みなりんの呟き想い草紙

無知を治そうとするなら、無知を告白しなければならない。(モンテーニュ『エセー』)

「ひっそりと映画『花戦さ』鑑賞〜川端康成『美しい日本の私』と重なる世界」

2017-06-10 23:53:59 | 映画鑑賞
先日野村萬斎が映画「花戦さ」の主人公を演じているので、それ!とばかりに映画鑑賞に行きました。
映画「安倍晴明」やテレビドラマ『鞍馬天狗』以来、萬斎の主演映画というと見たくなります。

 ただし、私は日本人で、しかも女でありながら、お茶とかお花とかお稽古事とは縁遠いので、生半可なことしか言えません。
 なにしろ、毎日生活に追われるというか、それほど裕福ではないのです。
 しかし、家で生け花をさりげなく飾る習慣はあります。

 今回は、この映画を拝見して、「エンターテイメント」と謳っていたので、見ていくうちにあれ??と思うことがしばしばありましたが、今言うと、これから見る方に悪いので、結末は言わないでおこうと思います。
 
 疎い私はお花の世界には無知だったので、池坊とは何かやっと知る機会になりました。

 それにしても、映画の「池坊専好」というお名前も人物像も全く知りませんでしたが、川端康成が「美しい日本の私」(ノーベル文学賞受賞記念講演)のお話の中に、「池坊専応」という名前を出してきましたから、日本はおろか世界中の人が知っていたのでしょう。専応は専好以前のお花の家元で、口伝を残しています。禅の影響で、花を生けて人は悟道すると書いてあったようですが・・・・・。

 私は鈍いので詳しくは知りえませんが、「雪月花の時、最も友を思う」(矢代幸雄博士の言葉より引用)と川端康成が述べたように、茶の湯の大成者の千利休との友情を映画(原作も??)では絡めているところは興味深く思いました。
 また、有名な朝顔を一輪、秀吉に見せた茶室の場面は、まさに川端康成の「一輪の花は百輪の花よりも花やかさを思わせるのです」と「色のない白はもっとも清らか」と述べているような世界観でした。
 あの映画では池坊さんの在り方より、千利休さんの生き方のほうに強い興味を持ちましたが、二人揃って美とは何か、ものの価値とは何かとか、いろいろと感じさせてくれました。
 
 映画を拝見して、以前何気なく読んでいた「美しい日本の私」というお話を味わい深く読み返し、あの映画の世界はこのお話を基にしたような気さえします。
 一種の娯楽と映画を見るのもいいけれど、映画の「花戦さ」は、川端康成の講演のお話と一緒に読んでみると、心にじーんと残ります。
 そう言えば、東京国立博物館の「茶の湯」の展覧会は展示が凄かったのですが、茶器の本質の価値をよく理解できなくても、千利休の茶道具の前だけはなかなか見られないほど大人気だったのはなぜかということが、今回改めてよくわかりました。

 それにしても芸道とは奥深くて、とてもじゃないけれども悟れないのですが、よく見れば、多様な価値観を認めて重んじる敬愛の精神が大事だということに通じるような気がしました。「敬愛」、これは曹洞宗の南直哉さんの著書を読んで学んだ言葉です。

 私のおしゃべりよりも、娯楽映画を気楽にご覧になる機会があれば、川端康成の「美しい日本の私」もお読みになると、青葉が人を媒介して「茶に」変化するように味わえるような感じがしました。
もうとっくに読んだ方には「釈迦に説法」でしょうが、どうかお許しください。

では、おやすみなさい。

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2 コメント

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素敵な (hide-san)
2017-06-11 05:57:49
素晴らしい一文でした。

のちに大江健三郎が、
川端をもじって「あいまいな日本の私」でノーベル賞晩餐会で講演されました。

ボクは才能が無いのでと、せめてもの思いでスエ―デンへ行って、
カミさんと一緒に、晩餐会と同じ料理を戴いてきました。

その場所で著名な日本人作曲家と知り合いになりました。
川端さんの言葉は素晴らしいですね (みなりん)
2017-06-11 06:21:46
おはようございます、ひでさん。

ひでさんにとって、とても大切な思い出があるのですね。
コメントありがとうございます。

それにしてもストックホルムにもお出かけとはすごい。
お知り合いになった有名な作曲家の方はどなたか気になってしまいました。

川端康成の「美しい日本の私」、素晴らしいと思います。

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