ちいチャン物語

きまぐれブログ。
絵のない絵本のような、小さい物語です。

ちいチャン物語Back number(47)『喧嘩ばかりのシロとコロ』

2013年12月13日 21時53分25秒 | 日記

ちいチャンが小さい頃、犬は割と自由に道路を歩いていました。
たいていは飼い犬なので、人を襲ったりする事はありません。
でもちいチャンは、見たことのない犬と出会ったりすると、やっぱり恐くて、そ
お~と道の反対側に渡り、見ないふりをしました。
時には、よだれを垂らして舌を出している犬もいたりして、子供建は、
「狂犬病だ!」
と言って、近づかないようにしていました。
近所の犬は、お互いが出会っても、ほとんどはケンカをしません。
でも、シロとコロは違っていました。
しょっちゅう道で出会うという訳ではありませんが、会えば必ずケンカをします。
それはもう、凄まじいものです。
シロの毛は白で、コロの毛は茶色でした。
ちいチャンは、シロはケンカに弱いと思います。
ケンカの後はいつも、シロの白い毛が、血で赤く染まるからです。
コロは、毛が茶色なので、怪我をして血が出ていてもわかりません。
ケンカを仕掛けるのは、いつもコロです。
ちいチャンは、
(シロは逃げればいいのに。)
と、思います。
でも、シロは決して逃げもせず、向かって来るコロに挑みます。
広い範囲に渡り、転げまわり、咬みつき、うなり、相手を離しません。
コロの飼い主は勇敢に、ケンカに割って入りコロを引き離します。
シロは、離されたコロに、再び向かっては行きません。
白い毛を赤く染めて、飼い主の元へ帰ります。
シロは、普段はおとなしい犬です。
ちいチャンが、シロの家に用事を頼まれて行った時などは、シロはシロの家の中で
じっとしています。
吠えたりもしません。
ケンカで怪我をしたシロに、飼い主は“赤チン”を塗ってあげます。
シロの、白い毛の赤い範囲が、もっと広くなります。
それを見る度に、ちいチャンは、
(シロ...、コロを見つけたら逃げるんだよ。逃げなさいよ。)
と、心の中でつぶやきます。
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