知を治そうとするなら、無知を告白しなければならない。(モンテーニュ『エセー』)

「今宵の一冊〜相良亨『誠実と日本人』」

2017-06-28 22:48:01 | 日記

 先日、神道について思案したが、以前「日本人の心」を読んで興味を持ち、相良亨の著作で「誠実と日本人」という本を新たに読んだ。
相良亨は、和辻哲郎の弟子である。
「誠実」「誠意」は良いイメージがあったが、それが「理」とは離れてしまうことに着目している。一歩間違えれば、この思想は危険だと警鐘を鳴らす。

 現在、いよいよ、都議会議員の選挙戦が始まった。議員さんがよく口にし、私もつい口にしがちな「誠心誠意」という言葉の意味する「誠意」「至誠」の危うさを説く。
 国学者や幕末の志士が口々に述べた「誠」。あくまで主観的なものであって、自分が全力投球すれば何をしてもいいのか、という視点でその思想を読み解く。

 儒教は「敬」を重んじたが、明治の神道は「至誠」=「忠信」という風に結びついている。
 理に適っているかどうかが基準ではないことを注意すべきであるということだろう。
正直で誠実なことは美徳であることもあるが、誠意があっても倫理に適っているかどうかは二の次になりやすい。
幕末の志士がそうであったように、己の命を捨てても行動することは命を尊重しない点でいいとは言えない。

まるで「誠実」が悪いかのような印象を与えては申し訳ないが、誠実であることが最上と言うことではないことを述べているのである。

 日本人にはほんとうに善悪の倫理はなかったのか?
私個人は日本思想を研究したわけでもないが、教育家の下村湖人の著作を読んで、昔から全くないと言い切れないと漠然と思う。これは青二才のおこがましい言葉である。

それでも、随分前に相良亨の「本居宣長」を読んで、ほかの数冊の「本居宣長」の著者の本と比較して新鮮だった。相良先生の温厚そうなお人柄に多少なりとも好意を抱きつつある。しかし、すべてを肯定しているわけではない。私個人が不勉強であることを棚に置いて感想だけ漏らしている。

近世思想史は奥が深くて理解しているとは全く言いがたいが、相良亨先生の視点にはなるほど、と腑に落ちるところもあるので、他者にはない視点に敬意を表して、今日のお勧めの一冊にしたい。ただ、相良先生の「日本人の心」の本が非常に興味深かったことを記載しておきたい。
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