坂の上のピアノ教室

おうちの方にレッスン室の様子、日頃思っている事をお知らせするためのblogです。

すぐかなう夢

2012-12-20 | 伝えたいこと
電子ピアノの話題が続きますが。。。

小学生くらいの小さい生徒は、別としても
私のところは、中学2,3年、高校生になっても意欲的にレッスンを
続けている子が多いです。

ものすごく上手に難しい曲を弾きこなすわけではないけれど、
和音の厚い映画音楽や、ベートーヴェンのソナタなんかを一生懸命自宅の
電子ピアノで練習する姿を想像すると

「手首など痛めないかしら?」と思ってしまいます。


私も電子ピアノは持っていますが、
べートーヴェンの悲愴の1楽章なんかを電子ピアノで弾いたら、
とても疲れるだろうなあ、と思います。


それで、生徒には

「ピアノ、買ってもらえるといいねー」なんて言いますが。。。



ただ、そんな時、いつも心に浮かぶ事があります。


もう、6,7年くらいまえ(以前も別の所に書いた気もします)


「幼稚園の先生になったばかりです」というお嬢さんが
ピアノを習いにいらっしゃいました。

保育関係の短大を卒業したわけですから、ピアノは全く弾けない、というわけでは
ありません。

でも、子供の頃も、中高生の時もまったくピアノは習っていなくて、
短大時代のグループレッスンと、あとは独学で、おうちの電子ピアノを
弾いていたそうです。


話を聞くと、

小さい頃からピアノを習う事にあこがれを持っていたけれど、
それはかなわなかった。

でも、音楽はとても好きで、

自分のお小遣いで、まず  小さなキーボードを買い

そして、保育の短大に入学して アルバイトで 電子ピアノを買い

ようやく 自分のお給料で  本物のピアノを 買ったのです。

そして

保育のためのピアノではなく  自分のためのピアノを習いたくて、
私の所にレッスンに来始めました。

独学と、短大時代の授業のピアノで、少しは弾けていましたが、

全く1から基礎をレッスンして、みるみる上達しました。


そして、クラシックの基礎の教則本と、自分の好きな久石譲の曲などを
弾くようになったのですが。

その奏でる音の、なんて 素敵なことだったでしょう!

けっして、鮮やかなテクニックで弾けるわけではありません。


でも彼女が自分で得たお金で、

小さなキーボード  電子ピアノ   ピアノ  と、

買いつないでいった歴史と、想い、  音楽への愛が、
全部音になっていました。


こういう経験は、大人の生徒さんにピアノを教えたことのある先生だったら、
きっとなさっていると思います。

それほど、大人のピアノって、自分から求める気持ちの強い そんな素敵な音楽に
なっています。



そして、さらに嬉しかったのは、

その彼女の演奏を聴いた別の生徒ママが

「●○さんの、弾くピアノって、すごくいいですねー。
ピアノが好き、という気持ちがとても伝わります!」と

おっしゃってくれたことです。
そういうアンテナを持っていた、ということが嬉しかったです。



この幼稚園の先生生徒さんは、その後結婚して、お子さんも産まれたので、
今はちょっとレッスンを中断していますが、


電子ピアノから、ピアノに ・・・・と、勧めたくなった時に、
私は、この彼女のことをいつも思い出すのです。

むやみやたらに、なんでも、すぐに与えられることだけが、「教育熱心」とは
いえないのではないかな。。。と。


というわけなので、私はあまりセールスは上手じゃあーりません。