おかあちゃん牧師の日記

新船橋キリスト教会の牧師です!
日々の生活のこと、教会のこと、
家族のことなどを書いています!

信仰のルーツ

2010-09-13 15:11:00 | 家族
うちの父を信仰に導いてくれたステファン・メティカフ宣教師は、
1927年、中国雲南省で生まれました。
父はイギリス人、母はオーストラリア人で、
宣教師として、雲南省の山奥にある少数民族の村で暮らしていました。

ところが、ステファンが七歳になると、
両親は彼にイギリス式の教育を受けさせるため、
1938年、山東省にある学校に入学させました。

しかし、1941年12月、真珠湾攻撃を機に、
日本はアメリカ、イギリスなど連合国に宣戦布告しました。
中国北部にいた同盟国人は、
日本の憲兵によって捕虜収容所に集められ、
翌年の1942年、ステファンが通っていた学校は、
生徒も教師もそっくりそのまま、
日本軍の民間人収容所に入れられてしまったのです。
メティカフ氏が、14歳の時でした。

幸いにも、彼がいた収容所の日本兵は、
皆比較的おだやかな人たちだったということでした。

食べ盛りの年頃にもかかわらず常に飢餓状態だったり、
様々な苦労があったことはもちろんですが、
彼自身が直接暴力を受けるようなことはなかったそうです。
 
しかし、日本兵の中国人に対する振る舞いは残虐で、
メティカフ氏自身、
首を切り落とされた死体、
生きたまま両目をくりぬかれ、
リヤカーに乗せられて引き回されている中国人を
目撃した体験をもっています。

こうした見るに耐えない光景を目にしているうちに、
当然のことながら、日本人に対する憤り、
憎しみは膨れあがっていきました。

ところで、メティカフ氏がいた収容所には、
時を同じくして、
あの有名な映画「炎のランナー」で主人公として描かれた、
陸上の元オリンピック選手のエリック・リデル氏がいたそうです。
彼もまた、宣教師として中国で暮らしているうちに戦争に巻き込まれ、
民間人抑留者として捕らえられていたのでした。

メティカフ氏や友人たちは、リデル氏が収容所の中で開いていた
バイブルクラスに出席していました。 

ある時、そのバイブルクラスで、一つの議論が持ち上がったそうです。

それは、「自分の敵を愛しなさい」というイエスの教えは、
ただの理想かそれとも現実的な教えか、という議論でした。

少年たちの意見が「それは理想にちがいない。
日本兵を愛することなどできるはずがない」
という結論に傾き始めた時、リデル氏が口を開きました。

「私もそう思うところだった。
でも次に続く言葉に気がついたんだ。
『汝を迫害する者のために祈れ』という。
私たちは愛する者のためには時間を費やして祈るが、
イエスは愛せない者のために祈れと言われた。
だから君も日本人のために祈れ。
祈るとき君は神中心の人間になる。
神が愛する人を憎むことはできない。
祈りは君の姿勢を変える」

そう教えるリデル氏自身、
毎朝早く起きては日本のために祈っていたのだそうです。
こうして、敬愛するリデル氏の勧めに従って、
メティカフ氏は日本のために祈り始めたのでした。

ところが、日本と日本人のために祈っても、
事態は、一向に変わりませんでした。

しかし、それを見ているメティカフ氏の心の中には
変化が生じていきました。
そして、やがては、
自らが、宣教師となって日本へ行き、
神の愛を伝えたいという祈りに発展していったのです。

リデル氏は、1945年2月に日本軍の強制収容所の中で,
43歳という若さで亡くなりました。
2千人いた収容所のすべての人間が参列した葬儀で、
メティカフ先生はリデル氏の棺を担いだということです。

そして、終戦を迎え、メティカフ氏らも開放されます。
メティカフ氏の祈りは、そのまま温められ、
25歳になったときに、
とうとう宣教師として日本へ派遣されたのでした。




父を信仰に導いたメティカフ先生が、
日本の宣教師になるために、
あのエリック・リデル氏が、
こんなに大きな影響を与えていたとは!
驚きでした。

そして、今私たちは、台湾で宣教師として働いている。
志半ばで、収容所で命を閉じたエリック・リデル氏の思いを
受け継いでいるとも言えるのじゃないだろうか?
そう思うと、神様の導きの不思議さを覚えないではいられない。

感謝主!


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2 コメント

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うは~~ (抹茶あいす)
2010-09-13 18:12:55
何だか、壮大でちょっと鳥肌ものでした。
実は先日、偶然メティカフ宣教師の事を
とある小冊子で知って、
あれ、この名前・・・と調べたら・・・
やっぱりそうだったんですねぇ
graceさん御一家が今台湾で宣教しているのを
天国で見て、エリック・リデル宣教師は満足されているのではないでしょうか。
返信する
わたしも (grace1000)
2010-09-14 09:48:09
嬉しかったです。
こんな信仰の流れが背後にあったなんて…。
天国で、いろんな人にご挨拶しなきゃ。
返信する

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