サッカー東京VがJ2降格決定。伝統チームのおごりがなかったか

2005-11-27 02:12:23 | Weblog
サッカーJ1は26日、33節の試合が行われ、千葉の柏サッカー場では17位の東京Vが16位の柏に1-5と大敗、最終節を待たずにJ2自動降格が決まった。1969年に読売クラブとして発足後、日本リーグの中心として多くのタイトルを獲得し、1993年のJリーグ誕生後も隆盛を極めた名門チームに悲劇が襲った。しかし名門ゆえのおごりが今回の降格の背景にあるのではないかと思っている。

ヴェルディはJリーグ誕生時には川崎に本拠を置き、ヴェルディ川崎のチーム名だった。しかし読売クラブ時代から全国的なチームと位置づけていたため、川崎に根付くような営業努力をしたわけではない。地元では川崎フロンターレの方が人気があった。

2001年に東京スタジアム(現味の素スタジアム)オープンにあたり、ヴェルディは東京に本拠を移しチーム名も「東京ヴェルディ1969」に改称する。東京にホームを置くことと母体の読売クラブが1969年に出来たことをチーム名に盛り込んだ。しかし、ここでもヴェルディは「東京」のホームチームという意識よりも、「1969年」に生まれた全国的な人気のある名門チームの方を強調したように思う。

一方で2000年には東京ガスを母体とするFC東京がJ1に登場する。こちらのチームは「首都東京」のチームを意識している。東京Vと同じ2001年に東京スタジアムをホームスタジアムにすると、競技場のある東京の多摩地区を中心に子どもたちにサッカー教室の指導をするなど地域に根付く努力を惜しまなかった。サポーターも「東京ブギウギ」「東京ラプソディ」などを使った応援を続け地元色を押し出した。

この努力の差は年間入場者数に如実に出た。東京Vは東京スタジアムオープンの2001年に29万946人を記録した後、02年は22万6926人、03年は26万3438人と下降傾向。昨年は22万5878人と東京移転後、最悪の数字だった。

一方、FC東京は01年に33万4698人、02年33万2597人、03年は37万3978人と常に東京Vよりも入場者数が多い。昨年は38万1575人とチーム史上過去最多記録を更新した。東京Vとの差は15万5697人。(入場者の数字はいずれも週間サッカーマガジン2005年3月8日号から)。ホームタウンとは何かと考えたチームと無視したチームとの差だろう。

朝日新聞の11月27日のサイトによると、1999年に読売新聞社がチーム経営から手を引いて年間運営費は半減したという。現在はJ1平均を若干上回る30億円ほどという。

しかしお金の問題ではない。ホームに根付くとはどういうことか。その中でファンとの関係も考える必要が出てくる。サポーターから支えられるチームは長期的に成長していく。しかし怠れば徐々にチーム衰退の道を歩み始める。東京Vは「プロ野球界における巨人」と同じように「殿様商売」を続け、ついに今回の結果に出たのだと思う。選手たちは「1年で戻ってくる」と語っているが、クラブの運営における根本的な考え方を変えない限り、この悲劇はヴェルディに何度も訪れると思う。

最後に、2001年にも東京VがJ2降格の危機があった。このとき降格したのはC大阪と福岡。福岡は今季J1復帰を果たし、C大阪は現在J1トップ。優勝を目指して最終節を迎えている。あのとき生き残った東京Vが今回、降格。何かの縁だろうか。