ヤングキングアワーズ 2017年12月号より
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今月号では、アニメ『ドリフターズ』OVA情報にて、
キャスト陣へのインタビューなどが掲載されています。
注目!
以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)
●ドリフターズ (平野耕太 先生)
“関ケ原”をなぞる決着へ・・・?
ついに、公子軍が動き出し、山が騒がしくなる中、
すでに結果を察していた豊久は、笑顔で「来た」と一言。
何らかの覚悟を感じさせる表情にも見えますね。
一方、信長さんは大焦りですが、公子軍に「種子島」がどれだけあるか
把握しようとするあたり、やるべきことをやろうとする姿勢がうかがえて、
完全に諦めたわけでもない様子が見て取れます。
しかし、状況は大いに不利。
“関ケ原”における必敗の構図が完成しており、後はないように思えますが・・・?
信長さんの指示。
なるべく被害を抑えようと、立て直しを指示する信長さん。
これ、戦国大名としては極めて“正しい”方針なのですよね。
兵士を捨て駒にするのではなく、なるべく兵力を温存して「次」に繋げようとする。
また、領地経営の面からも、人材の減少を避けようとするのが普通らしいですから。
しかし、そんな方針を嘲笑うかのように、<廃棄物>たちの猛攻が始まります。
ジャンヌが防柵と壕にいる兵たちを焼き払い、アナスタシアが「氷の出城」を作り、
黒王が死んだ巨人兵を生き返らせるという、もはや手の打ちようがない絶望的状況へ。
それにしても、やはり「氷の出城」のアイデアを出したのは光秀なのでしょうか。
『三国志』では、曹操と馬超が戦った渭水にて「氷の城」のエピソードが出てきますけど、
そのあたりから着想したのかな? だとしたら面白いかもですね。
(あちらは砂で作った城に水をかけて一晩かけて凍らせた・・・でしたっけ?)
黒王軍に押され始める豊久軍。
形勢逆転によって圧倒され、次々と葬られる兵士たち。
損害は大きく、このままでは全滅も覚悟しなければならないか?
と思えるほどに悲劇的です。
そして、黒王軍の指揮を執る光秀が、不敵に笑みを浮かべる姿が、
絶望感をより深いものにしていますね。
公子軍の裏切りから、<廃棄物>たちの攻勢まで、同時に動かす采配。
周到に準備し、タイミングをつかみ、全てをつぎ込み仕上げに向かう・・・
それは「うえさま」の方法論だと述べつつも、ゆえに信長に対し、
「ぬるくなった」と光秀が述べているのが、高らかな勝利宣言のように響きます。
敗北!
戦の潮目が完全に変わったことを悟った豊久は、「こん戦ば、負けじゃあ」と
敗北を認める発言をしつつ、すぐさま廃城への撤退を指示しているのは、さすが。
これも被害を最小限にとどめ、次へ繋げるための方策ではありますが・・・
しかし、しんがりは自分が務めると言い出して、決死の覚悟を見せつけます。
“関ケ原”でも同じように殿軍となり、島津義弘を逃がすことに一役買ったと言われる豊久。
史実においては、そこで豊久は討ち死にしたとされています。
もしや豊久は、この異世界でその“史実”をトレースしようとしているのではないか?
そんな不安を感じさせる「運命」という言葉を、彼が使っているのは気になりました。
紫さんも「運命(さだめ)」というワードに反応し、慌てていたのが印象に残ります。
豊久の覚悟は、彼の視線は、はたしてどこを見ているのか?
ただ、死に場所を求めているだけなのか?
死ねなかった、死に損なった武士が、死ぬべき場所を見つけた・・・のか?
それとも、もっと先に別の何かを見ているのか?
島津の退き口、ふたたび!
廃城は、ミルズくんのおかげで万全の態勢が整っているでしょうから、
辿り着ければ、まだ先があるのだという希望を強く持ちながら・・・今後も楽しみです!